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登山

先週の日曜日、朝の8時に来たLINEを布団の中で読み、思わず目が覚める。LINEの内容は、「今から山登りしよう」だった。今から山登り、内心やばいこと言ってるなあと思いながらも、こういう突発的で無茶な誘いに乗るのは好きなので、2つ返事で行くことにした。


ただ、本格的な登山は全くしたことがないので、登山用の靴も服も持っていない。1時間後には出発なので、今から買いに行く時間もない。何もわからないので、とりあえず登る山をググってみると、どうやら初心者向けであることが分かった。初心者向けなので、靴は普通のスニーカー、服装は外で運動できる感じならよさそうだ。装備を揃える必要もなく、気軽な恰好で行けることが分かり、「まあハイキングくらいの感じだろう」と僕はすっかり安心していた。


しかし、登り始めて15分、僕の安心はどこかに行ってしまっていた。初心者向けとはいえ、全体の道のりは2.5km。傾斜もきつく、かなり急な階段をずっと上り続けているよう。その上、前日に降った雨のせいで足元がぬかるんで、滑りやすい。道も整備されておらず、どこに足を置けばいいか分からない所も多い。初めは順調に登っていたが、どんどん休憩をとる感覚が短くなっていくいき、そこから動きだすまでの足が重くなっていく。それでも何とか体を引っ張りあげて、山頂に着いた。


山頂に着くと、それまで周りを覆っていた木々がなくなり、ぱっと視界が開けた。見下ろすと、これまで登ってきた道とその下に広がる平野が広がっている。その景色を見た時、「ああ、本当に登ったんだな」と思った。自分が高い所にいることに、登っている時は、目の前の道にひたすら挑戦していたから気づかなかった。しかし、来た道を振り返ってみれば、当たり前だが、やっぱり登ってきたのだった。塵も積もれば山となる、改めてこの言葉を噛み締めた登山だった。

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