「神様ごっこ (신의 놀이)」に続き、イ・ランのアルバム「オオカミが現れた (늑대가 나타났다)」の歌詞の和訳まとめを書きます。
1. オオカミが現れた (늑대가 나타났다)
貧困をテーマに中世的な世界観で描写した歌詞。初っ端から劇のワンシーンのような音効的演出。韓国語が分からなくてもなんか怖そうだなということが感じられます。オオカミ少年は関係あるのだろうか?
2. 対話 (대화)
「対話」というタイトルで、楽器を使わずハモリだけで構成し、左右で異なる歌詞を同時に歌うという画期的なスタイル。「対話」といいつつ、お互いに行き違う二人の話者の内容が同時に歌われることで生まれる混乱が表現されています。
3. よく聞いていますよ (잘 듣고 있어요)
「수궁가(水宮歌)」という、パンソリ(という歌と太鼓の伝統芸能)の話と、自分の身の回りの生活の話を混ぜ込むという手法が使われています。
「수궁가」と検索してみた感じ、兎が亀に乗って海の中のお城を尋ねる(どこかで聞いたことあるような)話のようです。
4. 患難の時代 (환란의 세대)
前半と後半でくっきり分かれている曲で、後半は似た語感のフレーズで畳み掛けます。後半の死んでしまえば的な部分は、大変なことは大変だと相談しあいながら生きていこうという反語法的な内容とのこと。
5. パンを食べた (빵을 먹었어)
「オオカミが現れた」でも登場したパンが主題の曲。今日見た物の中でもっとも良いものがパン一切れだけだったという日の出来事が歌詞になったということのよう。
6. 意識的に眠らないと (의식적으로 잠을 자야겠다)
うまく眠れない夜にみんなどうやって眠っているのだろうかという考えで書かれた曲。
「私が言う言葉は全て死んでしまおう滅亡してしまおうというそんなものだけなのにこれが愛の歌だということを私の友達は分かるだろう」というのは、おそらく「患難の時代」の歌詞のことを指しているのだろうか。
7. 何気ない道 (그 아무런 길)
コード進行的には真ん中で完全に2つに分かれている構成の曲。好きな人の姿を眺めながらも、ただ過ぎていく事物を描いた歌詞。最後は韓国語とロシア語の「一二三四」というフレーズを繰り返す。やはりこのアルバムには西洋的なイメージがあるのかもしれない。
8. パクカン・アルム (박강아름)
パクカン・アルムという実在の映画監督を題材にした曲。この曲も「何気ない道」と同様、同じフレーズをひたすら繰り返して盛り上げていくスタイル。
MVはその監督の作品である'박강아름 결혼하다' (Areum Married)のドキュメンタリー映像とのことです。
9. ある名前を持った人の一日を想像してみる (어떤 이름을 가졌던 사람의 하루를 상상해본다)
ある暴力的な被害のトラウマを抱えた仮想の人物を想像し、その体験を自分しか話すことができないのにと呟く姿を描いた曲。やたらと具体的な情景描写が入ってくることが特徴的な歌詞。
10. 患難の時代(Choir Ver.)
前作「神様ごっこ」と同様、コーラス隊の歌唱で締まるアルバム。
参考
カバー写真