「超長綿を使用しています」、あぁ、そうなんですね。けど、、、ちょっと生地がうす、、、。

超長綿(ちょうちょうめん)という言葉をご存知でしょうか。

洋服に興味のある人なら時々耳にされたことがあるかもしれません。

読んで字のごとく超(とても)長い綿(コットン)のことです。

糸なんてそもそも長いもんじゃないの?と思う人がいるかどうかはわかりませんが、この場合の長さというのは糸の長さのことじゃなくて綿花の繊維長のことです。

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綿の糸は綿花をほぐしたワタを沢山つなげて(つむいで)作られています。

この綿花をほぐしたときのワタ一本一本が長ければ長いほど品質がよいとされていて、国際政府間団体であるICAC(国際綿花諮問委員会)によって繊維の長さごとに以下のように分類されています。

短繊維綿 13/16インチ未満
中繊維綿 13/16インチ以上~1インチ未満
中長繊維綿 33/32インチ以上~35/32インチ未満
長繊維綿 9/8インチ以上~21/16インチ未満
超長繊維綿 11/8インチ以上

なんともわかりにくい分類。。。中途半端に約分するくらいなら分母を全部32に統一すればいいのに。。。

それはともかくこの分類における一番下の段の超長繊維綿を略して超長綿と呼んでいるわけです。

11/8インチというとちょっとわかりにくいのでミリに換算します。

11/8インチは少数で表記すると1.375インチ。

1インチは25.4ミリなので

1. 375×25.4=34.925

つまり34.925ミリ以上の長さのあるコットンのワタは超長綿ということになります。

なにせ品質の良いコットンだと思っていただけばよいかと思います。

さて、

この超長綿という言葉、高級なアパレル商品を見ているとたまに出てきますが、糸屋の立場として「なんだかなぁ」と思うことがちょいちょいありまして。。。

言いたいことはとてもシンプルです、

超長綿を使った洋服、薄っぺらい生地のやつが多すぎる!!

なんとなくご想像いただけるかもわかりませんが、超長綿なんて立派な分類にくくられているワタなのでとても高価です。

そのため超長綿を使う企画では材料コストを抑えるために薄い生地で軽い製品を作ることがしばしばです。

ちょっとだけ脱線します。

世の中には超長綿を少しだけブレンドした糸を作って材料コストを抑え、「超長綿を使っています」というような書きかたをするアパレル企画もたまに見かけますが、これは論外だと思います。

嘘じゃないけど優良誤認表示、いわゆる不当表示に近いものだと私は考えています。

それはさておき、

ちゃんとした超長綿を使ったアパレル企画では、めっちゃ薄くて軽い製品を良く見かけます。

アパレルメーカーは商品に謳い文句が欲しいので「超長綿を使用しています」と書きたい。

けれども、コストを抑えたいから薄く作りたい。

そして、薄く作っていることをコスト削減の為だとは思われたくないから、「超長綿ならではのしなやかさ」とか「超長綿だからこそ実現できたこの軽さ」というような文言で表現する。

確かにこれは不当表示ではないと思います。

いわゆる「言い方」というやつですね。

確かに超長綿というのは繊維一本一本が長いので結果的に細い糸を作ることが出来ます。

原理は以下の通り。

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この図でもわかりにくいかも、、、もっと上手に説明できる方法を思いついたらまたどこかで登校したいと思います。

今回はこれでご容赦ください。

薄い生地で軽い製品を作るには細い糸が必要なので、超長綿で作られた細い糸が軽い製品を作るために活躍するということは理屈の上でも正しいと思います。

けれども何か釈然としない。

私の個人的な感覚ですが「A5ランク黒毛和牛ステーキランチ」を注文したら厚さ3ミリくらいの焼肉1枚とご飯とサラダが出てきた、みたいな気持ちになってしまいます。

嘘じゃないけど、なんだかなぁ。。。という感じ。

確かに油が乗ってて柔らかくて美味しいけど、高級なお肉を食べた!という贅沢感とか満足感とかが、これでは味わえないように思います。

超長綿を使ってしっかりした肉厚の生地を作れば、ボリューム感があってしっかりとしているのに柔らかくて肌ざわりも滑らかな生地になります。

せっかくならこれを味わいたい。

もちろんこれはあくまでも個人的な好みの話です。

もちろん薄い生地が好みで軽い洋服が好き!という人には当てはまらない話かなとは思います。

うちのTシャツの中で最も生地が分厚いインド超長綿のタック襟Tシャツは1着あたり240gの重さです。

商品の詳しい説明は省きますが、超長綿の極細糸を沢山束ねて作った糸を使って、これでもかというくらい目を詰めて編んだ生地を使っています。

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一般的なTシャツの中でこれが重いものなのかどうかわかりませんが、少なくともかなりボリューム感があって肌ざわりは滑らか、確かな贅沢感を味わってもらえると自信を持っている商品です。

インターネットがかなり発達した今の世の中でも「ボリューム感があるのに柔らかい肌ざわり」はやっぱりお伝えできないのが、非常にもどかしいです。。。

あくまでも文章でしかお伝えできないので例えて言いますと、

厚さ5cmくらいはあるんじゃないか?というA5ランク黒毛和牛ステーキなのに食べても全く胃もたれしないクオリティ!

という感じでしょうか。

伝わるかな。。。

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