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ラギ粉が突如として生活に入ってきた!

鎌倉のスパイス屋さん、アナン邸でラギ粉を紹介されてから、少しずつ実験を繰り返している日々。

ラギとは?
雑穀の一種で、インドやスリランカではスムージーのような飲み物にしたり現地のパン(ここでは敢えてざっくり言うけれど)などに使われている、栄養豊富な穀物。 
特にビタミンBが豊富で、

和名では「シコクビエ」
スリランカでは「クラッカン」
英語では「finger millet」 (穂先が指のような形に見える)

日本では遅くとも奈良時代には食されていた記録があり、もしかすると紀元前から食されていた可能性があるようだ。
稲(お米)よりも栽培の場所を選ばず、干ばつにも強いので、昔の人は、お米が不作だった時に備えて、ラギを栽培していたらしい。
今主流で生産されているのは、インドやネパール、東アフリカのようで、なかなかお目にかかれない雑穀。
現在、日本では徳島県や岐阜県などで生産している農家さんが一部いるという程度で貴重な雑穀になっているようだ。
(参考:
wikipedia 
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%82%B3%E3%82%AF%E3%83%93%E3%82%A8
みんなの農業広場https://www.jeinou.com/e_project/saisei_nochi/2008/10/07/112835.html

初めて出会った時に、インド人の師匠に「ラギ」と紹介されたので、この文の中での呼び方は「ラギ」に統一しておこう。

さて、このラギを挽いた粉、ラギ粉。

どんな感じかというと、淡いピンク色をしていて、水で溶き火を通すとより赤みが増す。そして、独特の香りがある。
水と火がかけあわされると粘りが出てきて、とろみが出てくる。そば粉みたいだ。

「ラギ粉のレシピを検索してごらん」と師匠。

それを縁側で聞いて、未知なる穀物をスマホで検索しながら、、、「ヘルシーなあんこやチョコレートソースが出来そうだ!」と言ってみたら、師匠が嬉しそうに目を輝かせた。
「よし来た!そうなんだよ。なんでもやってみなきゃね。」

ということで、まずはCOOKPADやら色んなサイトでざっとレシピを確認したあと、細かい分量を調整したり材料を変えたりしながら実験を繰り返してみた。
その中で美味しくできたもの3選。

①ラギ粉の豆乳チョコレートソース。

チョコバナナは鉄板


若干、粉っぽさが残るのとあっさりめなベジクリームなので、私はココナツオイルを加えて口の中でとろけるチョコレート感を出してみた。
最初はダマになったり失敗していたけど、少量ずつ水分を足しながらしっかり混ぜ続けるコツをつかみ始めるとアレンジも無限。
お砂糖も自分で選べて調整できるし血糖値も上がりにくい。
自分にとっての美味しい甘さで作れる。

②ラギ粉のロティー

特に汁気の多いカレーに合う


ロティーは実際にスリランカの人が食べている平焼きの素朴なパン。
ココナッツ(ポル)と混ぜて作ると美味しい「ポルロティー」になる。
小麦や米粉などで作られるものもあるけれど、ラギ粉で作ると、「クラッカンロティー」。
ココナツの食感と油分がラギの緻密な食感にとても合う。
滋味深い味になって、カレーにはもちろん、ジャムやバターを付けてクリームティー風おやつにしても美味しい。

ジャムやキトゥルパニ(クジャクヤシの花蜜)を付けてもヘルシーおやつに


スリランカのウェットなふりかけ的存在「ルヌミリス」にもピッタリで、現地ではこの組み合わせで出てきた。

③ラギ粉のシチュー
これは、ちょっとひと手間かかるが、市販のシチュールーで作ると胃がもたれてしまうという人には、おすすめ。いかにも身体に良さそうな、じんわりと滋味深いシチューになった。

渋いピンク色というか赤っぽいブラウンというか。
ライ麦パンの酸味にも合う。

ネットで検索すると、沢山の人が「ヒエ粉」でシチューを作っていた。
おなじ「ヒエ」と付くなら、和名シコクビエのラギ粉でだって作れるんじゃないかと思って、工程だけ参考にして手探りで作ってみた。
ヒエ粉は白っぽい黄色をしているので、シチューの見た目にはピッタリ。
しかし、ラギはピンク色をしているので、正直見た目は普段思っている「シチュー」のイメージとは違うかもしれない。
なにせピンク色のシチュー。
でも!無理に従来のメニューに似せる必要もないか!と開き直り、作ってみたら、味はちゃんとシチュー!

コツは、しっかりとうま味が出る食材を多めに入れること。
玉ねぎやキノコ類(数種類入れるのがおススメ!)、鶏肉など。
私はコンソメやブイヨンを使わずに作ったけど、それでもしっかりうま味でてくれた。

そしてもう一つのコツは、ラギシチューの素作りと、別鍋(もしくはフライパン)で野菜やお肉に火を入れること。
これは、シチューの素を使わずに小麦粉とバターで作る手作りシチューの工程とほぼ同じだと思う。
粉っぽくなったりやダマになったりしないように、別々の鍋で火を通した後で合わせて煮込む方法。

【おまけ】
④ラギ粉のスコーン

米粉同様、膨らまないのでどちらかというとビスケットみたい

米粉のスコーンはたまに焼くけれど、ラギ粉は初めてなので、米粉の分量の一部をラギ粉に代えて作ってみた。
生地の密度がスコーンっぽくはなかったけれど、これはこれで美味しいかな。もう少し改良してみたい。

【実験してみて】
いろいろ実験の楽しみな食材。
嬉しいことに、ラギ粉で置き換えクッキングをしているとやはり体調に変化がある気がした。
肌荒れしやすいのだけど、数週間集中してお菓子を試作して作っている割には肌が荒れずに済んだ!(あくまで私の体感比だけど)
(今は色々お正月を楽しんだから、どうかな^^;)
熱しやすく冷めやすい性格なので、ラギに熱せられているうちに沢山作って、ぜひ生活の中に溶け込ませたい。

ラギは、古代の人達の知恵が詰まった穀物。
きっといざという時(お米不足に限らず)だけでなく、自分の体を内側から強く支えてくれそうな気がしているから。
丈夫で過酷な環境でも育つ植物は、私たちに強い力を惜しみなく分けてくれる。
蓬や明日葉みたいにね。
ラギを育てている地域に行く際は、ぜひラギ畑を見に行こう。




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