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「メンタルを守る仕事術&暮らし方」本の発売前日にメンタルが不安定になっている話

いよいよ明日(7/11)新刊発売!・・・なのですが。

いよいよ明日、私の新刊が発売されます。紙の本の配送は昨日(7/9)から始まっているので、早いところでは昨日から書店に並んでいます。もし見かけたらお手に取っていただけるとありがたいです。

本来であれば、自分が書いた本の発売を翌日に控えて気分も上がっているはずなのですが、そうではないのです。

もちろん、本が出ることは嬉しいこと・ありがたいことです。しかし、どうも自分で自分にプレッシャーをかけ過ぎてしまっているようで、不安感と緊張感でメンタルが不安定になっています。

メンタル不安定は、ヒット作の亡霊から

先日こんな記事を書きました。

この不安と緊張は、じつのところ自分でも意識していながらなかなか人には言い出せなかったものでした。それは、「ヒット作の亡霊」です。

私は、前共著作「要領がよくないと思い込んでいる人のための仕事術図鑑」というヒット作に恵まれました。2024年2月時点で11万部を超えており、ビジネス書としてはヒットしたと言えます。

今回の本も方向性が似ていることもあり、どうしても前著を強烈に意識してしまいます。「それに比べて、全然売れなかったらどうしよう」「前の本は良かったけど、今度の本はそうでもないね、とか言われたくない」という気持ちがありました。前著がある意味亡霊のように私にのしかかっていたと言っても過言ではありませんでした。

こういった不安や緊張に対処するためには、私はとにかく人と話すことにしています。今回も、メンタルはかなり良い方に向かったと思います。

この新刊の編集者さんに相談

先ほどご紹介した過去記事にも書きましたが、この新刊の編集者さんに相談しました。

たまらず、編集者のお二人とお会いして開口一番、不安と緊張についてお伝えしました。

本来なら、執筆が終了し校了した時点で、編集者は著者と何か協力して仕事をすることはありません。「そうなんですねー、まぁ出版前は緊張しますよねー」と流しても別にいいのです。

でも、今回の編集者のお二人は、そんな私を受け止めていただき、色々と話を聞いてくれ、その不安や緊張はどこからくるのか、それに対してどうすれば良いのかを一緒に探ってくれました。

(中略)

おそらく、そういった事情はすぐにお二人に伝わったのだと思います。そんな私の不安と緊張を和らげる話をたくさんしてくれ、次第に薄れていきました。

発達障害関連の本を長年多く手がけてきたという実績と、そんなお二人と一緒に作ったという事実もそれを後押ししてくれました。

そして何より、「タイトルや表紙で盛らずに勝負する」というSさんの姿勢と、それに共感してどこかしら誇りのようなものを持っているHさんを見ていると、「売れようが売れまいが、このお二人と一緒に本を作れただけで良し!」と思えるようになりました。

また、この編集者さんのうちのお一人から以下の話をお聞きして、さらに気分が軽くなりました。

そういった話の中で話題に上がったのが、スピッツの草野マサムネさんのニュース23でのインタビューのエピソードです。編集者のお一人Hさんが、帰ってからわざわざ調べて送っていただきました。

ヒット作を出し続ける重圧は?という質問に対する草野さんの返答です。

苦しいっていうのは全然ないです、
バンドが続けられてれば
お客さんが減っちゃってすごくキャパの小さい所に
また戻ることになっても
それは元の形に戻るだけだし
注目されなくなったら
ずっとロビンソンと楓で営業してもいいし(笑)

自分に当てはめるのもおこがましいのですが、あえてダブらせて考えると、「信頼できる編集者さんと一緒に本をつくることができれば、それで良し」ということになるかと。

公認心理師の資格を持つ、就労移行の職員さんに相談

私が月6回講師をしている就労移行支援事業所「EXP立川」の職員さんにも話してみました。この職員さんは、公認心理師と臨床心理士の資格を持ち、カウンセリングの経験も豊富な方です。

私の話を聴き、自分で自分に緊張や不安を強いている状態をすぐに察してくれたのか、「自分だったら、まずはいったん自分を甘やかしちゃいますね」と切り出して、私の気分を楽にしてくれました。

さらに、私の仕事や日常生活の話についても話を広げ、「もしかしたら、その不安や緊張は、他のことからの影響もあるんじゃないか」という気付きを得ることができました。

言われてみれば、現在取り組んでいる次の本の執筆のスケジュールが、比較的タイトなのです。また、フリーランスの宿命で「先が見えない」という状況もあります。

自分の中での漠然とした不安や緊張が、取り組みやすい「課題」になったような気がしました。

ある対談動画が刺さる

そんな中、たまたま接したこちらの動画が今の自分にドンピシャでした。夜間飛行という会社の編集者をされている鳥居直介さんと、「生きのびるための事務」の著者の坂口恭平さんの対談です。

この動画の1時間14分あたりから約7分間くらい、まさに自分のために言ってくれているような気がしてなりませんでした。ちょっと長いですが、その抜粋を書き起こします。

本が5万部、10万部売れたら、じゃあ次の本はどうしようとかって緊張することがどうでもいいんですよね。

なんで緊張するかっていうと、それで調子乗っちゃうってことなんですよ。
5万部売ろうとするようなやつ。俺も結局売れてるからなんとも言えないですけど、5万部売ろうとするやつはいいものを作らなきゃいけないっていう罠にどんどんかかっていくんですよ。大した能力もないのに。自分は大した能力もないんですよ。

ないにも関わらず、ちょっと売れちゃったもんだから、なんかすごいやつだって勘違いしちゃって、なんかその、スランプに陥りましたとか、なんか恥ずかしいこと言ったりするんですよ。

スランプってすごい人がなることだから。スランプってのは、その、大谷翔平とかだとスランプで言っていいんだけど、そういうわけでもない方々、大丈夫か。スランプで。みたいなさ。

君たちも私たちと同じ無能でしょ。って思うんだけど、みんな能力あると思い込みすぎてるのがちょっと今のネット社会大丈夫か?みたいなのありますよね。

緊張するってこと自体が、だから能力あると思い込んでるんですよね。だって能力なかったら緊張しないんですから。

評価を受けれると思ってること自体が危ないんじゃないですか。評価なんかないのが普通なんだから。

「いいねが少なくて落ち込んでます」とか時々いるんすよ、いのっちの電話でも。じゃあ今日何個書いたの?って言ったら、「1個も書いてません、悩みすぎて」とか言って、おいおいおい、調子乗りすぎだろみたいな。お前調子乗ってんなおいって。お前、大谷翔平か。翔平ですら、三振でもちゃんと素振りして帰ってるよって。

もっと曖昧で中途半端じゃダメなの?なんでそんなすごい人になんなきゃいけないのかな。俺、中途半端のプロですよ。中途半端にやってきたけど、20年後幸せです。心配しなくていいから。中途半端な自分を否定しなくていいから。中途半端でやってきたけど、やり続けたらそれなりに幸せです。

僕の場合は中途半端だと思ってるから、今日も毎日絵を描いてるつもりなんですよね。そこが中途半端だと思ってなかったら描かないんすよ。

中途半端だと思ってるから、やっぱ上手くなりたいもん。そして、スランプなんて多分一生来ませんってほんと自信持って言えますもん。だって出来上がってないし、何にも素晴らしいもの作れてないし。ただ、なんかいいよねぐらいはあるかなぐらいは思ってるよっていう感じは、自分に対して思ってるけど。

楽しめなくなるってのは、他人の期待に応え始めてるってことだから、 つまり、他人の期待に応えられるって思っちゃうっていうことは、調子に乗ってるってことだよ、みたいな。僕の場合、いつもね、調子に乗ってねえかお前っていうチェックだけしているんですよ。

初版が多いことがありませんでした、僕、人生で一度も。もう別にそれは僕、僕にとっては調子乗ってないわけですよ。全然いいです。しかし、俺はしっかり売りますよ。ただ動きを見といてくださいみたいな。

この部分を聴いて、本来であれば耳が痛いところなのですが、あまりに核心をついていて刺さり過ぎて、聴きながらついニヤニヤしてしまいました。いやー、私調子に乗っていましたねー!もうほんと、笑うしかないです。

それ以来、ここの部分を音声ファイルに編集して繰り返し聴いています。今の自分に大事なメッセージだと思っています。このおかげで、随分と自分を客観視することができ、「なに不安とか緊張とか言ってるんだ自分!」と思えるようになり、心がスッと軽くなった気がします。

でも油断すると・・・?

しかし、これだけ対策を打っていても、ついうっかり不安と緊張の谷にはまりがちです。粛々と、目の前のやるべきことに集中していこうと思います。

「メンタルを守る仕事術&暮らし方」という本を書いているのに、メンタルが安定していないですという話、お恥ずかしいというか、逆プロモーションになってしまうかもしれません。版元のナツメ社さん、関係者の方々すみません(笑)

ただ、私はいつもこんな感じです。試行錯誤しながら自分なりの対策を立てて、そしてまた別の問題が生まれて試行錯誤する。この繰り返しです。今も、「自分でプレッシャーを作り出して不安と緊張に苛まれている状況への対策」を打ち立てつつあります。

対策の具体的な内容としては、「信頼できる人に話す」「カウンセリングを受ける」「今の自分に役に立ちそうなものをストックして繰り返し触れる」「やるべきことだけを見えるようにして、粛々と取り組める環境をつくる」みたいな感じでしょうか。

また、「気にかかっている1つの問題だけ注目するのではなく、他の仕事や日常生活全般を見渡してみる」という考えも大事かもしれません。この件については、もっと深堀りしていきたいなと思います。

そんな試行錯誤の積み重ねから生まれた「仕事術&暮らし方」の本、よろしければお手に取っていただければと思います。


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