句集『本物』 44 hokekiyo 2023年5月12日 08:18 2013年から2021年までの俳句を選句しづしづと救急車ゆく春隣冬の雲列島のごと並ぶ靴福寿草父だけ知らぬ吾子の友大き愛大き見返り竈猫餡パンの顔の男や社会鍋巳年蠍座B型次男年末賞与資格取るための勉強冬の虹ポインセチア無駄遣ひてふ使ひ道室咲やコンセント無き喫茶店貴方らしき誤り方や年の暮英吉利人なら傘差さないや冬灯諸説ある忙しさなり冬雲雀白き物皆救急車文化の日鵙の声たこ焼き一つずつ食べる立冬やヨーグルトしか食べぬ子の人のゐて電柱もゐて寒鴉冬晴や図鑑は均等に並び室の花チーズケーキと国際情勢年用意暴力追放の街デパ地下の満員となり神の旅鷹渡る追越車線空いてをりパンを買ふ列に加はり赤蜻蛉犬を引く紐のたわみや秋の潮大型犬を従えている秋日和隣人は四人家族や秋の声蟷螂やいつも二人で分けていたわかること以外わからぬ秋出水新涼や用途の違う醤油ある病院のコンビニで買ふ氷菓かな立秋の吾子堂々と喃語かな吊るされし鯨の骨や夏の果紙オムツ丸めて秋の朝の中銭湯の皆堂々として残暑足着かぬ椅子の高さやソーダ水蛍火や間違ひ指摘し合ふ仲アイスコーヒー私が晒されているやうなカットステーキ定食頼む新社員空欄の多き申請花曇おかわり自由しないも自由新社員パンツスーツ集団のゐて四月馬鹿蒲公英やもう立つやうになりました春の虹いま目薬の真下にゐて菱餅を切るまな板の少し濡れ春の塵きつねうどんの大人しき手伝わぬ人も居て良し雛祭鍵すぐにかける家なり春大根短くて太きストロー桃の花春の光正解を探しに来た卒業生花束下向けて帰るのどかさや赤子立ちたき時に立つ三人で運ぶソファや水温む寝室に定位置数多春の闇三月のラッキーボーイハッピーガール花曇電話ボックスの中から春の蝿選択肢から選べよ春浅し幼子に這ふ聴診器立春の電子レンジを眺めをり春寒し抑揚の無き電子音音の出る絵本の音も春めけり囀や単身赴任決まりをり菜の花や昇降機無き雑居ビル春の昼辛子マヨネーズだつたか信じてあげたい雨の予報や亀の鳴く新年の右折車両と見つめ合ふ行き帰り違ふ道なる初仕事話し声漏れし窓口寒椿冬晴や未だ傷の無きオムライス焼肉に裏表あり鰤起こし家計簿に書かないお金日向ぼこ押せば開く扉の如き師走かな山茶花や美容皮膚科の壁白しポインセチア五戦三勝だがどうする火恋し決着つける程でもなく失敗をすぐ言う夫や烏瓜平面の多き窓口に秋桜秋の雲どこかってどこか分かれば啄木鳥や現金が一番安心私と同じお悩みいぼむしり秋湿汁まで飲まなくても良いよ優先権持ちて堂々と花野お待たせしました秋の大北海道展秋麗私が一番綺麗秋高し返事は聞いてないけど祖母熱狂す覆面レスラー鰯雲ワンオペレーション育児す秋の蛍口論が広がつてゆく新蕎麦よ秋の蝶抽選に外れたら、ね桐一葉運命の人じゃないらしく秋の蜂びっくりしたと言うが言葉通りに言葉受け取る渡り鳥秋の水スタミナ弁当六八九円秋の園ご都合の良いお口だことでもそれは自業自得だよね新涼胡桃割る君だけ謝つて欲しい黄落や三角コーン直立す鰯雲傷口見せてあげようと思って秋高し可愛い豚まんとの写真放屁虫投票箱に穴一つ秋の日はコロッケくらいの大きさましら酒人類発展の悩み秋曇俺たち葉巻仲間水澄むや絶対3LDKが必要カレー食う為の散歩や草の花黒い種白い種ある盂蘭盆会いつまでも怒る息子や秋の色去年まで住んでいた部屋秋の蜂初秋の便器ほどほどきれいなり歯茎腫れて穴子寿司の美しや残暑かな何度もいないいないばあ会計の早い病院鰯雲梨拭けば赤子が笑うなり秋の昼私は声で分かるから新米にとやかくは言わんけど桃並べ雄雌の見分け方狗尾草じゃあ私が見せちゃるけんね犬を飼う人の集まる夏野かな右を向く著者近影や雨蛙網戸して中古マンションのチラシ求める事をすれば良いだけ梅雨茸お花畑冷凍炒飯上手く盛る焼肉屋煙と灯り漏れ晩夏歯が痛くなつて夕立音の無く兜虫義母に見られてはならぬ噴水や親孝行として泣けり炎昼や女子小学生の露骨一番良い運動すれば良い端居短夜の夫が入つて出ていつてファミレスの平たいライス雲の峰青蜥蜴水曜空欄の手帳父方の親戚愉快夏料理白シャツやお釣りお願いします心太家賃払ってない人と水馬反省してるんだねえホント梅雨寒や一応食べれるよ食べな鈴蘭や手描きのヒーロー顔だけ東京へ行く郵便や田水沸く母の日にトイレの風水術言われ社内報に部長の笑顔梅雨に入るスーパーの床ピカピカやソーダ水熱意なら誰にも負けません白夜雨蛙考えたらわかるだらう寝て起きて昨日言われた言葉、滝蝸牛任せると言った以上は夕立にヨシと一言言い戻る空腹ややや常温の缶ビール新社員の向く方を向く新社員麗かや私の部屋は狭い木瓜の花お世話になつただらう君も行列の先頭にいる新社員お受験の子と受験の子門に入る新社員録音録画禁止なる春の野や苺味だと思つた赤行く春や時間かかるからお先にスイートピーあなたは会社員だから税務署の昼の無欲や桃の花して欲しそうな挨拶するよ花水木すげーーーという一言蝿生る春の山笑える名前笑い合う辛い時笑ってみよう蛍烏賊チューリップ説明書無きロボット犬啓蟄のケチャップ爆ぜながら出る春一番この電車はまだ止まらん野遊や見えないと言い張り続け春の雁三十九点二度の熱ビジネス街ステーキランチ春の虹春大根閉店間際の入店楽に金欲しいや駅のホーム長閑日常系ドタバタコメディ朝桜土筆野や私以外皆私服蒲公英やイッてやりましたわガハハ三月尽残業禁止だから禁止冴返る日の昇降機よく停まる立春や肉を焼くとき網も焼く待春の舌の置き所なき口中冬終る面倒臭そうな店員立春日帰り出張のいってきます不機嫌の伝わってきて余寒百千鳥聞かれれば答えるだけ雪とけて男らしいとこありますよ俺枝垂桜金目の物をあげたい浅き春手の裏を太陽に春の暮傘取りに戻る人亀鳴くや歯医者三十分耐えた終電が空の財布を運ぶ春春は曙あの部署にいつてくれたまへ春一番期待してないラーメン屋親の資産聞きし次男や風車猫の子や乾物ばかりの物産展春の泥いいねいいねとカメラマン賽銭に異国の硬貨初詣老人のジャンパーのまま餅啜る観音の列の太さよ冬の雲社歌歌う仕事始の咳払い元旦の歯ブラシ口に迎へをり女子高生ホットポカリと白い息センター試験アナウンサーの左右対称元日にカーテン開けしままの部屋雑炊を念入りに吹く怒老人着膨れて女子高生集団の嘲笑煮魚に煮汁かけ続ける狸終電や餅が焼けるのが遅い三寒と四温や温め直すパン大皿の牡蠣グラタンやドリンクバー炬燵猫別に仲間ではないよ笹鳴や作つてもらつたシチューが甘いナイフとフォーク使う朝食冬薔薇懐手いいよいいよ買ったげるよ冬枯や切手頼りなく貼られ妻不在焼肉食べ放題待春枯草を踏めばどうしたんですか待ち白菜や俺が食べるのを見てくれ冬凪や私平熱低いから平均身長平均体重年の市個人情報確認し合ふ年忘大鮪ノーヘル原付の走る白菜や歯間ブラシに血の滲む妹の友達見かけ年の市甲斐甲斐しく賀状投函する私鯨跳ぶハードカバーの本閉じるおへそ記念日セーターに指入る穴山眠る育児休業するらしく撮り直す為に大根抜かれをり雑炊や怒られたから笑うふふ返り花管理組合総会紛糾間違い探し間違いのまま晦日蕎麦文化の日突っ張り棒の影静か秋惜しむ慰安旅行の課長父に似て挨拶は私の役目冬雲雀勧誘を一本足で聞く梟凩や電子レンジで温まる駅伝子倒れなければ前進す鮫ゆらり隣の脚が当たりさう園長のぶっきら棒に寒の水冬晴の買い物袋二重なりどうしよっかどうしよっか帰り花還暦の母にケーキや枇杷の花メリーゴーラウンド上下せし冬麗秋冷房防災訓練打合すあの人は犬を蹴る人台風過雨の日のフードコートの秋扇鰯雲あるいは流線型ボデー兄弟の肖像写真冬支度冷まじやモリムラブラザーズラブ皆動いており秋の海に着いたガブガブとお茶ガリ食って雁渡る私も今そこにいるよ秋の蝶終電に礼儀正しく乗る夜長あすみませんあすみませんと檸檬の香秋麗鏡見続ける勇気ナンパ師の彼女や秋の虹二重東京を過ぎし台風ワイドショー四次元の写真に入り込む蜻蛉コンビニのおでんのはんぺんぷかぷかす晩秋や記念硬貨の菊の紋超巨大自動車会社とろろ汁着膨れて流体動物猫とゐる空つ風君そういうの好きだよね嬉しそうな異動報告枯芙蓉秋澄みし日や大仏と付けまつ毛大袈裟なキーホルダーや鰯雲敬老の日のスケッチの手が大きい導くやうに秋分の日の歩幅かな人混みに隙間のありし秋の波大南瓜煮て冷凍庫の乾き握り寿司より助六寿司が好きで月そりゃ私悪くないし猪旅人やどうせだつたら竜田姫解約の理由お聞かせ下さい秋思火の恋し笑つてくれる顔をして二番目に近いコンビニ草の花栗の毬割れタメ口の警察署明太子入卵焼焦げ雨月馴染みの店で儲け話をして檸檬もう寝るの紅葉且つ散るもう寝るよ印鑑を勝つやうに押す残暑かな蚯蚓死す満車のコインパーキング玉葱を吊るし客居ぬ駐車場居待月待ち受け画面に今の犬昼の桃答えは裏に書いてるよ八月の老人海鮮丼を食う東京に集まつてきて残暑親指の太く短し黒葡萄秋扇に第二関節なかりけりO脚の娘と秋の川歩きをりどこ小だよ前の花火のくづれゆく秋の蚊と食器と忘れ物のタオル秋の水さつきなんて言いましたつけ芋虫に柔き歯のありナムル食ふ朝顔や奥歯の噛み合はぬ破顔冷やかや零れるやうに二人言秋声や骨にはそれぞれの重さ秋晴やカレー冷たきカレーパン露けしてありがとう良い人ねレジに並ぶ氷菓が少し溶けるくらひ説教に小さき相槌土用鰻アイスコーヒー隣の席の子守唄電卓を何度も見せる熱帯魚白シャツの白き者より席を立つ向日葵畑に俺が居るとこ見たいだろゆふがたのハンカチ臭しまた拭ひ胡瓜折るやつてはいけないと言はれ大夏野足裏のまだやはらかく風死すや胃にヨーグルト溜まりをり夏の夜の仲良き家族ポン酢のポンまけまけの酒を撒く撒く夏の朝七夕やだからお前は駄目なんだ車座になつて夏野に話しをり二次会に上司が一人付いてきた滴りや別々に食ふチョコとパンかたかげり頼まれしこと忘るるる馬鹿夫婦雲の峰見て歩きをり日焼の先輩嗚呼人生は素晴らしい動かざる大学生の半裸かな散歩する為の散歩や青芒一人になれば夏休開始なり水っぽいカレー卯の花腐しかな百貨店に百貨のありし炎天下滝壺に骨が沈んでいるらしい蝸牛金で済むならそれで良し父の日や祖母の朝は早い異邦人の傘の短し藍浴衣発作的交際報告泥鰌鍋メロン切つてふたつのメロン眺むるるクーラーがクジラのやうに息を吐き夏風邪や面白い事言いますよ俺月曜の殺人現場にある麦酒蝉時雨自動改札のリズム青蜥蜴西口いつも先に待つ冷し中華先に帰つて来た夫押さないで下さい万緑に慣れるまで網戸してトイレ半開きで固定白南風や登場人物全員ムカつくヒロインは私と私梅雨茸雲の峰満腹中枢のお馬鹿つけ麺の麺の短し雨蛙炎天や財布忘れて愉快片かげり父に似た兄僕母似薫風やあとは食べてねよろしくね聖五月二人組でも良い三人入門編としててんと虫団子虫更衣昇降機に二人狭い飲み会と仲間が好きな黄金虫夏めいて言つちや駄目聞いちや駄目新樹光まづは変わつてないですねと送別会兼異業種交流会に蛍ホルモンを妻に多めに焼く緑夜満貫直撃夏野が怖くなつてきた知つてるよ私何でもさくらんぼどかどかと入店したり風死せりコンビニに汗ばむ少女と会社員盛夏かな食卓赤き皿うどん噴水に感情移入して号泣真夜中やソファ就寝蚊事ほっかむり玉の汗舐めてなかなかやるな俺春の川みな直線を引きたがる一塊の流動体として花見春の夜に標識多き道なのね梨の花だつて挨拶されたから昼蛙道に植木鉢植木鉢結婚をしないできない春炬燵菜の花やニューヨークへ行きたいのか犬ふぐり気象予報士の娘ぞ春駒や最近怒らなくなった猫の恋なんでも出来立てに限る最後まで見る価値は何残る雪地元ではぶいぶい言わせ春の泥遠足の電車に寝ているおじさん別々の入口出口春休磯巾着えらく批判的ですねえ選択肢みな正解の春の雨二軍の人は二軍のままに春惜しむ残雪や家賃六万五千円春休サドルの高さ合はせをり春の海髪を伸ばしている途中プロペラの回り始めて長閑なり食べられるもの少なくなり春の星巣燕や一人ネパール人陽気マネキンと同じ店員濃山吹春浅し整つてゐる鼻の穴最終電車過ぎし線路に春の月春光や地に着く足と着かぬ足食パン一斤抱えし帰路や春の風立春突撃人を見下すための靴格好良いゴリラやバレンタインの日春の風邪積み木○△◻︎この街はたまに風船飛んでゆく春眠のカーステレオや缶の空新しき看板娘水温む春疾風カレーうどんの小さき染み紙のなき啓蟄の公衆便所飲み残しはこちらにお捨てください春大丈夫?野遊大丈夫ですかコンビニにマニュアルのあり年新た獅子舞のずがりずがりと迫りくる助手席に乗り成人の日の晴着新年会目標話す時ふふふ太陽を動力にして亀の鳴く春めきて示し合わせたような色恋猫や説明口調となるデート人々を足早にする春の雨父の日や面影の無き家族写真立飲みの客の孤独やチューリップ春更けて自分だけ派手なシャツ剥がすことなき貼り紙やこどもの日母の日だぞと父からの電話くる剃刀の刃の冷たさや梅雨に入る紫陽花や食器を運ぶだけの夫蟇煙の多き喫茶店更衣お母さんだけ別の服惰眠貪り黴の一部と化していく虹消えて人影の無き歩道橋青蜥蜴尾の短さや手に火傷六月の階段いつも濡れてをり六月の太陽いつも暇つぶし新妻のすぐ泣き止みて冷奴噴水と呼ばれし水の溜まりをりバス停に不揃いな椅子夏木立人はもう水に戻れぬ梅雨出水必達の生産計画金魚玉A定食頼む一団秋祭炎昼の匂ひに粘度ありにけり網戸して街の一部と化してゆく作業着に着られ正しき胡瓜かな朝顔の蔓を誘導する手つき馬肥えて再開発の予定ある火星また新発見や今年米天高し新車初めての洗車迷惑な生き方として秋桜きょうはおとうさんがいたあつかった台風や納豆混ぜし箸の先敬老の日の煮物煮る長さかな水澄むや薄桃色の塩の岩隣人の団欒の声竹の春秋の暮明日やれる事明日にやるまだ道の半ばの釣瓶落しかなちちろ虫また夕飯のこと聞かれゆめ並ぶ習字教室新松子新米の食卓に父遅れ来る手拍子の合間合間やピーナッツ体育の日のおむすびやしゃけたらこ蓑虫や十円多き貯金箱あちこちの道濡れている祭かな秋の蚊の影の落ち着く机かな切れ端の残るうどんや枯芙蓉立冬やレシピ冷蔵庫に貼られどうだどうだ最近どうだ夏まつりセーターの箸の動きの遅きこと枯芙蓉尻尾に海老の残りをり前掛に青きポケット寒卵大鷹が赤い電車を狙いをる赤とんぼ可愛い子には旅させよ猿も木から落ちるコスモスに落ちる白い息吐く口は災いの元腐っても鯛殻有りて蝸牛帯に短し襷に長しかき氷数え日や早起きは三文の徳死人には目無し口無し流れ星鶯の鳴いて言葉を返します後はもう君が来るまで聖夜待つ数へ日の商店街を皆歩く白菜に買物袋傾けり梟や鏡とじゃんけんして負けぬ海鼠買ふ駅向ふ人迎ふ人土筆野にそれぞれ違ふ高さあり鉄骨組まれ金魚の泳ぐ場所となる日盛りやビルの背筋が伸びてゐる台風を包む卵の厚さかな遠方の友の遅刻や胡桃割る家族皆朝寝坊也糸瓜棚黄落の一樹やカレーとなる火力新米や食べてばかりのポストトト秋澄めばエビフライの尾も食べる肉焦がし続ける網や秋の潮団栗ころころ返事をせぬ返事枕にタオル今日から秋麗火が恋し宝くじの二三枚ハイボールの氷穏やかおけら鳴くメロン掬ふ境界線の定まりぬ秋の蚊のB定食となるアイツ天高し挨拶程々に診察秋澄むや塊となるオムライス蟷螂は満足感を食べに来る僕の人生アタシの人生まる子の忌穴に入る蛇や昇降機の加速通勤に嘔吐の跡や冬に入る神鶏のふてぶてしくも年惜しむ日向ぼこする皺の無き警備服うぐいすの鳴いて講義の休みをり春泥や農耕車のある駐車場鉄塔の線の行方や卒業す春浅し使うところのみ整理刈上げの日焼けの男ニカッとす肌脱ぎの男胸張る鏡前バナナ食ぶ手のひら腰に当てはめてパセリ摘むミラーボールの止まつてて着膨れの子のさよならの大きくて雑踏に入りて鮪の目となりて人前は繕うばかり寒椿春の虹改装中の馴染み駅初燕入門願い携えて足跡を一つ残して卒業す春の虹無職無職と自嘲するくるくると踊る歯車働蜂日々思うこと忘れおる日永かな余花ありぬ群れ合うことを良しとせず蜻蛉生まる乾麺に湯を注ぎ噴水の水の樹となり植物園シャワー浴びたし心臓の音聴こふれば紫陽花やポップコーンの弾け飛ぶ紫陽花や下宿には学生ばかり雷や後輩にしか怒れぬ男肩こりによく効きさうだソーダ水炎天はでっかいお尻のようなもの生真面目な男笑顔の海開き年下の自慢話や鵙日和秋燕やカレーの匂ふ住宅地秋の空電波は規則良く流れうっふんと背伸ばしたる豊の秋本物になりたい男の猛暑かな網戸見て複眼になる眼かな秋雨やプレハブ小屋を解体す部屋に一人家に四人の良夜かな霙降るもっぱら親指の付け根に俺が炬燵なら右脚を浮かす初雪を大口開けて待っている日本縦断冬鳥のマラソン冬晴れやコンクリートのひび割れて幼少期最後にそびえるパセリの樹風薫り練るほどに艶濃茶かな指先に集めて灯す夏の星はじき豆厚顔無恥と言われたり月から見ると人類みな双子女のやうな顔と言われし残暑台風通り過ぎ太陽はピカピカミドリムシ三日月は遠く漂いこの星の一等賞の残暑かな刈田にて巨人は足の裏をかく全方位炬燵生活横臥主義これからに胸膨らませ寝正月 #創作 #俳句 #文芸 #句集 44 この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか? サポート