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美味書籍①ピーター・ゴドフリー=スミス著 夏目大訳『タコの心身問題』2018年


 読書歴の浅~~い私ではありますが、気に入った本に関し、備忘を兼ねて読後の感想エッセイ的なものを記してみようかなと。

 そんな風に思い立った次第でございます。

 

 記念すべき第一本目は、つい先日読み終えたばかりの書籍、『タコの心身問題 頭足類から考える意識の起源』(みすず書房)。

 「(思考/認識/記憶の集合体という観点での)心」について・・・その正体とは一体何であるのか、またその起源はどこにあるのか。そういった事柄を考えるための手がかりとなる一冊。


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(みすず書房HPより引用 https://www.msz.co.jp/book/detail/08757.html)

 この表紙のインパクトに惹かれて借りてきたのですが、これが中々どうして面白い。

 ぶっちゃけ、哲学関連の書籍はどうにもとっつきづらくて食わず嫌いしていたきらいがありました。しかしこの本、タコの生態や進化の歴史をなぞりつつ丁寧に論を進めてくれるため私のようなバカ学生でも着いていきやすい。ありがたいことです。

 なにより、筆者の頭足類に対する愛がビシバシに伝わってくるのが非常に心地良い。読んでて自然とニコニコしてしまいます。

 一語一語に書き手の喜びが垣間見えてこそ、ページを繰る手も軽くなろうというものです。



 さて、内容について。

 カンブリア紀以降・・・巨大な栄養価の塊である「他の動物」との被捕食関係が生きる上で非常に大切な要素となり始めたこの時期、目や触覚など、感覚器の発達は大きく進みました。

 感覚器が発達し、入ってくる情報が高度化すれば、それらを基に次の行動を選び出すための情報処理機構も自然、複雑なものへと進化していく。こうして”心”の原型が生まれた・・・ということで間違いないのでしょうか。

 ・・・わからん。この辺はお酒飲みながら読んでたせいか朧げ。

 外界からもたらされる膨大な情報の知覚と、その知覚を基に己の内面に向けて発せられる行動制御の為のシグナル。これらを行う機構すなわち神経系が発達したことにより原始的な心・・・より厳密に言えば記憶・認識のような精神活動・・・が成立し始めた、という表現がしっくりくるような気がします。

 とはいえ、神経系の進化過程はタコと私たちでは全く違うもの。

 脊椎動物は脳を中心とした一種中央集権的な神経系を構築しているのですが、イカやタコのような頭足類は小さな神経の集合である神経節が全身に散在した「分散型」となっています。

 外界の捉え方も、それらに対する反応信号も、私たちとは全く別物。

 先にも述べたよう、進化の過程からして違うのですから当たり前といえば当たり前とも言えます。ただここで重要なのは、全く異なる起源を持ち、神経系の構造すらも違うというのに、彼ら頭足類に我々と似たような心・知性とも呼ぶべきものが宿っているという事実。

 我々が高度な知性と精神を持ち合わせるようになったのは、何も奇跡的な偶然が重なったわけでもなく、単になるべくしてなっただけのことなのかもしれませんね。


 「言語」という思考ツールにしたってまさにそうで、言語を操る動物は山ほどいます。この本の中では、ヒヒが行う高度な音声コミュニケーションの例が紹介されていたりします。

 タコに至っては「独り言」を呟く個体すら確認されているのだとか。

 凄いなタコ。





                   「捕食なう。」









 いささか尻切れトンボ気味ですけども・・・最低限備忘しときたい内容は書くことが出来たのおしまい。


 季節の変わり目。風邪などひきやすい時期ですので、寝る前に生姜湯を飲むようにしています。親指大の生姜を丸々すりおろした、口の中がヒリヒリするくらいに辛いやつです。

 体調不良なんぞ一発で吹き飛びます。お試しあれ。