見出し画像

A・M・バレイジ作品案内

もちろん『ありふれた幽霊』は日本で初めて刊行されたA・M・バレイジの短編集なのですが、ではこれまでに日本ではまったくの未紹介だったかというと、(すでにふれたように)そんなことはありません。

彼の作品はこれまでにも、アンソロジーや雑誌などで単発的に紹介されてきていますので、あるいはすでに読まれた読者の方もいらっしゃるのでは? え、覚えてない?

そこで、これまでに翻訳紹介されたバレイジの短編作品を一覧にしてみました。あなたが読んだ作品は、ありますか?

「象牙の骨牌」 平井呈一
牧神社『こわい話・気味のわるい話1』ほかに収録

「遊び相手」 山本俊子
ハヤカワ・ミステリ文庫『ロアルド・ダールの幽霊物語』ほかに収録

「落葉を掃く人」 秋津知子
ハヤカワ・ミステリ文庫『ロアルド・ダールの幽霊物語』ほかに収録

「13人の鬼あそび」 笹瀬麻百合
朝日ソノラマ文庫『13人の鬼あそび』ほかに収録

「幻の貴婦人」 竹生淑子
朝日ソノラマ文庫『悪夢の化身』に収録

「違う駅」 高山直之
国書刊行会『怪奇小説の世紀1』に収録

「足跡」 倉阪鬼一郎
国書刊行会『怪奇小説の世紀3』に収録

「青い服の少女」 尾之上浩司
ミステリマガジン二〇〇三年八月号に掲載

「今日と明日のはざまで」 中野善夫
創元推理文庫『怪奇礼讃』に収録

「見た男」 南條竹則
ちくま文庫『イギリス恐怖小説傑作選』に収録

「誰のものでもない家」植草昌実
『ナイトランド・クォータリー』vol.11に掲載 *本書「無人の家」

「夏のワイン」 仁賀克雄
ミステリマガジン2018年5月号に掲載

「落葉を掃く人」「13人の鬼あそび」「幻の貴婦人」「見た男」の4作品はバレイジのペンネームであるEX-プライベート・X名義です。風変わりなペンネームですが、兵役経験を示唆したものでしょうか。

これらの作品のうちで圧倒的に有名なのは、収録アンソロジーの表題作にもなった「13人の鬼あそび」で、これは彼の代表作でもあります。古い屋敷でのかくれんぼ中に不可解な事件が……と、不気味なムードがたっぷりと味わえます。ほかに「スミー」「暗闇のかくれんぼ」というタイトルでも翻訳されています。

残念ながら、現在は入手しにくい本もありますが、機会があればぜひ読んでみてください。

上記作品の詳しい一覧は『ありふれた幽霊』巻末に掲載しています

ありふれた幽霊

『ありふれた幽霊』

A・M・バレイジ/仁賀克雄・編訳/フロントデザイン・石川絢士

amazon.co.jpにて販売中

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?