初めてのフルマラソン(予行練習)③…鼻水について

寒さのためか、あるいは大気に舞う塵や花粉のせいか、鼻水が出る。これも10km程度のランならさほど問題ではないと思う。しかしハーフ以上の距離になると深刻な問題にもなりかねない。


啜って済む程度の鼻水ならいい。しかし止め処なくだらだらと流れ落ちてくる鼻水に対しては、「啜る」のは得策ではない。呼吸が乱れ、集中力は散漫になり、やがて嫌気がさしてくる。

そこで僕が会得した対応策は「放置する」だ。流れてくる鼻水は「ありのまま」に、そのまま流しておく。啜らずに放置しておけば呼吸が乱れることもない。見たか、鼻水よ。僕はたかが分泌物のお前ごときに屈しない。


問題は鼻の下の違和感、そしてルックスの問題だ。


鼻の下の違和感については我慢するか、グローブをはめた手で鼻水をサッと拭い取ることでなんとかなる。グローブは汚れるが、それで誰かと握手するわけでもなし、大した問題ではない。両手を擦り合わせるようにしてさりげなくその液体を無かったことにする。


ルックスの問題は、気の持ちようだと思う。誰も僕の顔など見ていない。仮に見られたとしても、大勢いるランナーのうちのたかが一人だ。「あ、鼻水垂らしてる」と思われようが僕の人生に何の支障もない。それにサングラスだってしている。気にしなければいい。


そのようにして僕はランニング中の鼻水問題を克服した。克服した、と感じたその瞬間は、ランナーとしてまたひとつ、大きな成長を遂げたのだな、と我ながら誇らしかったのを覚えている。


きっと思春期だったらそう簡単に克服はできなかったと思う。まさかティッシュを持って走ったりはしなかっただろうけど、自分なりの対処法を見つけるのにはもっともっと時間がかかっただろう。


40歳近くになってマラソンを始めた僕。スポーツに関しては何の取り柄も貯蓄もない。しかし、だからこそ開き直りのような姿勢というか、失うもののないスタンスで臨めること、それはなかなかの強みなのかもしれない。


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