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父が娘に語る、美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。

本書はなぜ、「アボリジニが英国を支配する側ではなく、支配される側になったのか?」という問いから資本主義の本質、民主主義の意義に迫る経済の本です。

問いの立て方が秀逸すぎで、それだけでこの本の世界に引き込まれてしまいます。

本書はベストセラーになった本なので、私が推薦するまでもなく資本主義の本質について知りたい方は是非というところです。

著作の中で著者は民主主義の重要性について説いているわけですが、このような本が書かれた背景には著者がヤニス・バルファキスというギリシャ生まれのギリシャの経済危機時の財務大臣(経済学者)を務めた方で、EUの緊縮財政策に真っ向から立ち向かわれた方であることは無視できないと思います。

ギリシャ経済危機は2009年の事ですが、実は単に借金が返せない問いう経済危機だけではなく、HIV、マラリア、自殺者の増加といった重大な公衆衛生上の危機がギリシャに起きていた事が明らかとなっています。それはIMF、EUの緊縮財政策によって医療費が削られる(具体的には処方薬量の制限、感染症予防対策予算乃削減など)という政策が取られた事が背景に有ります。

著者はこうした政策を招いた政治家を選挙で選んだのは国民であるということに警鐘を鳴らしたいのだと思います。誰もが経済についてしっかりと意見を言える事が真の民主主義の前提であり、専門家に経済を委ねることは自分にとって大切な判断を他人任せにしてしまうことという本書の主張の背景がギリシャ経済危機にあることは言うまでもなくないと思います。

我々も民主主義国家の一員として、政治家が国民の生活を守る政策を掲げているか今一度自分の頭で考える必要があると感じました。


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