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短編小説の練習

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短編小説を練習し始めました。
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#物語

ポトフ 【掌編】

 子どもを授かれないと知った日も、私は鍋がコトコトと煮えるのを見守った。だんだん味がしみ…

丈の足りないカーテン

「もしもし、お母さん。今、引っ越し屋さん帰ったわい。」 「そうけ。ちゃんと、ペットボトル…

ネパールのチャイ

孫娘がネパール人と結婚すると聞いたときには、心配しなかったと言えば嘘になる。 ネパールで…

二瘤駱駝(フタコブラクダ)は暑さに弱い

 砂丘は砂漠ではない。が、一瘤駱駝(ヒトコブラクダ)のレオンは、鳥取砂丘で生まれた。生ま…

ガリガリ君の当たりの棒はちょっとだけ太い。

 「ガリガリ君の当たりの棒はちょっとだけ太い。」  中1の夏だった。部活の中3の先輩が、最…

理科室のメダカ

物心ついた時には、理科室の水槽で1人だった。 1人じゃないか、1匹だった。 理科の授業のとき…

「東京の海も、こなぁに穏やかなんじゃろうか」 体の弱かった彼は、 高校に進学しても、 部活には入らなかった。 海が好きだった彼は、 放課後はよく港の防波堤で、 読書をしていた。 幼馴染の私は時々、 彼の居場所に近づいて、読書の邪魔をした。 でも、夕凪のように穏やかな彼は、 私の愚痴に付き合ってくれた。 彼といる時の自分が、一番好きな自分だった。 彼のお母さんの美容室で、 私はずっと髪を切ってもらっていた。 私が行くと、お母さんは、「挨拶しよ」と彼を呼び出して、 彼は目も

恐竜図鑑

テレビのない1Kの部屋。 私ともうすぐ3歳になる娘、2人だけの世界。 私が家で仕事をしている間…

優しさへの、その一歩

一日一日を、 たっぷりと生きて行くより他は無い。 明日のことを思い煩うな。 明日は明日みず…

くまったな〜

 音楽レビューサイトの編集者をするぼくは小太りだ。彼女はいたりいなかったりする。もの好き…

満月

月と星の指輪の少女 街の空の太陽の光のようだ 月の輝き、ああ、夜も深い きみを思い、寂しく…