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VS 骨付きセセリ

ニワトリは意思決定をするとき、自身の過去の経験を反省して行動できるほど、意外にも頭が良いらしい。


そんな頭の良いニワトリの肉であるセセリを買った。
しかも骨付きのセセリである。余りに安かったので。
骨付きのセセリなんて売ってるの見たことありますか? 俺は初めて見た。
毎日同じスーパーに行くと同じ食材を使いがちになってバリエーションがなくなって本当に飽きるので、何かないかと3つ遠いスーパーに行って見つけた食材だった。
こういう珍しい食材はマンネリ化したタイムスケジュールに彩を加えてくれる。


さっそく調理しようと取り出してまな板に置いてみるが、骨付きのセセリは余りにも未知。
とりあえず味噌炒めとかにしようとか思いながら、骨から身を削ごうと包丁を入れてみるが上手くいかない。余りにも難解だった。
直線的な構造にはなっておらず、包丁が入る部分と入らない部分があって、ジェンガでスムーズに押し出せるパーツがないかを指でひたすら探しているような時間だった。
ちょっとこれは舐めていた、冷静になろう。
そう思い、一旦落ち着いて思慮を巡らせてみる。


セセリの図解

セセリは首の肉ということは何となく聞いたことがあったが、つまりはこの肉塊の中に太い首の骨があるということである。
そんなことは当たり前の話なんだけれど、首の骨という非日常なものに一般家庭の食卓では普通は出くわさないので完全に意識の外からの攻撃だった。
私も鶏の首は初めましてだったので理解を深めようととりあえず挨拶をしてから形をググってみる。すると図のように骨が非常に複雑で凸凹していることがわかった。
捌いている動画をみてみるが包丁を持つ手が踊ってた。あまりに難しそうである。骨付きセセリが安い理由がわかった。
正直な感想として自分には無理そうな踊りだった。


そう言うわけで思考停止して圧力鍋にぶち込んだ 俺はできることしかしない。出来ることが出来るって最高だ。
圧力をかけると骨が綺麗に剝がれることを俺は知っている。
手羽元先輩も手羽先後輩もそうだった。


そしてこれが圧力20分後。せっかくなので出汁も入れておいた。


いい感じですね。うまそう~~。


さて、身を解すか……あれ


あっ、これ無理なやつだ。
身が完全に骨にだいしゅきホールドして活着している。
いや、なんというか入り組んでいる。太い骨が一本というわけでもないらしい。
圧力鍋をもってしても剥がれないほど複雑なラビリンス・ウォール。
安い理由がさらに分かってしまった。


というわけで身を剥がすのは諦めてスープにすることにした。
冷蔵庫に豆腐があってよかった。


完成。
味はいいけれども思ったよりも身は少なく、アラ汁を飲んでいるようなテンションだった。
非常に反省が多い。もっと良い活かし方があったようにも思う。
結果的に鶏ガラみたいな扱いになってしまい、セセリに申し訳ないことをした。
この経験を活かして次はもっと上手く美味く調理したい。
だってニワトリですら過去の経験を反省できるのだから。

でも二度と買わないと思う。

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