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【ネトフリ】デリー・ガールズはいいぞって話

JAPANESE BREAKFASTから辿り着いたドラマの1曲

フジロック一色のTwitterタイムラインに流れてきた一つのツイートの動画に、聞き覚えのある、ずっと知りたかった音楽が流れてきた。それはJAPANESE BREAKFASTが披露していた、フェイウォンの「夢中人」だ。フジロックでJAPANESE BREAKFASTがフェイウォンの「夢中人」を演奏する最中には、ステージスクリーンに挿入歌となっている映画「恋する惑星」も映し出されていた。

実は、ここまで書いておいて私は、その曲がフェイウォンの「夢中人」という曲であること、香港映画「恋する惑星」の挿入歌であったこと(そもそも映画の存在を知らなかった)、さらには元々クランベリーズの「Dreams」という曲のカバーであること(クランベリーズのことも)を知らなかった。

いや自分、何も知らんやん…

しかし、この曲の「存在」は知っていて、ただそれが何の曲か、誰の曲かは分からないという変な状況の中、ようやくフジロックとJAPANESE BREAKFAST、そしてツイート主のおかげでやっと判明することができた。本当にありがとう。

▼ザ・クランベリーズ

▼フェイ・ウォン

そして、何故、曲の存在を知っていたかというと、イギリス制作ドラマ「デリー・ガールズ」の挿入歌になっているからだ。(「デリー・ガールズ」はクランベリーズの方を使用している。)

この「デリー・ガールズ」、日本だとNetflixでシーズン1〜2まで配信されているのだが(全3シーズン)、恐らく私がこの2年で一番繰り返し観たドラマだと思う。

それくらい大好きなドラマ「デリー・ガールズ」(そしてドラマを彩るクランベリーズの楽曲たち)について、ちょっと筆を走らせていきたい。

「デリー・ガールズ」とは

舞台は1990年代の北アイルランド・デリー。主人公エレンを中心に4人の女子高校生と、イギリスから転校してくる男子高校生・ジェームズ*の5人組が問題ばかり引き起こす、彼女たちのおかしくも憎めない日常生活を描いている。

※気弱な性格のイギリス人ジェームズに男子校は危険と判断されエレンたちが通う女子校に転入させられ共に過ごす。

紛争が続く地で過ごす彼女たちの日常を描いたこのドラマは、これでもかと食らわすユーモアと皮肉が至る所たっぷりに、そして時折見せる愛情と友情にまた食らってしまう。

私が、このドラマを好きな理由はそこにあると思う。

爆弾処理は日常茶飯、テロが頻発し緊張状態が続く先が見えない情勢。当然、大人たちにとってみれば現実は有事だ。しかし、エレンたち、彼女たちにとっては自分達の高校生活をいかに楽しみ、謳歌するかの方が有事で、そのためなら無茶なことも馬鹿なことも犯す。ある種、二種類の「平時」と「有事」が同居する高校生5人とその周りの大人たちの世界は、あまりにも愛おしいのだ。

【🎬Netflixで配信中】ちなみに一話20分程度で各シーズン全6話なので見やすいシットコム作品

ドラマを彩るクランベリーズの楽曲

このドラマの主題歌といっても過言ではないのが、先に挙げている「Dreams」だ。S1の1話は、この楽曲と共に始まる。バンドの存在を知ってから観て気づいたのだが、エレンの部屋にはクランベリーズのポスターが貼ってある。(ちなみに「ジェシカおばさん」と思わしきポスターも)
個人的に印象に残っている、この楽曲が使用された印象深いエピソードがあるので紹介したい。

S2-1/エレンたちが通うカトリック系女子高とプロテスタント系男子校(北アイルランド問題はこの宗派の対立が大きく起因する)との交流会が行われる。交流会初日のレクリエーションで生徒たちは神父から「互いの共通点」を言い求められるが、誰からも「共通点」は出てこず、「違い」ばかり述べていく。黒板には「Differences:違い」の例が埋め尽くされていった。/交流会は男子校生徒との泊まり行事。彼らを恋に落とそうと当初は浮き足立つエレンたちだったが距離は離れていくばかり。そんな中、ひょんなことから両校の喧嘩が勃発。エレンたちと男子校の生徒たちは、呼び出された自身の親たちにみな説教を受ける。/その光景を見たエレンは何も言わずに「similarites:共通点」とだけ書かれたまっさらな黒板に「Parents:親」と一言書く。それを見た男子校生徒の一人と目が合ったエレンは互いに微笑みを交わし、静かに分かち合うのだった。

親という存在は、どんな宗派であれ、その対立を超えた共通点。視聴者もそれを理解した瞬間、この回の物語は「Dreams」の音楽と共に幕を閉じる。

他にも「Zombie」や「Ode to my family」など、クランベリーズの楽曲の数々が印象的に使われている。

クランベリーズはアイルランド出身のバンド。「だからこそ」なのか、デリー・ガールズが見せる日常や長閑な風景には、クランベリーズの楽曲が馴染み、そして色んな思いにさせてくれる。

エレンたちの物語は決してかっこよくもないし、壮大な感動ストーリーでもない。しかし、混沌する世の中でも忘れることのない"日常"はどんな物語よりも輝かしく、逞しく、愛おしい。

最後に愛情をたっぷり込めて言おう。私たちはエレンたちの無茶も馬鹿も愛していたいのだ!

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