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執着という人についての文章。

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執着という人についての文章。

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水天宮前 19:02

あの駅に行った。あなたのいない、あの駅に。 新しい服を、バッグを、靴を身につけて行った。少しでも気持ちが明るくなるような、バフアイテムを装着して行った。 あなたのいないあの街はどこかわたしを受け入れていないみたいだった。 あなたがいつも待っていた場所は工事中で、時の流れを感じさせた。そこにいたあなたの幻を見ることさえできなかった。 アルコールを、そして薬を飲まずにはいられなかった。それを買うための場所でさえあなたの記憶があって、わたしは悲しくてどうしようもなかった。 ち

    • 触れることさえできないのに

      あなたは久々に会ったわたしの腕を見て失望するだろうか。あなたが存在するたびに不在が苦しくて、傷ついてしまうわたしの腕を見て。 肝臓は見えないから良い。血液検査の結果でも見られない限り、わたしの臓器が薬で痛めつけられていることはわからない。 あなたの夢を見た。全てが明らかになってしまう夢。わたしはあなたを失いたくないと思ってしまった。手に入れてもないのに。 わたしたちだけの世界があるような気がした。 あなたは笑って、また会おうねと言って去っていった。わたしは、なにもできない

      • 過ぎ去った優しさも今は甘い記憶

        あなたとやりとりしていない、ってことが耐えられないんだ。ふとスマホを見たときに、わたしの通知欄にあなたがいないと寂しいよ。 どんどん強欲になっていく自分が怖くて、あなたを失いたくもなくて、死んでしまいたいと思う夜。あなたを過去にしたくない、でももがけばもがくほど 終わりが近いように感じているよ。 あなたはわたしのことなんてさほどすきではないんだろうな、というのがわかる。 せめてあなたが東京にいて、抱きしめてくれるならいいのに。あなたの体温を感じられなくて、暑いのに寒いと思った

        • あなたの声、声

          眠剤に侵された思考の中、あなたのことを想う。 ないことが苦しいのは、あることを意識しすぎてしまったことの代償か。 それでも今日あなたの生活にわたしは存在せず、わたしの生活だけに仮想のあなたがいる。 あなたが放った言葉の全てを忘れたくなくて何度も反芻した。 「タイって夜職のイメージ強いけど、全然行ってないよ。」 わたしは確かにあなたの部屋に営みの残滓を見たけれど、自分の目よりもあなたの言葉を信じたい。 あなたがわたしにあんな要求をするのは、それが真実である根拠だと思いたい。

          あなたのいない秋がくる

          あなたが「爪は長い方がいいよ」って言ったから、爪を伸ばしてみたの。次にあったら、なんとか言ってくれますか? あなたからの着信があった。日本時間は4時、タイでは2時の出来事だ。出れなかったことを後悔してみたら、あなたは「用がないと電話なんてしないのに」なんて言ってたね。 じゃああなたはこの電話をかけたとき、確かにわたしと話したいと思ったんですね それは なぜ? あなたは優しいから、わたしが希死念慮を匂わせるようなツイートをすればメッセージを送ってきてくれるね。将来を、約束し

          あなたのいない秋がくる

          きみを忘れるため長い旅に出たのに、旅の終わりにあの街を選んでしまったよ

          あなたがいた夏をまだ思い出してしまう。 あなたのことが、すべてを投げ出すほどにすきだったから。 触れれば届いてしまいそうな距離にいたあなたは、もうずっと遠くなってしまった。 あなたが躊躇わずわたしに触れられるのは、わたしと同じ感情を抱いていないからだって、そんなことはわかっていた、はずなのに。 ねえ泣かないでなんて言わないで、薬のことも、自傷のことも、わたしはずっとあなたからの電子信号を待っているのに。 「せっかくタイ来ていいよっていってんのになんで死のうとするの?」って

          きみを忘れるため長い旅に出たのに、旅の終わりにあの街を選んでしまったよ

          「眠れない夜に」

          深夜のインスタグラムのストーリーに流した短文のまとめ。 「ミューズ」 あなたはわたしのミューズだった。 あなたと会うと、言葉が、気付きが、溢れてきた。でも本当はインターネットコミュニティの評価なんかより、あなたからの肯定がほしかった。あなたと会わないでいると、本当になにも浮かばないんだ。なにかを創り出そうとも思えない。 わたしはあなたのミューズにはなれなかったから、だからもう会えないかもしれないんだ。 あなたが遠くより遠いところまでいってしまえばよかったのに、と思う。もう

          「眠れない夜に」

          自覚

          タイは夏だった。飛行機を降りた瞬間から暑くて、タバコを吸うような気持にもならないままタクシーに乗り込んだ。 あのひとはわたしに、本当に来たんだ って言った。そんなん言われたらこっちだって、ほんとうにまたあるなんて思ってなかったよ。 ひさびさに見た執着はなんだか痩せていて、カタカナでもタイ語で会話していて、なんだか遠くなった気がした。もともと近かったわけでもないのに。 机の一段目のひきだしにコンドームが入っているのも、紙タバコを吸わなくなっていたのも、部屋のあちこちにサプリメ

          うたをきく

          それでもわたしはいまだに音楽にあなたを重ねちゃったりしてさ、あなたに触れる時間が少ないから感情が封じられているだけでそれがなくなったわけじゃないんだよ。 あなたがいなくても生きていけるなんて幻想、あなたへの感情が失われたなんてまやかし。だからあなたと会ったら、きっと思い出してまた苦しくなるんだろう。それでも、と思うのは自身の愚かさゆえか、はたまたあなたがわたしのミューズであるからか。感情を思い出す回路が錆びたってだけのことを、みんなそれが失ったってことなんだって勘違いしている

          うたをきく

          趣向を変えて、自分語り

          どうせ眠れないんだし、文字でも打つしかないよ。最近は、なんもないね。でもあなたに会うために奔走するのは心地よいかな。なんにもなくても生活にあなたを感じられるから、まあいいかなって思うよ。 なんでわたしに会いたいって言うの?わたしの写真をほしがるの?そのくせTwitterは見てくれないね、なんで?あなたがわたしにくれた言葉はなんのため? なにかを心の拠り所とすること、それは手に入らないものであればあるほど、自分の前に他者との壁が築けるような気がした。他者との壁が他者じゃ、その

          趣向を変えて、自分語り

          きらきら

          一日にひとつ以上、なんらかのことを作り出さないとその日の意味がなかったような気がして、絵を描いたり、文字をうったりとか。 でも実際、本当のところは生きているだけでじゅうぶんなのにね。そんなふうに思えないから「疾患」なんでしょうね、そういう時期。 あなたからメッセージがきたのはちょうど1ヶ月前。わたしはあなたの最後の言葉を信じてちゃんと生きたから、誕生日は絶対にあなたと過ごすんだ。幽霊になっても逢いに行くよ。 最近はあなたと毎日やりとりができてうれしいな。これはまあ、必要なや

          きらきら

          消化昇華消化昇華

          部屋で電子タバコを吸っていて、執着はあの電子タバコの本体をどこにやったんだろうと思った。自分はキモいから全く同じやつを手に入れたけど、あの国では電子タバコが違法だから、もしかしたらくださいって言えばもらえたんじゃないかともおもうけど、さすがに欲張りすぎですかね。 自分がツイートのインプレッションをポチポチしているなんてあの人は知らないから、きっとあの人は本心で自分のツイートからわたしのプロフィールにとんで、録音をあげたら全部聞いてくれて、そういうところのせいでいまもこんなこ

          消化昇華消化昇華

          差異

          あなたの体を思い出してしまったんだ。あなたとの差異を意識せざるを得なくて、あなたが恋しくて、あなたとキメセクなんてできやしなかったけど、わたしは それも優しさでしょ、 あなたがわたしに求めるもののほぼすべてが快楽だと知っていたけれど、より強い快楽をあなたに薦めなかったのは、あなたがそのままでわたしの心を満たしたから。 過去に起こった出来事の、わたしのうれしそうな投稿をみて、あなたがいた日々をまた追憶してしまったんだ。あなたの唇の色にわたしの色がうつったこと、あなたの画像フォ

          2 messages

          これは愛じゃないはずなのに、これを傍目から見て端的に表すと愛になるようでひどく落ち込んだ。ごめんなさい。愛なんかじゃないんです、だから執着し続けることを許してくれませんか。 じゃあ、あなたの目にもこれが愛かのように映っていたんですか。そうだとしたら相当気持ち悪くて怖かったでしょうね、ごめんね。違うんです。なにもほしがらないでいますから、存在だけを認識させてくれればそれでいいんですよ、信じてよ。 スマホが振動するのはメッセージが来たときだけにしているからさ、その振動に気付くと

          それでもわたしはその海を、ふたりだけのものに

          あなたからの突然のメッセージ。あなたは海を見たんだね。思い出してくれたんだね、海がすきなわたしを。あなたからのメッセージなんてなんでもいいからさ、わたしが世界のことをすきだってアピールしてたら全事象のメッセージを送ってくれたかな、いや、そんなことじゃなくて、わたしはあなたのことを、ずっと見ていたいと思っているのにね。それも含めて、あのメッセージなんでしょう。あなたは、優しいから。 この海を、インターネットに広めることだってできたし 友人に共有することだってできた でもわたしは

          それでもわたしはその海を、ふたりだけのものに

          ミッドナイトおほしさま

          愛されたことも、愛されなかったことも、結局全部苦しい記憶になるからさ、人間とは深く関わらないほうがいいんだよ。 あなたとわたしの距離は5光年。いや、5年という時が経つのをただ待つわけにはいかない。すべて捨て去ってあなたとパタヤビーチでエスケープしたかったの。できないからさ、数日だけでも、会いに行かせてよ。「モテてる」なんて言わないで。性産業と関わらないでよ。わたしがいるじゃないですか。どんな人間より大きいメリットを提示したじゃないですか。それでもだめってことは、本当にあなた

          ミッドナイトおほしさま