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カール・マルクス 著『資本論 』(7)  読書メモ

第一遍 商品と貨幣
 第一章 商品
  第四節 商品の物神的性格とその秘密②
労働時間の社会的に計画的な分配は、各種の労働機能が各種の欲望にたいして正しい比例をとるように規定する。

他方において、労働時間は、同時に生産者の共同労働にたいする、したがってまた共同生産物に費消さるべき部分にたいする、個人的参加分の尺度として役立つ。

人々のその労働とその労働生産物とのたいする社会的な連結は、このばあい生産においても簡単に明瞭であることに変わりはない。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 1 (岩波文庫) (Kindle の位置No.2431). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

社会的 生活 過程、すなわち物質的生産過程の態容は、それが自由に社会をなしている人間の生産物として、彼らの意識的な計画的な既成のもとに立つようになってはじめて、その神秘的なおおいをぬぎすてるのである。

だが、このためには、社会の物質的基礎が、言いかえると一連の物質的存立条件が、必要とされる。

これらの諸条件自体は、また永い苦悩にみちた発展史の自然発生的な産物である。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 1 (岩波文庫) (Kindle の位置No.2451). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.


一部 の 経済 学者 が、どんなに商品世界に付着している物神礼拝、または社会的な労働規定の対象的外観によって謬らされたかということを証明するものは、ことに、交換価値の形成における自然の役割についてなされた、退屈で愚劣な争論である。

交換価値は、ある物の上に投ぜられた労働を表現する一定の社会的な仕方であるのだから、それはちょうど為替相場と同じように、少しの自然素材も含みえない。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 1 (岩波文庫) (Kindle の位置No.2552). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

もし 商品 が話すことができたら、こう言うだろう、われらの使用価値が人間の関心事なのであろう。

使用価値は物としてわれらに属するものではない。が、われらに物として与えられているものは、われらの価値である。

商品物としてのわれら自身の交易が、このことを証明している。われらはお互いに交換価値としてのみ、関係しているのである。

そこでいかに経済学者が商品の心を読みとって語るかを聴け、曰く

【「価値」(交換価値)「は物の属性であり、富」(使用価値)「は人の属性である。この意味で価値は必然的に交換を含んでいるが、富はそうではない」。

「富」(使用価値)「は人間の特性であるが、価値は商品の特性である。一人の人間または一つの社会は富んでいる。

一個の真珠または一個のダイヤモンドには価値がある・・・・・一個の真珠または一個のダイヤモンドは、真珠またはダイヤモンドとして価値を持っている。】
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 1 (岩波文庫) (Kindle の位置No.2567). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

これまでまだ、一人の化学者として、真珠またはダイヤモンドの中に、交換価値を発見したものはない。

しかし、特別の深い批判力をもっているこの化学的実体の経済学者的発見者たちは、物財の使用価値が、その物的属性から独立しているのに反して、その価値は、物としての属性に属しているということを発見している。

彼らがここで立証することは、

物の使用価値は人間にとって交換なしで実現され、したがって、物と人間との間の直接的関係において実現されるのに、逆にそれらにおいてのみ、すなわち、社会的過程においてのみ実現されるという特別の事態である。

エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 1 (岩波文庫) (Kindle の位置No.2582). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

『 考察』 の 著者およびS・ベイリーは、リカードを非難して、彼は交換価値を、相対的にすぎないものから、何か絶対的なものに転化したと言っている。

逆だ。

彼は、これらの物、例えばダイヤモンドと真珠とが交換価値として有する仮装相対性を、この外観の背後にかくれている真の関係に、すなわち、人間労働の単なる表現としてのそれらの物の相対性に、約元したのである。

リカード派の人々がベイリーにたいして粗雑に答えて、的確に答えなかったとすれば、これはただ、彼らが、リカード自身に、価値と価値形態または交換価値との間の内的関連について、少しも解明を見出さなかったからであるにすぎない。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 1 (岩波文庫) (Kindle の位置No.2591). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

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