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メモの内容があとからわからなくなる同志へ

こちらの記事は、2024年7月発売の小鳥遊著作「『発達障害』『うつ』を乗り越え@小鳥遊がたどりついた 『生きづらい』がラクになる メンタルを守る仕事術&暮らし方」(ナツメ社)の内容に関連したものです。

解読不能なメモにため息をつく

私はメモを取るのが苦手でした。一生懸命メモを取るのですが、あとで読んでも解読不能な文字が多く、メモを取っていたときの自分にため息をついたものです。

速記術でも習わないと、相手の話すことを不足なく正確に書きとめるのは無理なんじゃないかと思っていました。

友人の驚異的な講義ノート

大学時代の友人が講義のときにとっているノートを見せてもらってびっくりしたことがあります。まるで教授の言ったことの書き起こしだったからです。

さらにびっくりしたのは、その友人はちゃんと教授の話を書き起こせていたのです。速記術ではなく、普通の日本語の文字でした。そのまま音読すれば講義が再生できるくらいの精度でした。

仕事の場でのメモの誤解

その友人に影響を受けたわけではありませんが、会社員になって、仕事の場でメモを取るときに、私は全部書き取ろうとしていました。相手の言うことを一言一句書き漏らすまいと一生懸命頑張っていたのです。

あとでそのメモを見返してみると、全部書きとめようとして焦るあまり、ちゃんと文字が書けていないことが多かったのです。書き起こしタイプのメモが取れるのは、その大学時代の友人の特殊技能だったのだと思いました。

たくさんの情報をメモに落とし込もうとして、逆に解読不能になってしまうのは、あるあるじゃないでしょうか。少なくとも私は「書き漏らしてはいけない!」と思うあまり、メモ帳に情報を詰め込みすぎる傾向にありました。

全部書き取ろうとした一生懸命さが逆に仇になってしまったわけです。

メモは「捨てる」が肝心

そうした経験を経て思った自分なりのメモの取り方は、とにかく「捨てる」です。いかに不要な言葉を捨てられるかがカギだと思っています。

捨てることの中には、「文章ではなく単語で書く」というのも含まれます。もちろん相手は文章の形でしゃべってくれるわけですが、その中の重要だと思う単語だけをピックアップして、あとは捨てて聞き流すようにしています。

ミクロな話になりますが、重要な単語だけ書けばいいと考えると、その重要な単語以外のことを相手がしゃべっているあいだは、重要な単語を書く時間として使えるのです。

そうなると、全部書かなければと焦ることはなくなります。解読不能なメモを前に、メモを取っていたときの自分にため息をつくようなことも圧倒的に少なくなります。

捨て方は、カタコトの外国人のように

どんな風に「捨てる」のかですが、カタコトの外国人が日本語をしゃべるような感じで考えると良いと思います。「山手線に乗りたいのですが、何番線に行けばいいですか?」ではなく、「山手線、何番線?」とする感じです。

特に発達障害のある方は、マルチタスクが苦手なことが多いです。メモを取ることは、「相手の話を聞く」「文字を書く」という同時並行のマルチタスクになってしまいがちなので鬼門になってしまいます。

できるだけ同時並行状態をなくせるように、相手の話をある程度聞き流したり最低限の単語だけ書いたりする、「捨てる」ことが対策としては有効だと思います。

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