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赤ちゃんはなぜ物をすぐに口に入れるの?舐めることの大切な意味と対応を解説します。

赤ちゃんと一緒にいると、すぐ物を口に入れてヒヤヒヤしてしまう経験ありませんか?飲み込んでしまったら大変だし、おもちゃはよだれでベトベトになるし…できれば「やめて!」って思ってしまいますよね。

しかし、物を口に入れる事は発達の上でとても重要な行為なのです。知識を身につけていれば、子どもへの見方や関わり方が変わります。今回は赤ちゃんが物を舐める意味を解説します。

園長コマツ
とある私立認可保育所の園長です。 子どもや保護者、職員みんなが活き活きと暮らせる保育園へ向けて悩みながら改革中。 自分の取り組みや学びをNoteを通して発信します。 プライベートでは二児の父。 好物はハンバーグ。



赤ちゃんが物を口に入れる理由

生後2~3か月を過ぎたくらいから、赤ちゃんの手の動きが活発化します。その時に、口元に触れた手や指を吸う行為が見られ始めます。これには一体どのような意味があるのでしょうか?

物の形を「目」ではなく「口」で確かめている。

赤ちゃんの中では、手や目よりも、実は口がいちばん感覚刺激を受ける器官なのです。生まれたての赤ちゃんの視力は0.02くらいと言われていますし、もちろん手足は自由に動かせません。

しかし、味覚に関しては胎内にいる時にすでに完成されていると言われています。それを証明したのが、シュタイナーの実験と呼ばれるものです。

シュタイナーの実験とは?
生後2時間の赤ちゃんに水・甘味・酸味・塩味・苦味を与えるという実験をしました。すると、甘味はよく飲み、苦味は飲まないという結果になりました。このことから、赤ちゃんは生まれた時から味覚を感じている、という事がわかりました。

ちなみに塩味には抵抗がなかったそうです。これは妊娠中の羊水が、塩分濃度約1%で構成されているからと考えられています。この濃度は海の中で脊椎動物が生まれたときの塩分濃度と同じなのだそうです。なんだか神秘的ですね。

このような事から、赤ちゃんはただやみくもに口に入れているのではなく、物の形や感触、大きさなども口を使って確かめているのです。大人はこれまでの経験から、「柔らかそう、堅そう、ザラザラしてそう、プニプニしてそう」など、見た目でどのような物かを判断できます。

しかし、赤ちゃんにはその経験がありません。したがって、一番敏感な器官である口を使い、物の性質を確かめているのです


舐めるのは、食事の始まり

赤ちゃんには生まれつき「哺乳反射(ほにゅうはんしゃ)」という能力が備わっています。哺乳反射とは舌挺出反射(ぜつていしゅつはんしゃ)、吸啜反射(きゅうてつはんしゃ)、口唇探索反射(こうしんたんさくはんしゃ)の3つの反射の総称を指します。

赤ちゃんが乳を飲むのは自分の意思ではなく、反射によるものです。「乳を飲む」という一見単純な行為も様々な反射の上に成り立っています。

哺乳反射
「舌挺出反射(ぜつていしゅつはんしゃ)」…口の中に固形物が入ると押し出す反射。誤って誤飲しないため。
「吸啜反射(きゅうてつはんしゃ)」…口に乳首が当たると吸う反射。おっぱいを飲むため。
「口唇探索反射(こうしんたんさくはんしゃ)」…指でほっぺや口を押すと指を探す反射。おっぱいお探すため。

哺乳反射は成長と共に消えていきます。色々な物を舐めるという行為を始めたということは、「吸う」動きから「食べる」動きに自分で切り替えているのです。


脳の発達を促している

赤ちゃんの脳は、生まれてからすぐ成人と同じような機能がすでに表れている事が確認されています。脳は五感(視覚・触覚・味覚・嗅覚・聴覚)を通して刺激を受け、発達していきます。

刺激の中でも、色々な感じ方があるようです。視覚や聴覚は脳のピンポイントな部分に刺激を与えると言われています。それに対して、触覚や味覚はピンポイントではなく、広い領域に渡って刺激を与えることがわかっています

保育園で泥遊びや小麦粉粘土などの感触遊びをおこなうのは、発達における感触の大切さを知っているからなのですね。

口で物の情報を読み取ることで、脳へ刺激が伝わります。その経験を繰り返していくことで、手触りや見た目で物の性質を理解できるようになってくるのです。


赤ちゃんが口に物を入れるときに気をつけたい事

赤ちゃんが物を口にいれることの重要性を解説してきました。ここからは、赤ちゃんが物を口にいれるときに、どのような事に気をつけたら良いかを解説します。

口にいれる事を無理に止めたり、強要したりしない。

前述した通り、赤ちゃんにとって口に物を入れるという事は大きな意味があります。口に入れることを叱ったり、むやみやたらに止めてしまうことは避けましょう。

逆に、口に入れないからといって、不安になる必要はありません。口に物を入れることを強要してしまうと、誤飲に繋がる危険があるので、強要はしないようにしましょう。

衛星管理には配慮するが…しすぎない心持ちも大切。

赤ちゃんが物を口に入れていて、多くの人が「汚いからやめてー」と感じてしまうのではないでしょうか。口に入れるものは雑菌が増えるから、毎日消毒しなきゃ…と思われるかもしれませんが、ご家庭のおもちゃであれば毎日の消毒は必要ありません。(保育園は色々な子が舐めるので消毒しています。)

もちろん、ある程度洗えるものは洗うことはしてもらった方がよいですが、大切なことは菌に対して敏感になりすぎないことです。この時期の赤ちゃんは、さまざまな物を口に入れる事で雑菌を体内に取り入れ、抗体を作っています。これから大人になる過程で様々な菌と付き合っていくことになります。抵抗力を身につけるためにも、敏感になりすぎないという視点は大切です。

コロナ禍は社会全体でウイルスの予防対策をしていました。その結果、子どもが他の新型コロナウイルス以外のウイルスにさらされる機会が減り、免疫力が低下した……と専門家は指摘しています。生きていくうえで、菌と付き合っていく事を考えなければいけないのですね。


誤飲に注意する

衛星よりも気をつけなければいけないことは誤飲です。消費者庁の調べによると、子どもの死亡事故で上位に入っているのが誤飲です。

こちらの表は消費者庁の『子どもの不慮の事故の発生傾向 ~厚生労働省「人口動態調査」より~』という資料です。これによると0歳児の死亡事故は80%近くが窒息によるものです。表の右側は詳細順位が記載されています。

それによると、窒息の内容は1位がベッド、2位が誤えん(胃ではなく、肺に異物が行ってしまうこと)…となっています。

消費者庁『子どもの不慮の事故の発生傾向 ~厚生労働省「人口動態調査」より

赤ちゃんの誤えんによる死亡が多い理由としては、多い物を口に入れる機会が成人より多い、咀嚼や口の筋肉が未発達…などがあります。また、赤ちゃんを含む乳幼児期は呼吸数が多く、声門(のどに位置する気道の入口)が開いている時間が長いのです。

誤飲や誤嚥を防ぐためには、赤ちゃんの口の中にすっぽり入ってしまう物を避ける必要があります。誤飲チェッカーを使用し、口に入れて良いものとダメなものをしっかり分けるようにしましょう。

身近な物だと「トイレットペーパーの芯の穴に通るもの」は窒息のおそれがあります。赤ちゃんに持たせないようにしましょう。


園長コマツがオススメする舐める玩具

ここからは園長コマツがオススメするなめなめおもちゃをご紹介します。保育園で使用していたり、私の子ども達も実際に使用して良かったものです。

コスパ最強!?なめられたろう

愛されて30年、保育園でも定番商品です。なめられたろうは握りやすさ、なめごこちを追求しています。プラプラのお手てがあったり、ギザギザ部分があったり…まさにひとつのおもちゃで色々な刺激を味わえるのが特徴です。

「なめられたろう」というネーミングもいいですよね!

手や足がプラプラしており、赤ちゃんの注意をひきつける一方、ひも自体はめちゃめちゃ頑丈です。あかちゃんに安心して渡せるのもポイントですね。なめなめ期は比較的早く終わりますが、お値段も安いので十分もとはとれます。


素材にこだわりたい人へ オーガニックコットン ベビーラトル

素材にこだわりたい方はこちらもオススメです。オーガニックコットンが100%使用されているので、口に入れても安心です。オーガニックコットンは見た目も和らかく、安心できる印象があります。手首につけてあげると、まだ握る力がついていない赤ちゃんでも楽しめます!

贈り物としても喜ばれそうですね!


写真映えを楽しみたい方へ コンビ ソフトクリームはがため

写真映えが好きな方はこのコンビ ソフトクリームはがためがオススメです。特徴はなんといっても、この見た目!あむっとした瞬間に思わず写真を撮ってしまいたくなってしまいます。ソフトクリームの部分がゴムになっており、なめなめ、かみかみ楽しめます。持ち手の部分が外れて洗えるので、衛生面もバッチリです!

チョコバージョンも売られており、どちらも可愛らしいデザインです。


まとめ

赤ちゃんが口に物をいれるのは発達上とても大切な意味がある

  • 物の形を「目」ではなく「口」で捉えている。

  • なめるのは食事のはじまり。

  • 脳の発達とも関係がある。

赤ちゃんが口に物をいれるときに気をつけたい事

  • 口に入れるのを無理やり止めない、また強要もしない。

  • 衛星管理も大切だけど、気にしすぎない事も大切。

  • 誤飲には細心の注意を払いましょう。

このように、一見なんでもないような行為に見えても、勉強すると様々なことがわかってきます。子ども主体の保育をしていきたいのであれば、子どもが自分で育とうとする力を信じる事が大切です。そのためには、子どもは自分で育つ!という具体的な根拠が必要です。

これからも学んで、保育士としてスキルアップしていきましょう!


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