時計を見ると、16:46。


「森本さんのようになれたらな」
そんな風に思う。最近。


コロナの影響で在宅ワークが日常になってきた。
正直もう、朝7時半に起きて満員電車に乗って、出勤なんて無理だと思う。
朝礼20分前に起きて、PCだけ立ち上げて、その間に上半身だけ身支度。


しれっと朝礼に参加してゆるゆる仕事。そんなルーチーンに慣れてきた。

正直、家の方がはかどることもあるし、外食しないから食費浮くし。


在宅で増えたのがWEB会議だ。
オンラインって、一度に一人しか発言しないから、発言しない人は透明人間になる。


5人がしゃべって、4人が透明人間。
そして私は4人のうちの一人。
森田さんは会話の中心。太陽。ムードメーカー。必要な存在。


最近部署が変わったので、やったことのない業務ばかりだし、人間関係は気を遣う。

任された作業はやるけど、正直「これ私必要?」って感じ。
エクセルやパワポの技術だけ中途半端についていく気がする。
自分が不十分な感じがする。
作業が甘いんじゃないか、でも提案とかしすぎると出しゃばっているんじゃないかと思われている気がする。
誰にも聞けずに「気がする。」が積もっていく。


たまにあるオンライン会議で、森田さんが「そういえば、昨日テレビで見たおいしいおつまみがあって・・・」とにこにこ話す。
透明人間はミュートにして聞くに徹する。


「じゃあまた。あとは議事メモチーム内に共有しておいて。」

会議が終わる。



時計を見ると、16:46。


深呼吸をする。
大きく伸びる。
開けた窓からは初夏の風が入ってくる。


家の前の緑が眩しい。


キッチンへ向かう。
冷蔵庫を開ける。
ビールをあける。
飲み干す。



身体が熱くなって、ふわふわとして、気持ちいい。



透明人間でも別にいいさ。
どこにでも行けるってことでしょ。



日の入りまであと、1時間50分。
財布をもって、靴を履いて、ドアを開ける。




別に今日ぐらいいいか。





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