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入院日記4日目かお、きぬ、じんじゃ、ゆり、あか。はい、言ってみてください

朝ご飯の前にやりましょうと昨日寝る前に言われていたCT検査。では行きましょうかと呼びに来てくれたのは10時を回っていた。

今日担当してくれる看護師さんが
歩いて行きます?無理かな、車椅子乗る?とキビキビと質問。車椅子に乗せてもらうと曲がり角をドリフトする勢いで検査室へ向かう。今日もみんな忙しいのだ。
車椅子にしてよかった…

CTのあと遅い朝食をとり、終わったとたんリハビリの人が来た。また新しい人だ。
来る人来る人みんな若いなあ。しかもかわいくてカッコ良くて感じの良い人ばかり。自分の子どもと話す感覚でなごやかに話しかけてしまう。

手足には目立った症状はないが、顔面に、特に左側に軽く麻痺が出ている。ギュッと両目をつぶっても左目だけ半開きになり閉じない。入院前にもその症状はでていたらしく、子どもたちに「お母さん寝ているのに片目が開いていて怖い」と言われていた。

今日のリハビリでは舌を動かす運動をしたり、飲み込みすることを繰り返したりする。いまのところ問題なかったけど、飲み込みがしづらくなるなんて怖いなあと思う。

じゃあ次は僕が言ったことを同じように言ってもらったり計算してもらったりしますねー。

それはちょうど幼児教室のテストのような問題で、いたって簡単なものなのだが、なんだか緊張してしまう。
かお、きぬ、じんじゃ、ゆり、あか。ではそのまま言ってみてください。わあ。こういうのダメなんだという気持ちがでてくる。みんなこういうのは覚える時どんなふうに頭を使うんだろうとか余計なことを考えてしまう。
案の定1回目は全部そのまま言えなかった。2回言ってもらってようやくクリア。また最後にききますからちょっと覚えておいてくださいねー。と、チラッと言われる。それでまた不安になる。

そのあと文章の繰り返しを求められなんなくクリア。文章なら結構長くても覚えられるもんだなと感じる。
計算はなんと全部間違えた。
最後に、ではさっきの、と言われ、
「かお」だけ思い出せなかった。

午後は恐ろしいMRIの検査があった。
また車椅子に乗り検査室へ向かう。あれ?3階で降りないの?エレベーターは地下まで行った。だんだんに暗い道に行く。たまらなくなって、でも平然を装い「この間検査した場所と違うみたいですね」と言ってみた。
「この間の場所は緊急検査室なんです。本来はこっちなんですよ」そうなんだ。やはりこの間とは違う場所なんだ。どんなだろうどんなだろう。心配しても不安になってもじゃあやめましょうとはならないんだしと心の中で自分に言い聞かせる。

警備の人が自動ドアの扉を開けてくれる。
中は蛍光灯の光がパァッと明るかった。機械も新しめで清潔で技師の男性が2人にこやかに迎えてくれた。それに入り口だけみたいだが、なんとしずかにクラシックがながれている!この間の検査室よりずっと安心できる場所だった。
心底ホッとしながら耳栓を念入りに奥までねじこみ横たわった。あの音を想像しながら、ああそうだあれは現代美術の作品なんだと思おう。と考える。
工事現場のような音や迫り来る危険音のオンパレードが時々セッションをまじえたりして奏でられるのだと考えたら芸術的な音に思えてきた。よし、毎回この気持ちでいこう!楽勝だ!などと思う。

夕方、お願いしていたシャワーに行く。ここも清潔で広くて気持ちがよかった。28日ぶり。ああさっぱりした!

たくさん書いてたら気持ち悪さが強まってしまった。
20時前だけど今日はもう寝よう。



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