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シネマテーブル by maeda penclub

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前田ペンクラブの映画鑑賞履歴を感想を添えてまとめています。
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2020年5月の記事一覧

『動くな、死ね、蘇れ!』(ソビエト連邦/1989)

『動くな、死ね、蘇れ!』(ソビエト連邦/1989)

国際映画祭カメラ・ドールを受賞している。暗そうな映画だが、予想裏切らず思いっきり暗い。(観る人は覚悟して観よう)

第二次大戦後、スーリャンという炭鉱町が舞台。街は収容所地帯として存在し、混沌としている。主人公は12歳の少年ワレリカは悪童であり、ロクでもないことしかしない。だが、それ以上に大人たちが狂っている。見終わってから気づいたが、まともな大人は1人もいない。そんな大人たちが社会を作っていて、

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『みなさん、さようなら』(2003/カナダ,フランス)

センスがあるのかないか分からない微妙な邦題なのだが、原題は『蛮族の侵入』である。ちなみに蛮族とは父親にとっての息子を意味している。劇中では、仲の悪い親子が末期がんの父に対して向き合う姿が淡々かつコミカルに描かれる。重すぎず軽すぎないバランスが素晴らしい。

劇中に語られますが、末期がんの父親は《好色の社会主義者》で、息子は《野心的な資本主義者》である。この二つは相対する主義であり、父親と息子の仲は

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『カクテル』(1988/アメリカ)

『カクテル』(1988/アメリカ)

トム・クルーズの映画は何が好きかと聞かれたら、私は『カクテル』と答えます。

物語は主人公が軍を除隊するところから始まる。学歴はないけど億万長者になる夢だけを持ち、ニューヨークへ向かう。簡単なあらすじですが「野心を持って働きました、恋もしました、挫折もしました、悲しい別れもありました、でも成功しました、ありがとう!」という超ドストレートな話です。

まずBGMが陽気で楽しい。トム・クルーズのバーテ

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