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【ネタバレあり】『シン・仮面ライダー』最高!

泣いた。うるうるが止まらない。目頭が熱くなる。
こういうのを待っていました。10点満点です。

まじめな仮面ライダー映画といえば、造詣が深い方は分かると思いますが、だいだい上手くいってません。今回仮面ライダー生誕50周年企画ということで庵野秀明監督のもと『シン・仮面ライダー』が製作されました。

納得できなかった設定にも理由をつけてくれた

私は仮面ライダー好きですが、ずっと思ってました。「変身したら服がはじけとぶだろ」と。
ウルトラマンも一緒ですけど、ウルトラマンは宇宙人でエスパーだからはあんまりそこは気にならない。仮面ライダーは動植物の能力を移植された改造人間なわけなので、皮膚から変化するわけで服ははじけとぶに違いないのだと。それなのに服はずっと残っている。

『シン・仮面ライダー』はそのモヤモヤを解消してくれました。コンバットスーツを常時装備していて、変身したらコンバットスーツの下で変化しているということが描かれました。これで心スッキリです。

あとは原作ファンからすると「ここを掘り下げてくれ!」ってところをすごく掘り下げてくれました。それは緑川ルリ子です。ただただ浜辺美波が美しいというのもありますが、原作の緑川ルリ子の描かれ方は不十分で路線変更の都合で急にフェードアウトしました。

仮面ライダーを作った科学者の張本人の娘というかなり良い設定のポジションでありながら、それが活きるような活躍は原作ではなかったと思います。そこを2023年に庵野監督のリブートにより描いてくれました。本当に素晴らしい。

それゆえ終盤のルリ子には泣きました。ここからはネタバレなしで語れる気がしないので、ネタバレします。気になる方はここから先ご覧にならないでください。








以下、ネタバレ注意

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レイとアスカのいいとこ取りのヒロイン

鑑賞された方の感想を聞くと、演技がみんな棒だという人がいました。たしかに本郷猛役の池松壮亮氏のセリフは抑揚がないように見えます。ただそれはバッタオーグに改造され、いとも簡単に人を殴り殺せる力を得てしまった悲しみの感情を必死に抑えながらしゃべっているのです。必死で感情を殺してしゃべっているわけですから、抑揚はなくなります。

最初の彼のモチベーションは緑川ルリ子を守ること、ルリ子がいたからショッカーとの戦いに身を投じることができました。最初は心を開いてくれないルリ子もハチオーグとの戦いから徐々に心を開きます。今まで一才笑うことがなかったルリ子もこの頃から笑います。

ここまでタメてのツンデレの破壊力はすさまじいです。まるでエヴァのレイとアスカのいいとこどりです。そんなゾッコンのルリ子ですが、ショッカーの暗殺者の不意打ちにより絶命します。本郷猛はその前の戦いで足を負傷し、まともに動けない。必死でルリ子の元にいきますが、時すでに遅し。ショッカーの人間は死ぬ時は溶解するというシーンがその前からありましたが、ルリ子もじきに溶解してしまうのです。それに抗うために必死に本郷猛はルリ子の元にはいつくばりながら近づく様は涙なしでは見れません。溶解していくアングルも悲しすぎる。本郷はこのあと一人でどうすればいいんだ。。

一文字への継承、それは仕事の引き継ぎ

ここでとっても良いタイミングで登場するのが仮面ライダー2号の一文字隼人です。中盤以降で登場する一文字ですが、最初の印象は「なんだこの軽いやつは?」と思いました。私は原作ファンですが実はあんまり一文字隼人は好きじゃないんですよね。なので「本郷だけでいいよ」と思っていたのですが、ルリ子ロスのあと、本郷の心の支えになるのが一文字隼人だったのです。いい意味でライトな一文字はそのキャラクターで固まった本郷の心をほぐしていきます。原作ファンにはおなじみの「二人でダブルライダーだな!」のセリフはもう涙が止まりません。原作アレンジのBGMもカッコ良すぎる。サイクロン号にまたがっても変身もカッコ良すぎる。そこで襲ってくる敵が原作でいうところのショッカーライダーなのもたまらない。ヒーローになれたいたかもしれないけど完全に洗脳されたバッタ男たちの集団にダブルライダーが立ち向かいます。

ショッカーライダー始末後に少し悲しみに暮れるダブルライダー。その後最終決戦へ。

最後は本郷猛も死んでしまい、一文字隼人だけが残ります。映画ポスターにもありましたが、「継承」「あなたに託す」というワードがとても印象に残っていました。ルリ子と本郷の思いは一文字隼人に託されたのです。一文字隼人は最初「俺は一人がいい」って言ってたんです。でも最後ひとりぼっちになったとき「結局一人かよ」とぼやきます。短い間ですが一文字隼人には気持ちの変化、成長がありました。最初なんだこいつと思った一文字隼人が一気に好きになりました。本郷が信じた一文字にすべてを託したくなりました。

普通の仕事でもありますよね、誰かに引き継ぎしないといけないとき、「この人で大丈夫?」なんて思ったことはないですか? この映画は仕事の引き継ぎの様はとても爽やかで、清々しい気持ちになりました。信じた男を信じてすべてを託すんです。その潔さがたまらなく素敵でした。

最後まで飽きさせない仕掛け、産みの苦しみ

そういうわけで泣いた。孤独の戦い、ルリ子への想い、一文字への継承。仮面ライダーをサポートする政府の男たちもニクい。最初はアンチショッカー同盟とかいうから、原作第92,93,94話のオマージュかと思ったけどそれはフェイクでした。実はおやっさんだったんですね。仮面ライダーはおやっさんがいないと始まらないですよね!! 

『シン・仮面ライダー』のキャストにおやっさんいない、なんでだろう、と思ってたけど、その伏線回収が最後であるとは。。最後の最後まで観客を飽きさせない(まあ原作知ってる人じゃないと分からないですが)。

いや凄すぎた。庵野監督、素晴らしい作品をありがとうございます。私の偏愛もあると思いますが10点をつけさせて頂きます。

(採点:★★★★★★★★★★)


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