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宮崎駿の「それでも俺は生きる」宣言

「気持ち悪さをもう、隠す気がさらさらないんだな」というのが、最初の感想。

ちなみに今回の記事は、情報なしに1回だけ見て感じた純粋な感想です。

見当違いなことを言ってる可能性もありますが、
鑑賞後、誰かの考察や感想を読み漁りたくなった人だけ戻ってきてもらえると嬉しいです。

1.一言でまとめると

一言でまとめると、宮崎駿の死生観を描いた哲学作品

「俺はこう生きるが、君たちはどう生きるか。」を問いかけている哲学映画だと解釈しました。


2."気持ち悪さ"を隠すことをやめた構成

冒頭の「気持ち悪さをもう、隠す気がさらさらないんだな」という感想がすべて。

この気持ち悪さというのは、喉に小骨が引っかかるような違和感も含まれてる。

これまでのジブリ作品も、「へ…?」とドン引きしてしまうような表現ってたくさんあったと思うけど、子どもにもわかりやすい物語としての圧倒的完成度で、一瞬感じたキモさや違和感を吹っ飛ばしてきたと思う。

鑑賞後「(よくわからんシーンもあったけど)めっちゃ良い映画だったな!!」という感想になる。宮崎駿のジブリ映画ってそんなイメージ。

でも『君たちはどう生きるか』は、整合性なんてほぼ無視、ストーリーなんて成立させる気のない、ほぼ夢オチ作品と言って良いと思う。

理解のできない気持ち悪さと違和感だけが積み上げられていくので、鑑賞後★1つけて駄作だ!激ギレするユーザーがいるのもわかる。

ちなみに、この作品を"わかる人"が高尚で、"わからない人"が低俗とは思わない。

映画作品に求めるものって、それぞれ違うからあくまでも個人の好き嫌いで評価されて良いと思う。

『君たちはどう生きるか』が好きな人は、作品との対話によって意味や価値を見出すような、答えのない作品が好みなんだろう。

考察なしには楽しめない作品なので、材料が豊富にある宮崎駿だからこそ成立する映画だとも思った。
これを無名監督がやったところで、ただの支離滅裂で意味不明な映画で終わる。


3.鑑賞中に感じた"気持ち悪い(疑問)点"

ここからは、私の知識では理解できなかった疑問というか、単純に気持ち悪いなと思った点を書きます。

自らを傷つけたときの異常な流血量
不登校のきっかけを作る自分で作った頭の傷は、あそこまで深い傷でなくてもよい気がする。
数日寝込むためにそれなりの傷を作りたかったかもしれないけど、それでも間違えたら死ぬぞってくらいの傷を自分でつけるって、普通の人間ならできない。しかもあんな小さい子。正直ドン引きした。

この映画の主人公はアタオカだし、普通のエンタメ作品じゃねーぞってのを、この冒頭の流血シーンで示しておいてくれたのが、ストーリー構成で宮崎駿が見せてくれた唯一の親切心なのかもしれない。

母親的役割の女性が3人も登場する点
生母のヒミ、義母のナツコ(生母の妹)、育て?お世話係のキリコと、メインの女性キャラ全てに"母"を感じさせる描写があるので、大きなテーマのひとつになっていることは間違いないと思う。

妊娠中のお腹を無理やり触らせるシーン
はじめましての5分後くらいに無理やり腹に手を当てさせ「あなたの兄弟(弟か妹かは忘れた)がここにいるのよ」アピールはこわすぎ。
新しい母親であること、というよりは、あなたの父親の新しい妻なのよ、というマウントを強く感じる。

マヒトに見られるような場所でいちゃつくナツコと父親
母親を亡くして、ただでさえ義母ナツコを受け入れることは困難なはずのマヒトの心情に配慮せず、なかなか濃厚なキスシーンを見せてしまう詰めの甘さ。
親目線としては、辛いなと思ってしまった。

迎えに来てくれたマヒトに対して義母ナツコの「あんたなんて大っ嫌い!」発言
いや、ナツコも義母としての辛さわかるよ。いろいろ背負うもんもあるよね。思うところあるよね。でも、それだけは言っちゃあアカンでしょNo.1くらいの発言だから。なんか状況的にマヒトもサラリと流してるけど、流せないですよ。しばらく、ってか一生引きずってもおかしくない。

マヒトとナツコ(とキリコ)が現実世界に戻ってきた時の父親のセリフ
私の記憶が確かならば、「ナツコ!マヒト!」の順で叫んで抱きしめたと思う。やっぱり、子どもは二の次というか、父親としてトンチンカンな発言や行動しまくってる理由がわかったというか。

その他も、13個の石の意味とか、インコ大王の役割とか、細かい点で言うと気持ち悪い(疑問)点だらけなんですけど、特に気になったのが"親子関係"に関する描写でした。

宮崎駿は、両親に関するコンプレックスというか、執着的なものがあるのか気になる。

4.「それでも俺は生きる」宣言

これは勝手な私の考察というか、妄想です。
大叔父から「汚れのない世界で世界を構築する(ブロックを積む)役割を引き継いでくれないか」的な提案をされるシーン。

魅力的な提案なのに、マヒトはドン引くほど流血させた頭の傷を指差しながら、「僕は汚れているから、この世界を引き継ぐ資格はない」みたいなニュアンスのことを言って断る(記憶曖昧で間違ってたらすみません)

おそらく大叔父のいる世界は、汚れのない理想的な世界、つまり死後の世界。

「現世の苦しみや悩みから解放されて死を選ぶこともできるけど、俺には死を選ぶ資格がない。だから、この現世を生き抜く。」という、宮崎駿の宣言なんじゃないか。

宮崎駿はきっと天寿を全うするまで、全力で生きてくれるんじゃないかと思った。

「俺はこう生きるが、君たちはどう生きるか。」


#君たちはどう生きるか


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