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☆苦手な空間から一旦離してあげて。〜クラスの中に入るのが不安な子〜

※これから書く内容は、個人的な意見です。
子どもの発達はそれぞれです。実際には、目の前にいるお子様に合わせた働きかけをお願いいたします。


受け持っているクラスの中に、たくさんの子と同じ空間にいることに不安な子がいました。

クラスの人数は18人ほど。2歳児クラスです。

朝、私がクラスに入ると、その子はポツン・・・と端の方で壁に向かって座っています。
その子は8時前に登園するのですが、その時は子の人数も少ないので、
おもちゃに触ったり、絵本を見ていたり、保育士のそばで寄り添っていたりするのだそう。

それが、続々と登園してくる子が増えていくにつれ、その子はどんどん端の方へ寄っていき、おもちゃで遊ばなくなり、
あげくの果てには壁を向いてしまって、見ない、聞こえないふりをずっと続けていたのです。

保育士が心配になり、「どうしたの?何か困ったことでもあるのかな?」と声をかけても、黙ったまま。
お友だちが「〇〇ちゃん、おはよう!」と声をかけても、黙ったまま。
顔を隠してしまいます。

なるべく自分の姿が、友だちの目に見えないように隠れているみたいです。

こんな状況を「この子は繊細な子だから」と片付けてしまえば、この子はいつまでもこの状態を続けることでしょう。

そこで、私はその時、連絡帳を取りに行ったり、白衣の準備をする段取りがあったので、その子に

「〇〇ちゃん、ちょっと先生のお仕事手伝ってくれるかな?」

と、声をかけてみました。

すると、みるみる笑顔になり、

「うん!」と喜んでついてきてくれたのです。

きっと、その子にとっては、苦手な空間から離れられることになり、好都合だったのでしょう。

このように、複数の子がいっぺんに集まる場所があまり得意ではない子は、
この子だけに限らず、年齢を超えても、どこにでもいます。

大人でも、人が集まる場所が苦手・・・という人は多いはず。

自分でその苦手な場所、不安を覚える場所から離れられることができる場合は問題ないですが、「不安だけど、どうしたらいいか分からない」という時は、周りの人が気づいてあげて、その不安や困ったを取り除いてあげる配慮が必要です。

一旦、自分の落ち着ける場所へ避難し、心を取り戻してから、気持ちが切り替わったところで次の行動へ移してあげる。

必要な配慮だと思っています。

不安で仕方ないのに、
「いつまでもそれでは困る。我慢しなさい。」と言って、無理やりその苦手な空間に居続けるのというのは、大人でも酷なことでしょう。

私はそのあと、その子の背中をさすりながら、
「さっき、何が嫌だったの?」と聞いてみましたが、
黙ったまま、その質問には答えてくれませんでした。

誰か苦手とする子がいたのでしょうか?
それとも、人が集まってガヤガヤしてくる雑音が不快だったのでしょうか?

直接の理由は分かりません。

でも、私はそれ以上聞くのは、やめました。

『今は言いたくないんだな』と思ったからです。
あえて、聞く必要もないと判断しました。

今、その子が欲しかった環境は、
理由を先生に伝えるのではなく、ただ安心できる場所にいきたかっただけか、
もしくは、なんだか分からないけど不安な気持ちを肌で受け止めて欲しかっただけなのかもしれません。

その後、ある程度満足したのか、時間がたつと、
他の子と同じように園庭に元気よく飛び出していきました。

気持ちが切り替わったようでした。

このように、保育士も思わず困った状況を助けてあげようとして、
原因を探りたくなりますが、

「少し様子を見る」ことは、

保育でも、子育てでも、非常に重要になってきます。

あまりにも、困った状況が長続くのであれば、またその時に考えればいいだけです。

しかし、手遅れになるまで放っておくのはよくないですが、ある程度余裕をもって受け入れてあげることは、大切だと思います。

解決を急ぐあまり、その子にとって満たされない環境がより強くなり、長引いてしまい、さらに困難を幅を広げてしまうのは、避けたいですよね。


まずは、無条件にその子の気持ちを受け入れてあげて、少し様子を見守る。
それでも困った状況が続いたら、その時にまたアプローチの仕方を考える。

目の前の事態のそのものだけを見るのではなく、多角的な視点で、この行動をとる背景には何があったんだろう?と考える必要があります。

それは、この子に限らず、どの子でも、同じといえます。

なかなか、難しいですけどね・・・

この子が、今、笑顔でいられるためには、どうしたらいいんだろう?
そんなことを常に考えながら、総合的に見守っているところです。

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