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食べる昆布で反則級のスープを作った。

食べる昆布の、その見た目の地味さは、地味な乾物たちの中にあっても王様ではないかと思う。

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コレが、おでんでおいしく、かわいく結ばれたアレなのです。
江戸時代18世紀の後半から道東から本州に運ばれた昆布のひとつ。沖縄で料理に使われるようになったのはコレです。

細くて軽いから、分配しやすかったのかな。琉球王国をとおして中国に薬として売られました。そして、琉球の料理に取り入れられたのです。

野菜として使える。豚肉に合う。
そのころの琉球では、その地質から採れる野菜が少なかったらしいので、保存できて野菜として使えて、しかも味が出る昆布は、どんなに嬉しいものだったかと。

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(※那覇でいただいたクープイリチー。優しい味でした。)

海から採るときはこんなです。ナガコンブ。長いからナガコンブ。長さはなんと15メートル!早い時期に採るのは竿前(さおまえ)昆布といい、その柔らかさに、特別感があります。*写真は7月。もっと成長した昆布です。

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リボンのように見えるのが乾燥後の昆布です。これは切る時に長さを揃え合わせる道具です。長さにびっくりしました!

さて、春だけど寒い日に、竿前昆布をおでん風スープにしました。

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昆布はまず流水でさっと洗います。表面についている白い粉状のものは苦味になることがあるからです。それからたっぷりめの水に15分ほど浸して、真ん中も柔らかくなるまで戻してから結びます。

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結び目の間をハサミで切り離します。

鶏手羽先に塩を振り、フライパンで少しの油で皮目からカリッと焼きます。それを、皮をむいて1.5センチほどの厚さに切った大根と昆布と一緒に鍋に入れます。昆布の戻し汁をたっぷり入れます。足りなければ水を入れます。

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ここで隠し味

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羅臼昆布。4センチ角を入れました。竿前昆布を煮るときに、羅臼昆布を少し入れたらおいしくなることを思い出して。
そして、冷蔵庫にあった筍を。春だから。

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40分後。お肉はほろほろっと骨からはずれ、スープを含んだ結んだ昆布はぷるるとほぐれ、下茹でしていない大根はスープが染みてカラダにじんわり。
羅臼昆布もやわらかくなって食べられる。
すごい、これ。なんてことないのに。ほっといただけなのに。

ノーザンフォト北村康春様

竿前昆布漁は、決まったスタート地点に船が集まり、よーいドン!で一斉のスタートを切って漁場に向かいます。
1人乗りの船が時速70キロで疾走する様子はまるで、ボートレースのよう。初夏の道東の風物詩です。
(写真はノーザンフォト、北村康春様にお借りしました。)

そっとスーパーの棚にある竿前昆布。
東北海道から、そして北方領土から旅してきたのです。
ちっさな食の冒険を。どうぞお試しあれ。

☆歯舞漁業協同組合様にナガコンブの漁の仕方や乾燥、製品化の過程を取材させていただきました。感謝いたします。
★富山県黒部市生地の羅臼昆布の老舗、四十物(あいもの)昆布様の産地へのご挨拶に同行させていただき取材しました。ありがとうございます。
羅臼昆布を竿前昆布の煮物に入れるのは生地の人達の知恵です。



*二人分の分量は
 竿前昆布乾燥で15g 水1リットルほど
 鶏手羽先 4本と 塩 
 サラダ油かキャノーラ油、こめ油など香りのないもの 小さじ2くらい
 大根  5㎝ほど 
写真で使った鍋はストウブ18センチです。

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「どうだー!いーい昆布だぞー」


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