「超受験対策RPG」妄想製作室 ②RPGについて

第二回は、RPGと受験勉強の関係について、つまりはなぜRPGという形式を選ぶのかについて書いてみる。もちろんそこには受験勉強との親和性があるのだが、それだけでなく、ここにはゲームとしてのある種のチャレンジ的な側面があると考えている。

1.反復
なぜゲームの中でもRPGなのかといえば、なによりも多様な反復作業を自然に導入することが可能という点だ。知識を暗記させる上で重要なことは、何よりも反復だ。記憶研究で有名なエビングハウスが示した忘却曲線によると、人は何かを記憶しても1日後にはそのうち66%のことを忘れてしまうため、学習には繰り返しが必要となる。反復を繰り返すごとに、記憶への定着率は上がっていくのだ。
ここでひとつ考えてみよう、RPGにはザコ敵との戦闘がある。ある目的のためフィールドやダンジョンを巡る際、同じモンスター達と何度も戦闘を行い、レベルを上げ、ボスに挑む。そしてボスに勝てなければ、またモンスターと戦い、レベルを上げる。その繰り返しが苦にならず、むしろレベル上げの喜びを生み出すことができるのが、RPGなのだ。例えばそこで、モンスターの名前を英単語にしたらどうだろうか。モンスターが攻撃する度に発音が流れ、日本語訳とセットで表示しておけば、自然と反復学習になる。またレベルアップの条件を、テスト形式にして、合格すればレベルが上がるとすれば、記憶により定着することが見込まれる。具体的なシステム構築はまた今後行うにしても、このほかにも村人との会話、アイテム、スキルや魔法、ジョブ等RPGにはいろいろなガジェットがあり、それぞれに知識を散りばめることが可能であり、さらには反復もできるところにRPGの利点がある。
(もっといえば、反復の仕方を容易にコントロールできるので、忘却曲線の理論に沿って、ゲームデザインを行うことが可能。)

2.成長するということ
またもう一点、RPGと受験対策をセットにしたい理由がある。これはゲーム側の視点なのだが、私は常々、RPGにはプレイヤーの成長要素がないと感じていた。
どういうことか。アクションゲームや格闘ゲーム、シューティングゲーム、レースゲーム… なんでもいいが、これらのゲームは、基本的にプレイヤーがゲームをする中で、プレイヤー自らのスキルを磨き、成長することでクリアを目指すものである。私が影響を受けたゲームとして、デモンズソウルがある。アクションゲームなのだが、プレイヤーは何度も何度もゲーム内で死ぬことで、トライ&エラーを繰り返し、その中で少しずつゲームを理解し、自らのスキルを上達させ、進めていく。ハッキリ言って最初は苦行のようであったが、上手くなっていく過程はとてつもなく面白いし、ゲームにはこのような過程こそ本質であるように思う。
しかし、RPGにはそれがない。いや、戦闘等に関しては、そういった戦略部分でのスキル要素はあるかもしれないが、基本的な構造としてはその要素は薄いように思う。プレイヤーのスキルというよりかは、いかにザコ敵を倒し、キャラクターのレベル・スキルを上げるかが大きな部分である。プレイヤーではなくキャラクターの成長。
もうお気づきかもしれないが、受験勉強という要素は、プレイヤーのスキル要素になり得るのではないかと私は考えている。キャラクターの成長にプレイヤーの成長をそのままリンクさせることができれば、いままでのRPGよりもより大きな達成感を生み出すことができるはずだ。レベルアップの条件をテストとするのは一例である。ここをいかにデザインし、面白さに還元できるかが、このゲームのチャレンジ部分だろう。

以上、RPGというジャンルについて考えてみた。昔からRPGは好きなので、あくまでゲームとして面白いものを作りたいという点は拘りたいところだ。次回は、舞台設定について考えていきたい。

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