超受験対策RPG妄想製作室 11.敵(英単語)の設定

前回でこのゲームを、世界史を旅し、今の歴史に修正する物語としたが、ここでRPGになくてはならない敵、すなわちモンスターの設定について考える。モンスターが現れ、しかもそれが英単語(と日本語訳)となると、それを物語との整合性をとりつつ語るのは、なかなか骨が折れる。が、やってみよう。モンスターを英単語として記述することについてあれこれ考えるうちに、哲学者のウィトゲンシュタインと、若干だがラカンの概念が使えるのではないかと思いついた。本格的なことはよくわからないし、正確性はゼロなのだが、それっぽさが大事なので、それでいいと割り切るしかない。それが創作のいいところだ。

1.英単語モンスターについて
敵のモンスターの名称を像とする。像とはなにか。哲学者のウィトゲンシュタインが、『論理哲学論考』であげた概念であり、現実の模型としての言葉を像という。つまり、「机が壊れた」という言葉では、現実の机が壊れたさまをその現実の模型として言い表している、そういう考えらしい。

それを使うとどういう設定が作れるか。世界が偶然性に晒され、そこにあったはずの歴史が崩壊し、歪曲化(別の世界線が流入)されてしまった。それを修正(観測)するため、時間を旅する主人公。その中で、空間や存在も融解し、ラカンのいう象徴界と想像界が秩序を失い、カオス状態の言語(英単語)とイメージ(モンスター)が漂っていた。これをあるべき場所へ返す→自身の言語=日本語と結びつけて有意味にし秩序づけるために、その像と戦う。ゲームシステムとしての戦い=想像界との戦い。単語暗記=象徴界との戦い。

2.後期ウィトゲンシュタイン
大筋の設定はこれでいいのだが、この像という用語は、ウィトゲンシュタインの著書『論理哲学論考』の考え方で、所謂前期のものだ。ウィトゲンシュタインはこの後『論理哲学論考』を批判する立場となる。その際考えられたのが、言語ゲームという概念であり、家族的類似性という捉え方だ。これが所謂後期ウィトゲンシュタインだ。実は昔から、言葉に対する態度としては、言語ゲームのほうがしっくりきているという個人的な価値観もあるので、できればこの変遷についても、このゲームで表現したいと考えている。例えば、物語の後半では、前半に覚えた英単語の、それとは違う文脈・意味のモンスターを出現させ、その単語の複数の像(アスペクト)を引き出すことで、言葉の家族的類似性を示すことができないだろうか。複数の意味、翻訳を浴びせることにより、その言葉の何かを掴むことができたら、受験から一歩進んだ思考に気づけるヒントになればと思う。

以上が敵モンスターの設定だ。いろいろ本を読んで、なんとなく思いついたのでまとめてみたが、よくわからんがそれっぽく纏まったのではないだろうか?

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