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意外とややこしい学校でのGoogleアカウント

1人1台の端末配布がうちの子供の学校でも実現してしばらく経ちますが、意外と難しく思うことにGoogleアカウントの扱いがあるのでこの問題について本稿では少し考えてみたいと思います。

はじめに (子供の学校のICT環境)

(記事の前提の話ですが興味がない方は飛ばして下さい)
Surface Go + MS Office が基本で各種アカウント管理やデバイス管理・LauncherなどではSky Menu とかSkyseaで管理しているようです。
Teamsやシェアポは使っておらず、Google Drive やGoogle Classroomでコラボレーションを行います。ここでGoogle アカウントを利用しています。

Googleアカウントの大前提 ー 共有禁止!

この手のアカウントはみんなそうかもしれませんが、Googleアカウントは他人と共有して使う事は一般的に禁止されています。PTAなどでこのような使い方をされているところは一度問題にした方がよいかもしれません。
具体的にユーザー規約のどこに引っかかるかは分からなかったのですが公式のヘルプにも記載があります。

ユーザー間でアカウントを共有しない - Google Workspace 管理者 ヘルプ
Google Workspace アカウントは、1 人のユーザーによる使用を想定して設計されています。組織内の複数のユーザーがユーザー名とパスワードを共有して同じ Google Workspace アカウントに頻繁にアクセスすると、以下の問題が発生することがあります。

・アカウントの制限に達する
・本人確認または質問が表示される
・アカウントが一時的にロックされる

このような使い方をする場合には、Driveを共有したり、共同トレイを作ったりして個人アカウントで管理する形で利用しないといけません。よく考えるとこのように運用した方が役員の引き継ぎをしたときにアクセス権の管理だけで話が片付くのでより安全になり、望ましいことが分かると思います。

Classroom の使い方はどうなの?

この話をすると当然Google Classroomの使い方が気になってきます。
Google Classroomでは親の端末で子供のGoogle アカウントでログインしてからクラスコードを入れて追加するような仕組みになっています。
これはクラスコードである程度歯止めはかけているものの親はGoogle アカウントを切り替えて確認が必要になるため親の端末で子供のアカウントを使用している状態になります。
この辺は質問をすると担当者の方も「規約上問題ない事は確認済み」と言うような説明をされるのですが、どうも釈然としないところがあります。
私も詳しい論拠は理解していないのですが、以下のような記述を見る限り、Google Workspace For Education のような学校アカウント向けに例外的に許されているような使い方なのではないかと思います。

Google Workspace for Education について保護者と情報を共有する - Google Workspace 管理者 ヘルプ

保護者の方は、お子様の Google Workspace for Education アカウントにログインして myaccount.google.com にアクセスすることで、アカウントのお客様情報と設定を確認し、管理することが可能です。

そもそもキーボードもちゃんと使えない小学校1年生などもいるので、パスワードやアカウントを先生にも親にも教えずに自分でちゃんと管理しなさい、と言うのも無理な話なので親や先生が子供のアカウントを管理・使用してもよい、と言うのは現実的にはやむを得ない事の気がするのでこの辺までは理解できます。

でもアカウント切り替えはやっぱり不便

ここまで読んでいるとそれがGoogleも正式に認めている使い方であればそれでいいではないか、と思われる方もいるかもしれないのですが、やっぱり不便です。
以下のような事例を見ると、やはり保護者のGoogleアカウントを登録・管理出来るようになるのが正しい使い方なのではないかと思ってしまいます。

例1)学校が使ったGoogle Formsでのアンケート
Google Forms はデフォルトで組織外のユーザーでは開けないので学校のアカウントで作成したアンケートは、親が利用している一般のGoogleアカウントを使用していると開けません。子供のアカウントでログインすればアンケートが開けるのですが、シークレットウィンドウでログインして開いたり、一度Accountページでログアウト→ログインして開き直す、とかしたら誰もアンケートに答えてくれなくなるので、現時点ではこの辺を回避しようと思うと誰でもアクセス可能にする必要があります。

フォームが開けない (Google ドキュメントエディタヘルプ)

例2)Classroom で子供の手紙を開く
Classroom で保護者向けの手紙が来た場合、兄弟の担任ごとに適切な子供のアカウントに切り替えないと通知をクリックしても手紙が見えません。Google Meetも子供のアカウントで開くか、子供のタブレットで開く必要があります。
これはClassroomのアプリなどではアカウント切り替えをサポートしているので分かれば大したことがない話ですが・・・

例3)教員と保護者のコラボレーションが出来ない
学校アカウントは一般の個人アカウントとdriveのフォルダを共有したりコラボレーションをすることが出来なくなっています。
これは保護者を含む外部と共有したファイルの管理などを考えれば正しいと思うのですがせっかく先生方がオンラインドライブとか持っているのにPTAの書類などが結局メールベースでしかやり取りできないのはもったいないな、と思います。

これらはみな「保護者のGoogleアカウント」と言う概念があれば本来解決する話のような気がするのです。

・ アンケートは保護者だけ回答可能になる
・ Classroomも子供のアカウントで開くのではなく保護者のアカウントで開くので切り替えが不要(Meetも同様)
・ 教員と児童の保護者がコラボレーション可能であれば特定行事などのために教員とPTAの情報共有のような仕組みも可能になる(これは教員側が嫌かもしれませんが)
PTAでも IT支援員のようなものを立ち上げたいと思うと、先生と保護者で共通で使えるITインフラがないので結構助かるのです。

この辺は学校の取り組みや運用の問題ではなくGoogle側の制限であることはよく理解出来るのですが、「子供のアカウントを大人に使わせる」前提の使い方ではくしくも前述のヘルプにも記載されていたように「Google Workspace アカウントは、1 人のユーザーによる使用を想定して設計されています。」と言う事実を目の当たりにしているだけのように思えるのです。

もう一つの問題 ー YouTube

本稿で議論しているGoogleアカウントの扱いとは直接は関係がない話なのですが、Googleを活用していく上で一番厄介な問題はYouTubeの扱いです。
実状はあまり理解していないのですが、実際はほとんどの学校でアクセスが禁止されているのではないでしょうか?しかも教員側も同じであるため、ほとんどの教員は文科省のオンライン教材や講演などの動画にもアクセス出来ない、と言う本末転倒な問題も起こったりしています。

でも良質な学習教材がYouTubeにたくさんあるのは誰もが認める事実です。
YouTubeを学習ツールとして使ってみませんか?

でもChromebookを使おうと、Educationのアカウントを使おうと、YouTubeに対する管理機能はこれだけのプラットフォームであるにもかかわらず驚くほど貧弱です。無闇に禁止するべきではない、という保護者の意見も理解出来るのですが、現状色々な家庭環境などがあることを考えると禁止せざるを得ないと言う判断になるのは避けられないと思います。(教員がアクセスできないのはやりすぎだと思います。)

例えば、以下のような管理が可能であれば学校側もYouTubeが許可できてもっと活用出来るのではないかと思うのです。

・ 夜間時間帯の使用禁止
・ 特定チャンネルのみアクセス可能(ホワイトリスト方式)
・ 利用時間制限 (授業以外でのアクセス)

この辺は教育目的で利用させたいのであればもう少し検討してもらってもよい気がします。

最後に

ここで議論された話はほとんどが学校や教育委員会などでは改善が難しいGoogle側の問題です。ただ、Googleとも日本のGIGA構想やICT活用としてどのように使わせていきたいのか、と言う話がもう少し出来れば十分検討してもらえる話の気がします。

そうなるには、GIGA構想でカリキュラムがどう変わるか?と言うような児童と教員の話だけでなく、保護者がどう関わるべきなのか?と言うことも明確にしていかないといけない気がします。極論ですが、ICT教育が大事なのであって、保護者の手紙などをICT化することや家庭での使い方、それに関わる仕組みを整えることは優先事項でないのであればこのような話は取るに足らない困りごとであると言えなくもないからです。
ただ、そう言う考え方であったら保護者としては寂しいですし、そうではないと願っています。

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