見出し画像

脳と記憶

不思議なことと思っているのは、脳は物質なのに脳に意識が生まれるのは何故かでした。

脳科学者の茂木健一郎氏は、「神経細胞1個取り出して培養しても、われわれが知っているような人間の意識は生じない。何故なら、神経細胞の関係性を通して、意識は生まれるから、と断言しています。

これは現代科学の最大の謎の一つであり、中々解明には至らないようです。

一方、記憶は、どのように存在するのかは解明されつつあると言う。

なんと、最近の研究では、記憶の種類によって保存される脳の場所が異なることまで分かっている、と茂木氏は述べている。

具体的には、下図に示すように、エピソード記憶は前頭葉に、意味記憶は側頭葉に、感情に関わる記憶は扁桃体に、非陳述記憶(手続き記憶)は大脳基底核の線状体と小脳に、短期記憶は海馬に保存されるのです。

『眠れなくなるほど面白い図解脳の話』
P121
  • エピソード記憶:個人的な出来事や経験を記憶する。「夕食は何食べたか」というようなもの。

  • 意味記憶:長期記憶のうち、言葉の意味や知識、概念に関する記憶です。
    法律家は憲法、刑法、民法などを使いこなすまで条文を覚えないと、生活できない。

  • 非陳述記憶(手続き記憶):運動、楽器、外国語などを繰返し練習することで技を覚えて習得すること。

各場所に保存された記憶を引出すには、記憶の回路に電気信号を送ることで呼び覚まし、思い出すことができる構造となっている。

ただし、長い期間思い出さずにいる記憶は消去される。これは、実感としても良く分かります。

老化などによる物忘れは、電気信号のエネルギーが弱くなっているせいであり、記憶自体が消えることではない。

とはいえ、老化すると思い出そうという努力すらしないので、消えていくというのが実情なのでしょう。

人間の脳はいくつになっても成長できる可能性を秘めているので、どんなに、みっともなくても新しいことに挑戦していくことが大切だ、と茂木氏は主張しています。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?