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「マイペースだね」という言葉。


子どもの頃からよくいわれた言葉。

自分の勝手な解釈ですが…嫌な言葉という印象はありませんでした。
明るい色のあたたかい言葉だと感じていました。

成長とともに、この言葉の裏に隠れている言葉がチラチラ見えるようになりました。
言葉から感じる色も変わったように思います。


大人になると、この言葉は暗い色になっていました。

空気がよめない
タイミングが悪い
ノリが悪い

協調性がない

「マイペースだね」という言葉の衣を羽織った冷たい言葉たち。


***

自分が「マイペース」だという自覚はあります。周りの人とは少しペースが違う。
そして、裏に隠れている言葉もきっと自分に当てはまっていると思います。


開き直っていると言われてしまうかもしれないけれど…「マイペース」ってそんなに悪いことかな…と思ってしまう自分がいます。


もちろん、周りの人に迷惑をかけてしまうようなことはあまり良くないと思いますが…周りと同じリズムではない、同じテンポではない、同じ歩みではない、「周りと同じではないこと」「周りと一緒ではないこと」が悪いこととされてしまうのは…ちょっとモヤモヤしてしまう。
いや。だいぶモヤモヤしてしまいます。


***

ある有名人の方が、ご自身が周りから「マイペース」とよく言われることについてお話ししていらっしゃるのを見ました。
仮にAさんとします。
Aさんの言葉は、自分にとって衝撃的で、同時に心の底から「なるほど!」と感じました。そして、自分にとってとても心強い言葉でした。


ざっと…要約するとこのような感じです。

自分はマイペースという自覚がある。
でもマイペースって、『「マイ=わたしの」ペース』ってことだよね。
わたしのペース、わたしの歩幅、わたしの歩くリズム。
自分の人生、自分の道を自分のペースで歩く。
これって、みんなそうだよね。
人間みんなそうだよね。
みんなそれぞれ「自分のペース」がある。
いろいろなペースがある。
だからマイペースって悪いことではないと思う。
マイペースであることは当たり前のこと。
人間みんな「マイペース」なんだよ。


***

個々それぞれ自分のリズムを持っていて、自分のペースを大切にして生きている。
バランス的に100%自分のペース、というわけにはいかないこともあるかもしれないけれど、必ずどこかで自分のペースで歩いているはず。

『人間はみんな「マイペース」なんだよ』という言葉は、わたしの中にあったモヤモヤをさーっとどこかへ持っていってしまいました。


Aさんは最後にこう付け加えます。

でも、自分はちょっと「マイペースすぎる」かも。
自分の道を自分一人で歩きすぎる時もあるかな。
時々、ちょっと周りをみるのも大切かも。


そして、いろいろな意見を一気に吹き飛ばすかのように豪快に笑いながら。

でも。
「マイペース」ってとても大事なことだよね。
だから、マイペースは悪いことではないと思う。



生きていく上で、「マイペース」であることはとても大切なこと。
人間はみんな「マイペース」。

今までこんな風に捉えたことはありませんでした。

きっとわたしも「マイペースすぎる」タイプなんだと思います。
周りに迷惑をかけてしまうことは良くないことだと思うけれど、マイペースであることが悪いことではない、マイペースは特別なことではないということを知ることができたのは、自分にとってとても大きなことでした。



***

保育園ではたくさんの子どもたちとの関わりがあります。
子どもたちは十人十色。
皆、「自分」をしっかりと持っている。
一人一人、自分の色を持っている。
誰一人として同じではありません。

よくよく考えてみたら、子どもは「マイペース」そのものですよね。
みんな自分のペースで生きている。


それが大人になると、自分のペースだけでは生きづらくなってしまう。
周りと同じように歩幅を合わせないといけない状況にもぶつかる。
自分のペースを出さないようにしないといけなくなる。
大人になること=周りとペースを合わせること…という雰囲気もある。

だから、「マイペース」という言葉の色が変わってしまうのかな。
そう考えるとすこし切ない。



***

悲しいことにわたしの周りには「マイペースだね」という言葉をひたすら言い続けて、相手を嫌な気持ちにすることを楽しんでいるような人がいます。


人間はみんなマイペース。
マイペースは悪いことではないよ。

「マイペースだね」という言葉にモヤモヤする時は、Aさんの言葉と豪快に笑う姿を思い出している。

最後までお読みくださいましてありがとうございます。 あたたかいお心遣いに感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございます。