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「今日機嫌悪い?」ってみんなで気にしなくちゃいけない店長。でもあの店長来てから店の売り上げはどんどん伸びているんだって。

スーパーマーケットで働いて8年目になります。
とはいっても、最初の2年くらいは扶養内のパートで働いていましたが、その後平日は派遣とダブルワークになったので現在は日曜のみのアルバイトとなりました。
その7年間の間に店長は4回変わりました。

今回の店長は昨年の7月から。
体格のよい男性でちょっと人見知りタイプ?というのが第一印象でした。
大型店舗から移ってきたのだそうです。

私のいる店舗は日本全国に展開しているスーパーマーケットなのですが
地域によって様々な規模があります。
私が働いているところは小規模なミニ店舗で、しかも目立たないような住宅街の中にあり、少し離れたところには競合大型スーパーマーケットがいくつもあるような立地です。
でも不思議なことに日々の売り上げは朝礼で聞く限りいつも安定しています。影響があるとしたら天気が悪かった時にちょっと落ち込むくらいなのです。また、チラシがでてもキャンペーンを展開しても売り上げがドンと上がるというようなこともなく淡々と変化なく営業という感じで、頑張っても頑張らなくても大きな変動がないという印象でした。
そのことについてどの店長も悩んでいるという様子はなかったので、本部から課題にされている訳でもなさそうでした。こういう小規模なスーパーってそういうもんなのかなあとぼんやり思っていました。

でも、今回の店長は違いました
店長は商品の陳列、特に入口や季節商戦の場所などにとことんこだわり、何度もやりなおしたり垂れ幕を造ったりして、みるみる店内の雰囲気が変わっていきました。今度の店長は「見せ方」のノウハウをたくさんお持ちのようでした。

この店長が来てから一番最初に感じた大きな変化は
お歳暮の申し込みが増えたことでした。
ここ数年お中元とかお歳暮の注文はかなり減ってきていました。世の中的にもそうではないでしょうか。だからそんなご時世だと思って、毎年ほとんど件数がなくても気にもしていませんでした。
でも昨年末はたくさんの人に聞かれ、たくさんの方からの申し込みを受け付けました。もともとがかなり少なかったこともありますが、10倍は増えたと思います。
思ってもみない分野の成長でしたので、余計に目立ってその違いを感じました
これはあきらかに「見せ方」にこだわった店長の「しかけ」の効果に違いないと思いました。
こんなに変わるんだ!とびっくりしました。

もともと高齢者のお客様が多いお店ではありましたが、そこを逆手にとったということなのでしょうか。こういう昔ながらの風習を当たり前として続けている方をターゲットにと考えたのかもしれません。
「高齢化はデメリットばかり」と考えていた自分の固定観念に気づかされました。

また、ポイントカードのキャンペーンの力の入れようは半端なく、レイアウト、ポスター、ポップはもちろんのこと放送での告知も徹底していました。
ここまでする店長はいままでいなかったので本当に驚きました。そしてその効果も絶大なる力を発揮したのです。

コロナの流行がはじまりたくさんの制約ができても食料の買い物は行かねばならないという中でスーパーマーケットの従業員は職を失うどころか更に忙しくなる状況でした。コロナもだんだんに落ち着いてくると今度はポイントを増やしたり他店と差別化することで店の売り上げを競いだし、今でもそのままポイント参戦は続いています。そうなるとお店のポイントカードを作ってもらうというのは「お得意様になってもらえる」チャンスであるわけです。
また、カードにチャージができる機能がついているため、カードがお財布代わりになって足を運んでもらえる可能性が高くなります
いままでも何度もポイントカード加入キャンペーンはやっていましたが、またキャンペーン始まるんだねくらいにしか対応していませんでした。

でも今回の店長がつくった「見える化」のポップなどは私たちの気持ちも盛り上げました。積極的にレジで声をかけ、「じゃあカードつくろうかな」と加入してくれたお客様がいると自分の手柄のように嬉しくなり、また声掛けに挑戦しようと思えてきます。「○○さんすごいじゃない」と店長にほめてもらえばまたやる気もでてまたがんばる。そんなふうに新しいことをやってみるそしてできた!などという体験は皆いままでありませんでしたから、その喜びを知ってしまったらとまらなくなり、最後には思ってもみなかったような数のお客様に加入していただいた結果となりました。今までみたこともないような数字。しかも自分たちが関わって成し遂げた数字ということが嬉しく、皆の自信にもなりました。そしてその後そのポイントカードの効果もあってかお店の売り上げが少しずつ伸びていったのです。あんなになにも変わらなかったお店が少しずつ「地域の人気店」になっていくのをみるのはなんだか信じられないような気持でした。
これこそマーケティングの面白さを肌で実感したということなんだと思いました。きっと他の従業員もみんな高揚した気持ちになったと思います。

今度の店長はすごい、こんな店長は初めてだ!とひそかに思いました。
あんなになんにも変化しなかった店舗をどんどん変えていってる!
店長によってこんなに変わるのかとびっくりしました。
おもしろいなあとすごく思いました。

私はこの驚きを日曜日の朝礼で思わず発言しました。
「お歳暮今年すごい件数ですね。ポイントカードもこんなにたくさんの人が入ってくれるなんてびっくりしました!今度の店長のやり方ですよね。すごいですね!」
するとみんなちょっとおもしろくないというような顔をして、だれも店長をほめないのでびっくりしました。
「そんなこと言ったらいい気になるから」などと言うのです。
改めてみんながあまり店長を良く思っていないことを知りました。

それがどうしてなのかわかったのは
人が足りないので出てほしいといわれ、土曜日に出勤した時でした。
日曜日よりも忙しくて店の空気がピリピリしているのを感じたのですが、店長の機嫌がとても悪そうだということに気づきました。
日曜日の皆の和気あいあいとしたほのぼのムードはどこへやら、あきらかに怒った顔の店長はあいさつすら返してくれず、平日などもこんな調子なのだろうか、大変そうだと思いました。

また、おそらく成功体験がたくさんおありなのだと思うのですが、
私たちが配置したそばからそれを戻したりやり直したり、全く違う設定にしてしまうことが多いことに気づきました。
さすがにこれは皆がだんだん「ちょっとおもしろくない」という気持ちになるのもわかるなあと思えてきました。
新しい商品が入荷した朝などには「どうせまた店長が好きにしたいだろうから二度手間だし、店長来るまで放っておこうよ」と皆が言うようになっていました。

その後もたびたび気難しい表情をした店長と、一生懸命店長のご機嫌をとりながら作業している仲間をみるようになりました。もちろん和気あいあいとした場面だってあるのですが、こんなにもくるくると機嫌をはっきり出す店長というのもいかがなものだろうと正直思いました。

でも自分がいままでいろいろなところで働いてきて、よく思ったのは「仕事ができる人ほど感じが悪い人が多かったなあ」ということだったので、これはそういうことなのかなと思ったり・・・。
(あくまで私の感じ方です。)
すごく考えて結果を出している人は、まるでなにも考えていない人にイライラするのかもしれないなあなんて思ったり・・・。


売り上げは確かに伸びているだろうけど、毎日のように出勤している人は前より仕事中にストレスを感じることが増えたのではないだろうか、
お店が活気づくのは悪くないけれど、だからといって機嫌の悪さをふりまくというのは「しかたないことなんだろうか」と考えました。

店長はもっとやりかたがあるのではないだろうか・・・とも思えますが、難しい人が起爆剤になることもあり得ると考えると何が功を奏すかわからないなとも思えてきます。


お客様も高齢化してきましたが、従業員もかなり高齢化してきて
今では60代の方が一番多く、時代だなあと思うのは70代の方も年齢を感じさせない働きっぷりで元気にお仕事をしていらっしゃいます。そして皆さんほとんどが10年20年30年働いている人ばかりなのです。

私たちおばちゃんたちはいつも慣れ親しんだ人のいるところで働いていられるので居心地がよく、ちょっとなあなあになってきているところもありました。難しいこと、知らないことは覚えようとしない人にも「しょうがないよね」で済ませてしまったり、軽いミスは仲間内で笑い飛ばしてもみ消してしまうこともあるのはたしかにあまり良いことではありません。だからそんな場面でちょっとムッとなる店長の気持ちもわからなくもなく、私たちの考えも変えていかねばならないところもあるでしょう。

また、いまさらまたガツガツと
売り上げを伸ばすことを目標に働くということも望んでいないような人たちばかりの店でもあり、今度の店長のような人にとってはちょっと物足りないかもしれません。

また2年ほどしたら店長は変わるので、みんな一時的に我慢しているのかなもしれません。
でもこの刺激を「おもしろい」って思えるんだったら、やっぱりそれが一番楽しいのかなと私は思います。

個人的には
店長のマーケティングのお手並みを拝見したいと思います。
これからもその効果をみるのが楽しみです。

今回のことで、こういうことが結構自分は好きなんだなあと気づかされたことも発見でした。

※たかさばさんの写真を使わせていただきました!
ありがとうございました!





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