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カール・マルクス 著『資本論 』(54)  読書メモ

第七篇 資本の蓄積過程
 第二十二章 剰余価値の資本への転化
  第四節 資本と収入とへの剰余価値の
      分割比率から独立して蓄積の
      大きさを規定する諸事情。
      労働力の搾取度ーーー労働の
      生産力ーーー充用される資本と
      消費される資本との差額の増大
      ーーー前貸資本の大きさ
剰余価値 が 資本 と収入とに分かたれたれる比率を与えられたものとして前提すれば、蓄積される資本の大きさは、明らかに剰余価値の絶対的大きさによって定まる。

80%が資本化され20%が消費されるものと仮定すれば、総剰余価値が3000ポンドだったかによって、蓄積される資本は、2400ポンドとなるであろう。したがって、蓄積の大きさの規定においては、剰余価値量を規定するすべての事情がともに作用する。エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 3 (岩波文庫) (Kindle の位置No.2749). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

剰余価値 率 は、まず第一に労働力の搾取度に依存することが想起される。経済学は、この役割を重視するのあまり、往々にして、労働の生産力の増大による蓄積の促進を、労働者の増大によるその促進と同一視している。

剰余価値の生産にかんする諸篇においては、労働賃金は、少なくとも労働力の価値に等しい、ということがつねに想定された。

しかし、実際の運動においては、この価値以下への労働賃金の強圧的引下げがあまりにも重要な役割を演じているので、われわれは、しばしばこれに拘わらざるをえない。事実上この引下げは、ある限界内では、労働者の必要消費原本を、資本の蓄積原本に転化するものである。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 3 (岩波文庫) (Kindle の位置No.2756). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

一般的 に 結論 すれ ば、 資本 は、富の二つの原形成者である労働力と土地とを自己に合体することによって、一つの膨張力を獲得し、この膨張力によって、外観上は資本自体の大いさによって置かれた限界を超えて、すなわち、資本が具体的に存在するすでに生産された生産手段の価値と量とによって置かれた限界を超えて、自己の蓄積の諸要素を拡大するのである。

資本の蓄積における、さらに一つの重要な要因は、社会的労働の生産性の程度である。

労働の生産力が増大すれば、一定の価値が表示される、したがってまた与えられた大きさの剰余価値が表示される生産物量が増大する。

剰余価値率が不変であれば、またそれが低下しても、労働の生産力増大するよりも緩慢にしか低下しないかぎりは、剰余生産物の量が増加する。

ゆえに、所得と追加資本とへの剰余生産物の分割が不変であれば、蓄積原本の減少なくして、資本家の消費は増加しうる。

蓄積原本の比率的大いさは、消費原本を犠牲にしてさえも増大しうるが、しかも同時に商品の低廉化が以前と同じかまたはより多くの享楽手段を資本家の処分に供する。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 3 (岩波文庫) (Kindle の位置No.2925). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

労働力 の 搾取 度 が 与え られ て いる ば あいには、剰余価値の量は、同時に搾取される労働者の数によって規定され、またこの労働者数は、種々に異なる割合をもってではあるが、資本の大きさに対応する。

したがって、資本が継続的蓄積を介して増大すればするほど、消費原本と蓄積原本とに分かたれる価値観も、それだけ多く増加する。

ゆえに資本家は、より贅沢に生活しながら、同時により多く「節欲する」ことができる。そして結局、前貸しされる資本の量の増大とともに、生産の規模が拡張されればされるほど、生産のすべてのバネが、ますます精力的に働くのである。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 3 (岩波文庫) (Kindle の位置No.3061). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

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