「超受験対策RPG」妄想製作室 ⑥戦闘システム⑵

前回に引き続き、戦闘システムについて考えていく。今回は、難易度調整について。ドラクエとメガテンとの比較から、戦闘のおける難易度はRPGの印象をガラリと変えてしまう重要な要素の一つということを示し、また受験対策として難易度をどうするかについても考える。

1.インパクト
まず、これはちゃんと確かめていないのであくまで持論だが、人の記憶において重要な点は、1つは反復、もう一つはインパクトだと思う。反復については既に述べたが、インパクトとはなんだろうか。
個人的な体験を一つ話そう。学生時代、英語の授業の前に友達と話をしていて、私はなんとなく「noticeって意味なんだっけ?」と尋ねた。すると友人は「noticeの意味知らないの? 全員知ってる基礎単語だと思ってたわ」と言われた。それを言われた私は、恥ずかしさも相まって、強い衝撃を覚え、そのたった一回を機に、今でも鮮明に意味を記憶している。つまり、人は衝撃を覚えた体験(もしくは強い感情を伴う体験?)は、反復しないでも記憶しているもので、言い換えれば、ゲーム内で強い衝撃を与えるような体験を作り出すことができれば、知識を記憶へ定着させることが可能になるのだ。

2.ドラクエとメガテン
ではRPGの戦闘において、反復しつつもそれぞれにインパクトを与えるにはどうすればよいか。そこで提案したいのが、一つひとつの戦闘難易度(戦略性)を上げるということだ。ここではドラクエシリーズと真・女神転生(メガテン)シリーズの戦闘における価値観の違いについて考えよう。
ドラクエの雑魚敵との戦闘の機能とは、ボスまでの道のりにおいて、いかにHPやMP、アイテムを削っていくかである。つまりは、ゲームの面白さとして、いかに道中パーティの状態をマネジメントするかという点に重心がある。一つひとつの雑魚敵との戦闘では、HPは削られるけれども、よっぽどレベルが低くない限り一発で死ぬことはない。それらの戦闘の繰り返しのなかで、アイテムやMPをどう管理するか、いかに消費と節約のバランスをとるかが醍醐味なのである。
それに対して、メガテン(ここでイメージしているのは主にメガテン3)の戦闘の機能とは、それ自体が駆け引きのゲームなのである。難易度がドラクエに比べて高く設定されているため、いかに雑魚敵であっても、得意属性によって一瞬で圧倒的なピンチに追い込まれたり、数回の攻撃または即死技などでゲームオーバーを招くことがある。ドラクエ的なマネジメント要素ももちろんあるが、それ以上に一戦一戦が気の抜けない戦略ゲーム的な様相を呈しているのだ。


3.面白さと挫折
では、このドラクエ的な戦闘とメガテン的な戦闘、二つの違いを考えると、どちらがインパクトを生み出しやすいだろうか?もちろん、答えはメガテンだ。一つひとつの戦闘を大事にしつつ、戦略を間違うなどの何かの拍子にゲームオーバーになることがあれば、それは強い感情とともに記憶に定着するだろう。
では、より記憶に定着させるために、戦略性を極限まで高めて、難易度を上げればいいかというと、話はそう単純ではない。そこには、挫折という大きな問題がある。難易度が極端に高いマゾゲーというジャンルは、コアなゲーマーにとっては追求しがいのある要素として捉えられ、ある種の「質の高い」ゲームとして認められることが多いように思う。が、それ以外の一般層、つまりは圧倒的マジョリティであるライトユーザーには、その面白さは届かない可能性が高い。最近異世界転生ものが過度に流行っている背景にも、所謂オレツエーのような難易度の低いゲームを無双していくような欲望が人々の中には確実にあるのだろう。裏を返せば、ドラクエが国民的ゲームとなることも納得できるだろう。

このバランスをどう考え、具体的に作っていけばよいかについては、また次回。

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