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息子が初めて殴られた

子連れの方にお仕事を依頼する機会があった。
ある日のこと、家の近くでカメラマンをしている方を見つけ、その方が撮影会をするというので参加してみた。

話を聞いてみると、息子と月齢が1月違いの娘ちゃんを自宅保育していて、撮影会には娘ちゃんも同席するということらしい。

私は元気が有り余っている息子を見ながら仕事をするなんて絶対無理!と思っているので、(実際に子連れで職場に挨拶に行くだけで、その後何もできないくらいに疲れ果てている……)、子供を見ながら仕事なんてすごいなぁ、大人しい子なのかなぁ、と呑気に考えていたのだが。

そこで、息子が殴られた。 

最初に断っておくと、全体的に見れば、そのカメラマンさんの娘ちゃんは、どちらかといえば“いい子”だと思う。

写真撮影しているときに乱入してくることもなかったし、初めて会った我々親子にもずっと笑顔で、特に、月齢が近いからか、息子のことが気になるみたいで、すぐに近寄って来た。

いい子だ。
ただ、距離感が近い。そしてパワーがあった。

事が起きたのは撮影後、疲れた息子が床でごろんと寝ころんだときだった。

離れたところで遊んでいた娘ちゃんが、ダダダと息子の側に走ってきて、そしていきなり、

頬を叩いた。

突然のことに、その場にいた誰もが固まった。

すぐに、カメラマンが娘ちゃんを引き離し、
「だめでしょ!ごめんなさいしなさい!」
と言ったが、相手も1歳。ごめんなさいなんてできず、ただ黙り込むだけ。

一方息子はというと、何が起きたのか分からずに固まっている。
当然だ。だって、息子は人生で初めて「殴られた」のだから。
実際には平手打ちだったのだが、寝転んだ無防備な状態で、いきなり頬を叩かれる。あれは、「殴る」といえる状態だったと思う。
殴られた場所が、じんわり赤くなっていた。

そのうちに娘ちゃんは、そろそろと息子の頭を撫でて「ごめんね」のアピールをした。
息子も頷いて一件落着……と、言いたいところだが、まだショックが抜けない息子は、何も反応できず固まっている。
しばらくして、は、と動くと、小さな声で「ママ、だっこ……」と言うので、抱っこをすると、ぎゅっと抱きついてきた。
そこで、本人にとってこれはかなりショックだったんだろう。

いつも元気な息子だが、実は内弁慶である。
公園や支援センターで、自分より元気な子が走っていると、気にはなりつつ、離れたところから見るだけ。使っていたおもちゃを横取りされても、「あ……」と、残念そうな顔をするだけで、すぐに諦めて別の遊びを始める。

そんな息子は、叩かれても何も言えず、ただ、静かに抱きついてきた。

悲しかったよね。痛かったよね。
ママも悲しかったよ。
でも大丈夫だよ。落ち着くまで抱っこするからね。

心の中でそんなことを思いながら抱っこしていると、気が済んだのか「ん~」と、降りるアピールをしてきたので降ろした。

その後は落ち着いて、娘ちゃんとまた一緒に遊ぶことができた。

ただ、どうにもモヤモヤするのが、

親からの謝罪、なくなかった……??

カメラマンから娘ちゃんに「ごめんなさいしなさい」という言葉はあったし、娘ちゃんからのごめんなさいはあったと思うが、母(カメラマン)から我々への謝罪、なくなかった……??

もしかしたら、最初に「ごめんなさい」と言っていたのかもしれない。だが、正直私も殴られた直後はショックで、全然耳に入ってきていない。
少なくとも、その後、記憶にある限りでは、親から私たちに対して改めての謝罪の言葉は言われていない。

今のところは経験がないが、もし自分の息子が他の子に手を上げてしまったら、私はとにかく相手の親子に謝り倒すと思う。
もちろん最初は自分の子供のフォローで大変だと思うが、落ち着いたときに、改めて謝罪すると思う。

しかも今回の場合は、金を払う側、受け取る側という関係である。客の子供に加害してしまったとなれば、もう頭を床につける勢いで謝るしかないと思う。

その感覚が、今回の相手とは違うのかな、と感じた。

というのも、その後、また息子と遊びたくなった娘ちゃんは、後ろから近づくや否や、首元に抱きついた。
私は内心
え、首じゃん、締まるって、やめてよ
と思ったけれど、カメラマンは全く何も注意せず、
「ぎゅってしてる~」
と微笑ましそうに眺めていたので、

あ、感覚が違いすぎる……。

と、半ば諦めの気持ちになった。

そんなこんなで微妙な気持ちで撮影会を後にした。

今回のことは、母子共に苦い経験ではあったが、今後の保育園生活について考えさせられるものでもあった。

息子はこの春から保育園に入園する。
2歳児クラスは、幼児6人に対して保育士1名の配置基準である。
実際にはフリーの先生が補助に入るようだが、とにかく1人2人で6人を見るわけだから、当然見えないところで今回のようなトラブルが発生することもあると思う。

息子は喋れる語彙が増えたとはいえ、まだ家族以外の子の名前を言えないので、誰とトラブルになったのか伝えることはできない。
今回のように、被害に遭う側のこともあれば、加害してしまう場合もあるかもしれない。

先日X(旧Twitter)を見ていたら、入園の心得を上げている人がいて、その中で

子供が加害してしまうことがあれば教えてほしいと伝えた。ケガをさせられた時には伝えられることが多いが、させてしまったときには伝えられないこともある。

X(旧Twitter)

というものがあった。

親の知らないところで自分の子供が誰かに怪我をさせていて、しかも親には伝えられてはいないから、一見親は知らんぷりしているように見える。
……最悪だ。

「子供同士のことなので」というのは、被害に遭った側が言うことであって、加害した側がそのスタンスでいてはならないと思う。

園のスタンスがどのようかは分からないが、我が家も伝えておこうと思う。

これまでも少人数での預かりの経験はあるとはいえ、保育園は、初めての大人数での集団生活。
息子にとっては刺激もあるが、試練も多いだろう。
もしかしたら、今回のようなことは日常茶飯事なのかもしれない。
ただ、子供同士のことであったとしても、手を上げるのは絶対に良くない。私の信念としてそれは変わらないし、変えたくないので、うまく園と連携を取りながらやっていきたいと思う。




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