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人物が透ける!ゴーストショットの撮り方

私のお気に入りのフィルム多重露光のテクニックの一つに「ゴーストショット」があります。ご、ゴースト?幽霊を撮るの?いえいえ、これは人物が透けて半透明になりまるで幽霊のように見えるという撮り方なんです。この幻想的な雰囲気を持つ写真のテクニックをぜひ覚えてみてください♪

ゴーストショットの作例

上の写真は、夕暮れ時の浜辺で人物を撮ったものです。人物部分が半透明になって背後の風景と溶け込み、まるで幽霊のようになって幻想的な雰囲気が出ていますよね。これはゴーストショットという多重露光テクニックを使って撮影したものす。なんだか難しそう?いえいえ、実はコツさえつかめばかんたんに撮れてしまうんです。それではこのゴーストショットを撮る方法を説明しますね。

【必要なもの】

1. カメラ
多重露光機能を有しているカメラが理想です。Canon EOSシリーズ、Nikon New FM、Nikon F3、Lomo LC-A+、Holgaなど。
2. フィルム
基本的になんでもOKですが、高感度すぎるもの(ISO800以上)は露出オーバーになる可能性があるので注意です。
3. 三脚
なるべくあったほうがよいです。人物以外の風景(背景)の部分がずれてしまわないようにするためです。ただし、三脚なしで気軽にトライするのもOKです。
4. モデルさん
ゴーストとなる人物は必須です。服装は明るすぎ(白すぎ)ず、暗すぎ(黒すぎ)ずがよいです。明るすぎると、重なったときに透明になりにくくゴースト感が弱まり、逆に暗すぎると透明になりすぎて控えめな幽霊になってしまいます。なので明るすぎず暗すぎずが成功しやすいと思います(その辺りは撮影者の意図によって自由です)。

【ロケーション(背景)選び】

なるべくシンプル系。人物の背後部分には注意
ロケーション(背景)は、人物を効果的にゴーストにするために適した場所を選びます。スナップ系やネイチャー系など、基本的にはどんな場所でもいいのですが、一番大切なのは「人物と重なり合う背後の部分」です。この部分は、あまりごちゃごちゃしたものがこないほうがよいです。例えば明暗の差がありすぎたり、細々としたものがありすぎたりなど。それらがあると重なったときに人物の像がわかりにくくなったりごちゃついてしまいゴースト感が弱まってしまいます(下の比較画像参照)。

【撮り方】

① 一回目の撮影(人物あり)

※ここでは、カメラはCanon EOS7s、フィルムはISO100のネガフィルムを使用、天気は曇天の場合で説明します
※先に人物を入れて撮るか、後で入れるかはどちらでもよいですが、ここでは先に人物を入れた場合で説明します
まず一枚目を撮ります。この作例では、海辺のシンプルな背景のロケーションを選んでいます(下の画像参照)。モデルさんの服装は黒ベースですが落ち着いた柄のものを選んでいます。寂しげな雰囲気を出すため流木の上に腰かけてもらいました。人物が透ける背後の部分は空と海になります。構図が決まったら三脚にセットしたカメラで撮影します。
カメラの設定ですが、絞り値は任意です(ここではf5.6)。ピントは人物に合わせて固定しておきます。露出補正は、多重露光(二回露光)の基本に従い-0.5~1補正にします。多重露光機能をオンにしてシャッターを切ります。

1回目の撮影(人物ありで撮影)

② 二回目の撮影(人物なし)

一枚目を撮ったら続けて二回目の撮影を行います。一回目とまったく同じ構図で今回は人物を入れずに風景のみを撮影します。カメラの露出設定は一回目と同じにします。人物がいないことで露出の値が変化する場合がありますので、なるべく一回目の露出は固定しておいた方がよいです。

2回目の撮影(同じ構図で人物なしで撮影)

③ 結果

フィルムを現像した後の画像がこちらです。二つの像が同じフレーム内で重なり合い、一回だけ露光された人物部分は風景(背景)と交じり合って半透明の「ゴースト」となって現れています。

結果:人物の透けた写真が現れる
※この画像はテキスト用に作成した合成イメージです

以上が撮り方でした。
作例はシンプルでわかりやすいものでしたが、ロケーションや天気・人物のポーズや表情・衣服の色や明るさが変わると出来上がる写真の印象もまた変わってくると思います。私はどことなく物悲しい雰囲気が好きなので、寂しげな風景、悲しげな表情、天気は曇った日(または日陰)をよく選びますが、ぜひ皆さんの自由な発想でトライしてみてください。

【三脚を使わない場合】
三脚なしでゴーストショットにトライしてみるのも遊び心があってアリです。手持ち撮影で二回撮る場合、同じ構図を同じようにがんばって二回撮ることになるのですが、どうがんばっても一回目と二回目の像は微妙にずれてしまいます。その微妙がずれが時として得も言われぬ独特の面白い写真となってくれることもあります。もちろん、そのずれが失敗写真になることもあります。以下、成功霊…いや成功例と失敗例です。

三脚なしの作例①(成功例)
微妙なずれが不思議な雰囲気を生む
三脚なしの作例②(失敗例)
ずれすぎたことと要素が多いことで絵がごちゃついた

以上、私のお気に入りのテクニック「ゴーストショット」の説明でした。ぜひ皆さんもアイデアや遊び心を駆使してさまざまなゴーストショットを楽しんでみてください♪

最後に、このテクニックを使った他の写真を紹介します。
応用編的な作例も紹介していますのでぜひご参考に!

"Ghost in the park"
カメラ: Canon EOS7/フィルム: Lomography CN100/三脚使用
"橋の上のゴースト"
カメラ: Holga/フィルム: Lomography CN800/三脚使用
"ガレリアの残像"
カメラ: Canon EOS7s/フィルム: LomoChrome Turquoise/三脚不使用
"砂漠のゴースト"
カメラ: Holga/フィルム: Lomography Earl Grey100/三脚不使用
"雨上がり"
カメラ: Canon EOS7s/フィルム: Redscale800/三脚不使用
"Hello from other side"
カメラ: Canon EOS7s/フィルム: LomoChrome Metroplois/三脚不使用


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