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経産省Q&A 誓約書の署名について 2024年9月25日【STC Legal Expert試験対策】

法改正ではありませんが、経産省Q&Aからも出題傾向があるので取り上げます。

経産省Q&A追加

▼Q17:質問 2024/9/25

 最終需要者の存在確認に加え、EUCのサイナーが代表者であることを確認する資料として、登記簿を用意しました。当該登記簿には、会社の代表としての署名者として、「特定の代表者による署名+社印」との記載があります。
この場合、EUCの署名欄には、特定の代表者による署名の他、社印も必要ですか。

▲A17:回答

 この場合、必要となります。例えば、タイの登記簿に多く見られますが、サイナー確認資料に、会社の代表としての署名者として、「特定の代表者による署名(複数の場合あり)+社印(Company’s seal)」と記載しているケースがあります。輸出許可申請に当たって、当該資料をサイナー確認資料として提出する場合、EUCの署名は、当該記載に従った形式としてください。
 また、サイナー確認資料上、社印を押印する旨の記載がある場合であって、委任状に基づいて別の者が署名する場合は、①委任状において、授権者の署名欄に、署名+社印を押印する、または②EUCの署名欄に受任者の署名+社印を押印することにより、サイナー確認資料の署名者の形式と揃えてください。
 なお、2024年9月30日以前にEUCを取得済み、あるいは取得を依頼済みの場合は、サイナー確認資料に記載された「会社の代表としての署名者」の形式と揃えることは問いません。
 

経済産業省HP

STC Legal Expert試験対策

追加されたQ&Aはかなり実務的な内容の為、試験出題の可能性は低いというのが私の予想です。

誓約書に関しては提出書類通達に定められています。
誓約書関連の出題を振り返ります。

2022年問題1

<問題1>(配点:1)
AからDまでのうち、提出書類通達に基づく誓約書について、正しい説明は◯、誤っている説明は☓とした場合の正しい組合せを後記1から5までの中から1つ選びなさい。

A 工作機械メーカーXは、輸出令別表第1の2の項(12)1に該当する工作機械を個別輸出許可を取得して輸出する。許可申請の際には、需要者等の誓約書の提出が必ず求められる。

B 工作機械メーカーXは、輸出令別表第1の6の項(2)に該当する工作機械を個別輸出許可を取得して輸出する。許可申請の際に、需要者等の誓約書の提出を求められることはない。

C 工作機械メーカーXは、令和2年に誓約書を提出し個別輸出許可を取得して輸出した輸出令別表第1の2の項(12)1に該当する工作機械の需要者から、誓約書に基づき当該工作機械を国外に新設した自社工場に移設するための事前同意を求められた場合、工作機械メーカーXは経済産業省への
事前同意手続を行う必要はない。

D 工作機械メーカーXは、過去に旧誓約書を提出し個別輸出許可を取得して輸出した輸出令別表第1の2の項(12)1に該当する工作機械の需要者から、誓約書に基づき当該工作機械を国内に新設した自社工場に移設するための事前同意を求められた場合、工作機械メーカーXは経済産業省への事
前同意手続を行う必要がある。

1.A○ B○ C○ D☓
2.A○ B☓ C☓ D○
3.A☓ B○ C○ D○
4.A☓ B☓ C○ D☓
5.A☓ B☓ C☓ D○

https://www.cistec.or.jp/nintei/kakomon/expert/2022-Expert-hourei-seikai.pdf

正解は5。2022年度の出題です。
2022年は試験問題の難易度が跳ね上がった年なので、1問目でこれを出されて度肝を抜かれた人もいるのではないでしょうか。

主な論点は、誓約書が必要となる別表1の項番、事前同意手続きです。
提出書類通達から別表1 の項番について確認します。

論点:最終用途誓約書

2.注意事項
(1)最終用途誓約書について
輸出令別表第1の2から4までの項若しくは15の項の中欄に掲げる貨物の輸出又は外為令別表の2から4までの項若しくは15の項の中欄に掲げる技術の提供にあたっては、輸入者等又は最終需要者(以下「需要者等」という。)から、1.(1)、(2)又は(3)に従って最終用途誓約書(以下「誓約書」という。)を取得してください。(上記の項に係る貨物又は技術であっても、仕向地又は提供先国に応じて誓約書の取得が不要となることがあります。役務通達の1(3)サに規定する特定取引に該当する場合は、誓約書の取得は必要ありません。また、上記以外の項に係る貨物又は技術についても、仕向地又は提供先国に応じて誓約書の取得が必要となることがあります。詳しくは1.(1)、(2)又は(3)に従ってください。)
誓約書の記載要領等は次のとおりとします。

以下略

提出書類通達

原則必要となるのが2、3、4、15項という事です。
しかし、下の括弧書きに(上記の項に係る~~)と(上記以外の項に係る~~)とも書かれています。
これにより、選択肢Aの2項(12)「提出が必ずもとめられる」、選択肢Bの6項(2)「提出を求められることはない」というのはXとなる引っかけです。

個別許可申請の実務をやった事ない方は、経産省HPの「申請書類・窓口一覧」を見てイメージを付けるのが良いかと思います。
各項番、仕向地によって提出書類の区分(E2,E1,A,B1等)が一覧化されています。

https://www.meti.go.jp/policy/anpo/apply09.html

例えば2項 い地域① 提出書類:Aでは、最終用途誓約書は提出書類として規定されていません。
これが、提出書類通達の括弧書き (上記の項に係る貨物又は技術であっても、仕向地又は提供先国に応じて誓約書の取得が不要となることがあります。)の言っている意味です。

論点:事前同意手続

3)許可条件について
再輸出若しくは再販売又は再提供に係る事前同意
輸出令別表第1の2から4までの項若しくは15の項の中欄に掲げる貨物の輸出又は外為令別表の2から4までの項若しくは15の項の中欄に掲げる技術の提供であって、1.(1)から(3)に従って需要者等の誓約書の提出が必要となる許可申請については、外為法第 67 条第1項の規定に基づき、次の(a)又は(b)の許可条件が付されることとなります。(上記の項に係る貨物又は技術であっても、仕向地又は提供先国に応じて許可条件が付されないことがあります。上記以外の項に係る貨物又は技術についても、仕向地又は提供先国に応じて許可条件が付される場合があります。)

(a)最終需要者が確定している場合は、「最終需要者から再輸出(再提供(当初の技術の提供先国以外の国で提供する場合に限る。))に係る事前同意に係る手続きを求められたときには速やかに経済産業省に事前同意に係る手続きを行い、経済産業省の指示に従うこと。」
(b)最終需要者が確定していない場合は、「輸入者(取引の相手方)から再輸出又は再販売(再提供)に係る事前同意に係る手続きを求められたときには速やかに経済産業省に事前同意の手続きを行い、経済産業省の指示に従うこと。」なお、(b)において、事前同意に係る手続きの対象外とする者があるときは、「○○○を除き」と示します(Ⅲ.1.(1)①ロ参照)。
②その他の許可条件の例については、別記4のとおりです。

提出書類通達

私が提出書類通達で一番苦手な事前同意手続です。

事前同意手続は、許可条件として付されるものです。
対象は、再輸出もしくは再販売又は再提供。
対象項番は同じく2、3、4、15項です。

選択肢C
「工作機械メーカーXは、令和2年に誓約書を提出し個別輸出許可を取得し て輸出した輸出令別表第1の2の項(12)1に該当する工作機械の需要者 から、誓約書に基づき当該工作機械を国外に新設した自社工場に移設する ための事前同意を求められた場合、工作機械メーカーXは経済産業省への 事前同意手続を行う必要はない」

再輸出となるので事前同意手続は必要でありXとなります。

選択肢D
「工作機械メーカーXは、過去に旧誓約書を提出し個別輸出許可を取得して輸出した輸出令別表第1の2の項(12)1に該当する工作機械の需要者から、誓約書に基づき当該工作機械を国内に新設した自社工場に移設するための事前同意を求められた場合、工作機械メーカーXは経済産業省への事
前同意手続を行う必要がある」

国内に新設した自社工場に移設という事で、これは再移転扱いのため事前同意手続は不要。
と思わせられるのですが、なぜか正解は〇となっています。

犯人は主語の「旧誓約書」です。
この部分は独学でどうしても理解できなかったため、過去のCISTECジャーナルから解説を見ました。

旧誓約書の場合は、再移転であっても事前同意手続を行う必要があるそうです。

これを初見で解けたら神です。

まとめ

今回追加されたQ&Aは、試験対策としては流し読みで良いと考えます。

上記の過去問でも提出書類通達をベースに問題化されており、通達内容をいかに正確に理解しているかが問われています。
登記簿やEUCの署名欄については、実務的すぎて恐らく問題文に盛り込むのは難しいです。

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最後まで読んで頂きありがとうございます。