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アナタの保育がもっと魅力的になる!保育園園長が本当にオススメする保育書を紹介します!

本は最もコスパの良い自己投資!と言われています。書籍は研修や講義などよりも安く、自分のペースで著者の学んだこと・経験したことを学べます。インターネットやSNSは情報源が曖昧で、本当に信憑性のあるものかわからないものもあります。書籍はその点、誰が発信しているのか明確です。

しかし、保育の本はたくさんあって、どれを選んだらいいかわからない…。とにかく良書が知りたい…。

そんな方のために、園長コマツがオススメの比較的読みやすい書籍や深い保育内容の書籍、保育園でも使えるビジネスの考え方など…本当にオススメできる書籍をご紹介します!

まずは自分の興味ある分野の本から読んでいき、少しずつ本を読む習慣を身につけましょう。

園長コマツ
とある私立認可保育所の園長です。 子どもや保護者、職員みんなが活き活きと暮らせる保育園へ向けて悩みながら改革中。 自分の取り組みや学びをNoteを通して発信します。 プライベートでは二児の父。 好物はハンバーグ。



とりあえず持っておくべき5冊!

子どもの権利条約ハンドブック(著者:木附千晶、福田雅章)

『子どもの権利条約ハンドブック』 自由国民社

こんな人にオススメ
・子どもと関わる全ての人。
・子どもの権利をわかりやすく学びたい人。

皆さんは、子どもの権利を尊重できていますか?保育者として、親として、人として…子どもに関わる全ての人にまず読んでもらいたい1冊です。国連で定められている「子どもの権利」についてとてもわかりやすく解説しています。

「権利なんて…難しそう…」という方でも大丈夫!具体例を交えながら、とてもわかりやすく書いてくれています!ルビが入っているので、お子さまでも読める内容です。

これからを生きる子ども達が、自分にはどのような権利があり、どのように生きるべきなのか、保育者や親はどのようなことを尊重すればよいのか……そのような事を考えさせられるテーマになっています。子どもに関わる人には必読の1冊です!絶対読みましょう!

私の園では保育士全員に配布し、感想をシェアする園内研修もおこないました。とにかく1度は読んで欲しい良本です。


日本が誇る!丁寧な保育:0歳1歳2歳児クラスの現場から(著者:大豆生田啓友 おおえだけいこ)

『日本が誇る! ていねいな保育: 0・1・2歳児クラスの現場から (教育技術新幼児と保育MOOKブックレット・シリーズ)』小学館

こんな人にオススメ!
・これから保育士になる人
・保育を始めたばかりの人
・保育の基本を学び直したい人

新人からベテランまで、全ての人が1度は読んで欲しい1冊。「丁寧な保育とはなにか?」「どうしたら丁寧な保育ができるか?」とてもわかりやすく解説されています。遊び、戸外、排泄…など生活のほとんどをカバーしているので、1冊で多くの学びに繋がります。

写真も200枚くらい使われていて読みやすいです!


子ども主体で考えるかみつき・ひっかき(著者:井桁容子)

『子ども主体で考える かみつき・ひっかき』Gakken

こんな人にオススメ!
・かみつきやひっかきについて理解を深めたい。
・かみつきやひっかきに悩んでいる。

こどものひっかき・かみつきにおいて、子どもの主体性に焦点をあてて書かれています。0・1・2歳のクラス担任をした方は1度は経験したであろう、こどものひっかき・かみつき。保護者に謝罪したり、保育中に気を張ってしまったり…負担が大きくなってしまいますよね。

著者の井桁容子先生は非営利団体コドモノミカタ代表理事を務め、Eテレの子育て情報番組「すくすく子育て」にも出演経験のある、乳児保育や保護者支援のスペシャリストです

かみつきはなぜ起こるのか?どのように対策するべきか?保護者対応はどうするのか?イラストも交えながら、とてもわかりやすく解説されています。かみつきについて学び、保育者としての専門性を高めましょう!


保育救命・保育者のための安心安全ガイド(著者:遠藤登)

『保育救命・保育者のための安心安全ガイド』メイト

こんな人にオススメ!
・保育中の怪我事故対応を学びたい。
・保育中の安心安全について研修をしたい。

子どもの怪我事故の対応…大丈夫ですか?遠藤登さんは「株式会社保育安全のかたち」の代表取締役を務める、保育事故の対応や検証をおこなうスペシャリストです。

保育中に起こりうる怪我(打撲、転倒、転落など)や病気(熱中症、アナフィラキシーなど)の対応、救急車の呼ぶ場合の対応など、とても丁寧に書かれています。なによりイラストが多く、非常に読みやすく、対応についてフローチャートも書かれているのが最大のメリットです。

保育の怪我事故の対応に特化し、なおかつ見やすい書籍は本当に貴重です!

私の保育園では、職員会議でこの本の中から1テーマずつ取り扱い、知識を貯めています。


対話が生まれる・同僚性が高まる 保育のファシリテーション: 園内研修・クラス会議・OJT 22の好事例集(公益社団法人全国私立保育連盟 (監修), (著者)鈴木 健史

『対話が生まれる・同僚性が高まる 保育のファシリテーション: 園内研修・クラス会議・OJT 22の好事例集』中央法規

こんな人にオススメ!
・保育ファシリテーションについて学びたい。
・職場の園内研修を活性化したい。
・職場の人間関係を良好にしたい。

保育現場でファシリテーションを活かしている事例集です。保育ファシリテーションとは、職場内の人間関係を向上させ、対話を通して保育の質向上を目指していくスキルです。

保育における離職原因として「人間関係」が多く挙げられています。保育はそれぞれ職員が持つ価値観が大きく影響します。だからこそ、相手の保育を否定すると、それがその人自身を否定してしまうような感覚になり、そこから人間関係が悪化するケースもあります。

大事なのは、自分も相手の価値観も共有し、分かち合うことです。しかし、それは意図しておこなわなければ難しいでしょう。どのようにしたら、良好な人間関係が築けるのか、そこから保育の質向上に向けてどのような取り組みが必要なのか、とても分かりやすく書かれています!

保育ファシリテーションはミドルリーダー層はもちろん、園長も学ぶべき知識ですね


環境

こどもの環境づくり辞典(著者:日本建築学会)

『こどもの環境づくり辞典』青弓社

こんな人にオススメ!
・環境についてより専門的に学びたい
・他業種(建築・設計)目線の保育環境づくりに興味がある
・建築、設計に興味がある。

設計・建築目線で子どもの環境づくりが書かれた本です。保育者や学者が保育環境について語る本は数多くありますが、設計者が語る保育環境の本はそう多くはありません。

しかし、当然ながら建築・設計も人が育つ環境づくりのプロです。空間の解放感や光の入れ方、遊びのアイディアなど、実際の事例付きで解説しています。

事例にはあんず幼稚園、せいがの森保育園、うらら保育園、ウッディキッズ、野中保育園…など保育業界のトップレベルの保育施設13園が掲載されています。それらの保育園の保育環境を知れるだけでも…ものすごく学びになる1冊です。


園内研修

子どもが育つ保育環境づくり 園内研修で保育を見直そう
(著者:柴崎正行)

『子どもが育つ保育環境づくり―園内研修で保育を見直そう』学研プラス

こんな人にオススメ!
・保育の環境を見直したい
・園内研修で環境をテーマにしたい
・研修のやり方を知りたい

保育環境を見直したい方…必見です!子どもたちが主体性を発揮するためには、自分たちから周囲に関わっていくような環境作りが大切です。

「環境を見直したい…でも、どうしたらいいかわからない」

そのようなお悩みを持つ方に必見の1冊です。園内研修で環境をテーマにする場合の取り組み方や各年齢の環境の見直し方など実践例と共に載っています。

事例集としても使えるので、読むだけで環境への知識が深まります。


プロセス・エデュケーション: 学びを支援するファシリテーションの理論と実際(著者:津村 俊充)

『プロセス・エデュケーション: 学びを支援するファシリテーションの理論と実際』金子書房

こんな人にオススメ!
・「対話」について学びたい。
・ファシリテーションに興味がある。
・プロセスを尊重した研修がしたい。

保育の話し合いは「プロセス」が大切。その意味がわかります!保育の話し合いでは何かを決定する「議論」のみがされることが多いです。しかし、「議論」は何かを決める場であり、人間関係の構築はできません。

職員間の人間関係を構築する場を作る事が必要です。そこで場づくりに役立つのがこの本です。結果ではなくプロセスに目を向ける、そのような対話を行うにはどのようにしたら良いか?が掲載されています。

内容は直接的に保育ではありませんが、話し合いの場を構成する上でとても学ぶ価値のある一冊です。


マネジメント

メンバーの個性が生きる 保育リーダーのマネジメント力40のポイント: ワークでモヤモヤを解消! (著者:松原美里)

『メンバーの個性が生きる 保育リーダーのマネジメント力40のポイント: ワークでモヤモヤを解消!』中央法規出版

こんな人にオススメ!
・保育園でリーダーもしくはミドルリーダーの役職についている。
・リーダーもしくはミドルリーダーの養成を考えている。
・保育園のマネジメントについて学びたい。

保育リーダーのわかりやすい教科書が発売されました!

本の著者である松原美里さんは合同会社ウメハナチャイルドケアコミュニケーションズ代表を務めており、コーチングやファシリテーションが専門分野の方です。保育士キャリアアップ研修のマネジメント分野でも講師をされています。

この本の冒頭で梅原さんは次のように書かれています。

リーダーという仕事は大変ですが、それゆえの豊かさやできることが増えるというプラスの側面がたくさんあります。とはいえ、チームの一員であったときの視点のままだと、なかなかうまくいきません。リーダーは、リーダーならではの視点を身につける必要があります。

『メンバーの個性が生きる 保育リーダーのマネジメント力40のポイント: ワークでモヤモヤを解消!』(著者:松原美里)

この本は保育リーダーに求められるマネジメントの視点をとてもわかりやすく解説しています。

保育リーダーに求められるマネジメントの視点の具体例
・リーダーシップを発揮する
・マネジメント発想でとらえる
・チームメンバーを育成する
・働きやすい職場を作る
・キャリアを形成する
・豊かに生きる土壌を形成する

リーダーとしての役割は何か?職員のキャリアはどのように考えるべきか?チームメンバーの育成とは?基本的な内容がとーーーーってもわかりやすく書いてあります。

この本の優れているのは、それぞれの内容で研修をおこなえるように、研修で使えるワークが載っています。これからの保育リーダーなら1度は読んでおきたい、良書です!


ビジネスパーソン52の人格 サブ・パーソナリティー(著者:八尾 芳樹)

『ビジネスパーソン52の人格 サブ・パーソナリティー』セルバ出版

こんな人にオススメ!
・部下や後輩の指導につまづいている。
・教育に携わっている。

相手を分析し、指導の方向性を教えてくれる本です。指導する相手にイライラしてしまうのは、相手の性質と指導の方向性がズレているからです。

性を知るとグッと教えることが効率的になる可能性があります。また自分を分析し、方向性を知っておけば、学習の効率が上がります。指導する立場の人には必見の一冊です!

この本についてはコチラの記事でも書いています。


「対話と決断」で成果を生む 話し合いの作法(著者:中原敦)

『「対話と決断」で成果を生む 話し合いの作法』PHPビジネス新書

こんな人にオススメ!
・話し合いを活性化させたい
・声が大きい人の意見ばかり通る職場で働いている

「話し合い」について学びたい人は必見!著者の中原敦さんは立教大学の経営学部の教授で、20年以上「企業の人材開発」や「大人の遊び」を研究しています。中原さんは、本の中でこのように語ります。

私たちは話し合いがあるからこそ、さまざまな葛藤や矛盾を乗り越え、多様な人々と共生し、ときには協力し合い、独力では達成できないことすら達成できるのです。(中略)話し合いについて『教えられ、学ばれていない』にも関わらず『実践しなくてはならない』という『ねじれの状況』が発生します。

『「対話と決断」で成果を生む 話し合いの作法』

話し合いの実践よりも、まず方法を学びましょうということです。話し合いが必要な理由、良い話し合いと悪い話し合い、話し合いの具体的なケース…などなど。話し合いについて学べる貴重な一冊です。保育と話し合いは切っても切れない関係にあります。

ぜひ、話し合いの作法を学び、楽しくて有意義な話し合いをしましょう。


メンタルケア

保育者のための心の仕組みを知る本 ストレスを活かす 心を守る(著者:掛札 逸美)

『保育者のための心の仕組みを知る本 ストレスを活かす 心を守る』ぎょうせい

こんな人にオススメ
・ストレスがたまっている。
・人間関係で悩んでいる。
・保育者としてやっていけるか悩んでいる。

保育士のストレスに寄り添い、向き合い方を教えてくれる1冊です。掛札逸美さんは心理学博士であり、保育の安全研究・教育センター代表を務めています。

私たちは日々ストレスを感じながら生活していますが、ストレスに対しての知識や向き合い方はあまり考えません。例えば、本書の中にはこのような記載があります。

ストレスには「良いストレス」と「悪いストレス」に分類されます。その線引きをしているのは、他でもない自分自身の価値観です。価値観は習慣によって変えられます。

『保育者のための心の仕組みを知る本 ストレスを活かす 心を守る』

本書では実際に保育士として働く人が感じたストレス事例を数多く紹介し、ストレスの向き合い方について丁寧に解説されています。この1冊を読むことで、心がとても軽くなると思います。

また、後輩の指導をしている方も必見です。どのような時にストレスを感じるのか、どんな事に気を付けるべきなのか、読むと理解できるようになります。

保育で働く人にはぜひ、お守り変わりに持っておいて欲しい1冊です。


保育・こども哲学

育ての心(上・下)(著者:倉橋惣三)

『育ての心(上・下)』フレーベル館

こんな人にオススメ!
・子どもが育つことを深く考えてみたい
・日本の保育の考え方をより知りたい

倉橋惣三は「幼児教育の父」と呼ばれ、日本の幼児教育に大きく貢献しました。こどもが育つ力を信じることや、環境を整える大切さ、日本の保育の礎となった文章です。

「育ての心」は保育の教科書にも使用されるほど、有名な書籍です。

保育士であるならば、育ての心は必ず一度読むべきだと考えています。


保育のグランドデザインを描く:これからの保育の創造にむけて

『保育のグランドデザインを描く:これからの保育の創造にむけて』ミネルヴァ書房


こんな人にオススメ!
・保育の未来を考えたい
・学習とはなにか、社会とはなにか…哲学的に教育を考えたい

保育実践者である6人の園長と長年に渡り保育研究をリードし続けている汐見稔幸先生との対談本です。

保育のグランドデザインとは?
「私たちは日々、子どもに対する願いを抱いて、その育ちにかかわっています。そうした願いは『こういう人間に育ってほしい』という願いですが、そこには『そういう人間こそ、社会で活躍してほしい』という願いが込められているはずです。それは『子どもへの願い』であるとともに、その子たちが生きる『未来への願い』『社会への願い』でもあるはずです。この『未来への願い』『社会への願い』こそが日々の保育の根底にあるもの、すなわち保育のグランドデザインです。」

『保育のグランドデザインを描く:これからの保育の創造にむけて』

保育がもたらす未来への願い、社会への願い…そのような視点で私たちは今こどもたちに何をしてあげられるのか?何をしなくてはならないのか?

全ての保育者にあてはまるテーマです。東京大学名誉教授・白梅学園大学名誉教授の汐見稔幸先生が園長先生と対話します。和光保育園の鈴木まひろ先生、見守る保育の藤森平治先生など…とても豪華な対談本です。読めば必ず学びになります。

保育の未来を考えたい方はぜひご一読ください。

大妻女子大学の久保健太先生が書く序章も、もの凄く勉強になります。


虫眼とアニ眼(著者:宮崎駿,養老孟子)

『虫眼とアニ眼』新潮社

こんな人にオススメ!
・こどもの本質に興味がある
・対談が好き
・ジブリが好き

スタジオジブリの宮崎駿監督と解剖学者の養老孟子先生が”人間”や”生活”について語ります。それぞれの分野で”天才”と言われる2人が語ったら…面白くないわけがない!

「世の中には悪いヤツが必ずいて、そいつをやっつければ、この世はよくなるという考え方、あれは、もうやめようと思っているんです。そうじゃなくて、こうなったのは、みんなで一緒にやっちゃったんだというふうに思わないと、なにも道は生み出せないと思う」

本書より宮崎談

「まず、感性の基本には、ある種の「差異」を見分ける能力があると思う。(中略)現代の人間、とくに子どもたちが、いまどこにその差異を見ているのかを考えると、結局人間関係の中に見ちゃっているんですね。(中略)いまや子どもまでもがそのようなディテールを見分ける能力が抜け落ちてしまっている」

本書より養老談

直接、保育の技術に直結するものではありませんが、こどもについてもっと深く考えられるようになります。

宮崎駿監督が描いた、”理想の保育園”のイラストが載っています。めちゃくちゃ素敵なので必見です!


子育て

この言葉がけが子どもを伸ばす!(著者:汐見稔幸)

『この言葉がけが子どもを伸ばす!』PHP文庫

こんな人にオススメ!
・どのような言葉がけをしたら良いかわからない。
・子どもの自己肯定感を育めるような声掛けがしたい。

こどもにどんな声掛けをしたらいいの?そんなお悩みに寄り添う、言葉掛けに特化した本です。言葉掛けの具体例から、なぜそのような言葉掛けをした方が良いのか?非常にわかりやすく書かれています。


番外編

実録 保育士でこ先生(著者:でこぽん吾郎)

『実録 保育士でこ先生』 KADOKAWA

こんな人にオススメ!
・保育あるあるの漫画が読みたい
・癒しが欲しい

一度は目にしたことのある…保育士あるある漫画!保育士を取り扱った漫画は色々ありますが、中には「想像で書いているんだろうな…」という物も少なくありません。

この漫画は本当に保育士あるあるな内容が記載されています。クスッと笑えるような、癒しが欲しい方はぜひ!


以上です。オススメ書籍があれば、増やしていきたいと思います。
参考になれば幸いです。ぜひ、ご覧ください!


コチラもオススメです!
保育園や幼稚園で充実した園内研修をするためのネタが充実しています。

知っているようで、なかなか知らない……子どもについての話をわかりやすく解説しています。

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