昔の話⑳

久しぶりに野球をしたらまた野球部だった頃のことを思い出した。

高校の頃の話。

土日になるとよくよその学校と練習試合をしていたのですが、この練習試合において、ひとつめんどくさい風習というか、あんまり意味は無いのですがとりあえずやっておかなければいけない件みたいなのがありました。

それはグラウンド整備の時に起こります。

試合が始まる前と、五回裏が終わった後と、試合が終わった後にグラウンド整備を行なうのですが、これはだいたい主管校(相手に来てもらう側のチーム。ホスト側)がやるんですね。

まあ各グラウンドには各グラウンドの整備のやり方がありますし、トンボ(グラウンドに使うT字型の棒)もそんなに本数がないので、全然それでいいじゃんって話なんです。ここまでは。

めんどくせぇのはこっからで、グラウンド整備のタイミングになると毎回、ゲスト側のチームがダッシュして先にトンボを取ってとりあえず先に整備を始めなきゃいけない“暗黙のルール”みたいなのがあるのです。

で、そっからホスト側のチームの人が来て、結果的には代わってくれるのですが、

ホスト側「代わります!」

ゲスト側「や、大丈夫です!」

ホスト側「いえ、代わります!」

ゲスト側「じゃ、お願いします!」

というふうなラリーを2回挟んでからじゃないと代わっちゃいけないみたいな風習があるのです。

超めんどくさかった。これ。

多分全員思ってたと思う。これ。

すんなりやりゃあいいじゃねぇか。

ただこれをサボると監督キレるんですよ。無駄を強要してくるんですよ。

ホントジャパニーズノジュニアスポーツノシドウシャハムダナコトヲサセルノガスキネェ。
ソンデソレミテニヤニヤシテルンダカラアクシュミキワマリナイネェ。

毎度毎度バカバカしいと思いながらもやってたんですが、ある遠征の時、確か福岡県の高校だったと思うのですが、こんな人に出会いました。

試合が終わった後、いつものようにどうせ途中で変わってもらうグラウンド整備を行なっておりまして、確かショート辺りを僕は整備してまして、そしたら毎度のごとく相手チームの方がいらっしゃいまして、「代わります!」と。

いつものように「や、大丈夫です!」と返したところ、やや予想外の返事が。

「や、ここ(ショート)は僕のポジションなんで、僕がやりたいんです!お願いします!」

この言葉を聞いた時、敗北を感じました。なんかもうこの人には何をやっても勝てないような気になりました。こんな心の綺麗な人がいるもんなんだなと。

今までで一番気持ちよくトンボを譲りました。

それと同時に、ホントにこの風習滅びねぇかなと心から思いました。

こーゆーのがいっぱい残ってるから最近野球人気無いんだろうなと、常々思います。僕ももう一回やるかって言われたら、「絶対に嫌だ」って言いますもん。無駄が多過ぎ。

こーゆー呪いのような伝統・風習が一つでも滅びるように祈っております。

※この風習が全国共通かどうかは定かではありません。少なくとも当時(12〜13年前)の四国と九州地方ではあった風習です。「ウチは違ったよ」って方がいらっしゃったら教えていただけると嬉しいです。

読んでいただいてありがとうございました。退屈しのぎにでもなっていれば幸いです。