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『愛と哀しみのシャーロック・ホームズ』を観た(WOWOW放送版)

2019年に上演された『愛と哀しみのシャーロック・ホームズ』。
WOWOWで放送されたものを録画していまして。
半年経ってやっと観ることができたので、簡単に感想をまとめてみます。

あらすじ

ホームズとワトソンがベーカー街221bで同居を始めたのは、1881年の1月といわれています。これは、彼ら名コンビが出会ってから、「緋色の研究」で描かれた最初の事件に遭遇するまでの数ヶ月間の物語。
ホームズはまだ二十代の若者。
人間としても探偵としても未完成のシャーロックが直面する、人生最初で最大の試練とは?
公式ホームページより)


まずはざっくり感想。

実は、日本版のお芝居って最近観るようになったんです。
三谷作品は、映画もあまり観てないし、演劇作品は初めてでした。

今まで観た三谷作品やメディアで取り上げられている情報から、
「三谷さんの作品だから結構コメディなのかな。佐藤二朗さんもいるし…」
と思っていたので、実際に観てみたら多少笑いはあるけど、
コメディすぎなくて、良い意味で期待を裏切られました。

シャーロック・ホームズの物語は、シャーロックとワトソンの2人を
中心に語られることが多いと思います。
でも、本作ではシャーロックとマイクロフトの物語を中心とすることで、
ワトソンとの絆感がよりくっきりと見えて面白かった。
最近だとBBC版シャーロックでもワトソンとの関係が、
かなり密に描かれているように思うけど、
マイクロフトとの関係と、ワトソンとの関係を対比することによって
BBC版とは違う人間らしさや、内面が表現されていたように思う。

あんなにマイクロソフトが感情的に(?)
シャーロックへの愛だとか嫉妬だとかを語ることって
今まではあまりなかったように思うし。
ワトソンの押しに弱い感じは共通な気がするけど、
マイクロソフトとシャーロックの解釈は、今までとちょっと違うのかも。

シャーロック・ホームズの解釈

シャーロック・ホームズといえば、
頭脳明晰、コミュニケーションが苦手、冷酷な一面もある
みたいな、あまり人間として好かれないようなイメージが多い。
そのせいで命を狙われるなど、敵も多いし、トラブルも多い。
割とどの作品でもシャーロックは、自分勝手な人間として
描かれているように思う。

でも、本作でのシャーロックは、
「助けてあげたい」「守ってあげたい」と思わせる。
それが一番見えるのが、ハドソン夫人とシャーロックの関係性。
ハドソン夫人が、マイクロソフトからシャーロックを守ろうとする感じ。
口には出さないけれど、行動から滲み出る感じがとても素敵だった。

それに、弱い部分も人前で見せる。
マイクロソフトのせいで、そうなってしまった部分もあるけれど、
例えば、ワトソンの前では弱さを見せるけど、他に人には見せないとか、
弱さを隠してきたのが従来のシャーロックだとしたら、
このシャーロックは圧倒的に人間らしく描かれていると思う。

従来のイメージ通り、コミュニケーションが苦手なシャーロックだけど、
本心は人間が好きで、だけど傷つくのが怖くて壁を作っている、
そんな印象でした。

柿澤勇人という役者。

個人的に、柿澤さん好きなんです。
だから、偏りがあるかもしれないけれど。

三谷さんが、『メリー・ポピンズ』で柿澤さんがバートを観て、
一緒に作品を作りたいと思って、シャーロックを当て書きしたという本作。
それだけに、柿澤さんの魅力がよく見えるキャラクターになっています。

どこか影がある感じ。そして、子犬のような表情。
それなのに、推理をするときはキリッと、
かつ、とても楽しそうな表情。

いや、もう、可愛くて…
ハグしたくなっちゃう…ハドソン夫人のきもち。

柿澤さんは、少し影のある役を演じている時に
とても輝くというか、魅力が溢れるので、
この役はぴったりだったんじゃないかなと思います。
なにかオーラがあるというか、良い表情をするんですよね。
シャーロックのある種の変態性みたいなものはしっかりみせつつ、
クルクルと表情が変わっていく。
こういうシャーロック・ホームズもいいなと思いました。

まとめ

うまくはまとめられなかったですが、
シャーロック好きとしては、今まで見てきたものとは少し違う
シャーロックの一面が描かれていて面白かったなと思います。
そして柿澤さんをこの役に当ててくれてありがとう!という気持ち。

最初にも書いた通り、日本制作の作品はあまり観てこなかった私ですが、
こういう作品を見ると、日本の作品も面白いな、
もっと観たいな
と思いますね。

今はまだ劇場が少しずつ再開している段階で、
観劇予定の作品も全部キャンセルになったので、
しばらく観劇予定がないのですが、早く劇場に戻れる日を楽しみに…。
それまでは配信や円盤で予習復習しておくことにします。