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【ゲームレビュー】Immortals Fenyx Rising - イモータルズ フィニクス ライジング【ゼルダライク/3Dアクションアドベンチャー】

PS5 コントローラーを使用。本編クリア済み。※本稿はPC(Steam)版『Immortals Fenyx Rising - イモータルズ フィニクス ライジング』のプレイを基に執筆しています。


あらすじとゲーム概要

◆ 『アサシンクリード』の『Ubisoft』が贈る、ゼルダライクな探索型アクションアドベンチャー。主人公『フィニクス』を操作して、広大なオープンワールドでギリシャ神話の神々を救う旅に出よう。

Steam版をプレイしていようが、問答無用でUbisoft Connectを起動させれる。最高だ!

ギリシャ神話を題材にした物語が展開される本作だが、基本的にはギリシャ神話の“ダメな側面”を前面に押し出しつつコメディタッチで進行していく。と言うよりも、コメディの部分がメインだ。

神話を題材とした作品で語られる事は少ないが、ギリシャ神話の神々は酷い逸話に事欠かないので、『フィニクスライジング』ではそれらを楽しむ事が出来るだろう。

本編では主人公である『フィニクス』の物語を神である『プロメテウス』が『ゼウス』に語っている体で物語が進むのだが、要所要所でどちらかの神が故事や逸話を語ってくれる。

語り部の『プロメテウス』。かなりの苦労神。

気になる方もいるかもしれないので明記しておくと、主神『ゼウス』は性格が悪く、いちいち『プロメテウス』の語りを遮ったり、チャチャを入れたりする。
前述したコメディ的な要素ではあるが、物語のテンポを遅らせる事にもなっている余計な会話なので人を選ぶ要素だろう。

下半神こと主神『ゼウス』。ギリシャ神話の酷い逸話には90%ぐらいの確率で彼が関わっている。

ちなみに主人公『フィニクス』の外見や性別は選択可能だ。物語も一部のセリフ等を除けば変化はないので、好きな外見を選ぼう。
ただし、選択可能なパーツは少なめだ。とある施設を解放する事で外見は後から変更可能になるので、最初の外見が気にいらなかったら変更する事もできる。

主人公のフィニクス。

探索とパズル&強化要素

◆ 今作の探索やパズル要素は言うまでも無く『ゼルダの伝説 BoW』からの強い影響を受けている。
大きな違いとして、チュートリアルにあたる部分をクリアする事で、探索やパズルを解くための道具が揃うため、序盤からオープンワールドを好きに探索する事が出来るようになる

戦闘やパズルで重宝する弓矢。お馴染みの松明系パズルも登場する。

オープンワールド内には何処かで見たような物理パズルや弓矢を利用したパズル、その他の様々なアクティビティをこなして遊ぶ事が出来る。
パズルを解いたりアクティビティを攻略する事によって報酬が得られ、報酬を使用して新しい武器の強化や新しいスキルを習得する事も可能だ。

カロンのコインを拠点で使用する事で新たなスキルを解放する事が出来る。

スキルは後述する戦闘で使用する攻撃系のモノ以外にも、パズルで役立つスキルも覚えられる。
例えば分身を作り出すスキルを利用する事で、スイッチを踏む、あるいはスイッチの上に何かを乗せる系のパズルを“誤魔化す”事が出来るのだ。

ゴール地点まで制限時間内に到達する事が目的のアクティビティ。難しいと感じたならば、スタミナの最大値を上げてから挑戦すると良いだろう。

もちろん、これらのパズルは例として出した分身能力を持っていなくとも攻略可能なので、心配する必要はない。単純に少しばかり“ズル”をする事が出来るようになるというだけだ。

一部の地域を除いて、序盤から殆どのエリアへ行くことが出来る。

これらのパズルやアクティビティは序盤からアクセスし、攻略する事が可能になるので自由度が高い。ただ、残念ながら問題点も一つある。マンネリ化が早いという事だ。

序盤でパズルを解くために必要な道具と能力が揃うという事は“それら以外は何も無い”という事でもある。そのため、パズルの総数は多いし工夫はされているものの、全体的なバリエーションは少ない。

パズルの難易度こそ上がるものの、序盤から終盤までやっている事は同じだ。

戦闘

◆ 通常攻撃やスキルを組み合わせてコンボをキメる事のできる戦闘はゼルダライクと言うよりも、近代的な3Dアクション作品のそれに近いモノになっている。

敵に表示されるゲージを貯める事でスタンさせたり、空中へ敵を跳ね上げてコンボをキメる事も可能だ。スタミナの概念もあり、こちらは『ダークソウル』以降の現代的な作品では多い要素と言えよう。

サイズの大き目な敵はスタンさせないと空中へ跳ね上げることは出来ない。

ゼルダライク作品で強いて近い内容の戦闘要素が登場する作品を挙げるならば『ダークサイダーズ』シリーズのそれが近いだろう。

さて、上記した内容を見ると魅力的な戦闘が続くかのように感じられるかもしれないが、実はそうでもない。
序盤こそ面白いのだが、本作に登場する敵の種類自体が少ないためにすぐに作業感が強くなってしまうのだ。

ユニークな敵は各所に登場するが、戦闘方法はあまり変わらない。

ボスも同様で、多少は特殊な行動もとってくるのだが、基本的な倒し方は同じだ。
ボスは特に問題で、ゼルダライクに登場する“パズル要素ありのボス戦”と言うものが基本的には無いため、ただの図体の大きな敵でしかなくなっている。

強化要素を台無しにする難易度の“自動”調整

◆ まず、ゲーム開始時に難易度をいくつかの中から選択可能で、そちらについては特に問題ない。問題となるのは上記の難易度とは別に、ゲーム内で“自動的に”難易度が調整されるという点だ。

具体的には装備品の強化具合や強化アイテムの取得数などに合わせて敵が強化されていく仕様になっている。

これの何が問題かと言えば、自キャラを強化しているのに、実際には敵も強化されていくために強化/探索の意味が殆ど無くなってしまうのだ。

攻撃力や防御力を一時的に上昇させる秘薬は所持していると少し楽になる。

この難易度の自動調整自体はいくつかの作品で採用されているシステムではあるが、今作においては全くメリットの無いシステムだ。

何ならば、本作においては『探索をして強化を行う』というゼルダライク作品の一つの面白さを完全に否定してしまっている最悪のシステムと言えよう。

敵も強くなるからと強化を怠っていると酷い目にあう場合も。

ちなみに一部のボスはこの自動調整の影響を受けないようで、下手に武器の強化を怠っていると、敵の体力があまりに高くて長い戦闘を強いられる場面も登場する。

本来は強化要素&探索要素が面白いだけに、難易度の自動調整という仕様は残念だ。

--------------------【良い点】--------------------


+ 序盤から殆ど全てのエリアが攻略可能な自由度。

+ 豊富なパズル要素とゲーム性に合ったアクティビティ。

+ コンボを織り交ぜる事が可能で、アクション要素が強めな戦闘。

--------------------【悪い点】--------------------


- 自キャラの成長に合わせて敵が強くなっていき、自キャラを強化する意味が薄くなる難易度調整。

- パズルの数は多いが、“バリエーション”は少なめ。

- ボス戦にパズル要素は無く、適当な殴り合いになりがち。

---------------------【総評】--------------------


難易度の自動調整というやや致命的な問題点はあるものの、それ以外は良質にまとまった3Dゼルダライクに仕上がっている。

パズル自体も豊富に用意されているので、飽きるまでパズルを解き、息抜きにストーリーを進める事もできる。ゼルダライク作品が好きであれば、プレイして損はないだろう。

また、本レビュー投稿時点で公開されているDLCでは本編の続きや、異なる主人を使用して別マップをプレイする事も可能になっているようだ。気になった方はそちらもチェックすると良いだろう。


プレイ動画をアップしているので、今作が気になった方はこちらを参考までにどうぞ。


他にもSteamで発売されている『プラットフォーマー』作品をこちらで:

『ローグライク』作品をこちらで紹介しています:

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