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トヨタ GR86 RZ 試乗記

 上から目線で申し訳ないけれど、この車だけが今のトヨタが作れるわかりやすいスポーツカー。圧倒的なコスパを感じる。これが作れて、どうしてスープラはああなったの・・・? スポーツカーをラインナップに持っていない協業メーカーのせいだな?


諸元

全長×全幅×全高 4,265×1,775×1,280mm
ホイールベース 2,575mm
トレッド (前)1,520mm (後)1,550mm
車両重量 1,290kg(44:56)
エンジン出力 235ps@7,000rpm
エンジントルク 250Nm@3,700rpm 
トランスミッション 6速MT
タイヤ 215/40R18


全体の感想

 ディーラーを出て交差点1個曲がっただけで、楽しいと口にするほどわかりやすく楽しい車。少し乗ると気になる箇所はあるけれど、踏み込めばきっちりした加速感があり、ステアリングを切れば応答遅れが少なく、ゲインが高いヨーが出るキビキビした動き。スペックからして決して速いわけではないけれど、このスペックでサーキットを楽しく走るためには絶妙なバランスになっていると思う。素のままで速く走る車ではないかな?。

詳細

ハンドリング

 切れば遊びがなく応答し、とってもキビキビ動く。ボディ剛性高いわけではない(A110比)けれど、先代の86に比べると前側の剛性が上がっていてバランスはきちんと前が強くなる方向に変わっている。ゲインは相変わらず非線形。先代は剛性が足らないような、切り始めは良く動くけどそこからゲインが落ちる動き。それに対して新型は切り始めまでは先代と同じで、そこからゲインが増える方向。非線形な特性は相変わらずだけれど、新型の方が個人的に好み。だけど、操舵していくにつれてステアリングの径が小さくなるような感じだったので、結構大きく非線形な変わり方をしている気がする。この非線形性は気になりだすと気になってしょうがないやつ。

乗り心地
 硬い。ボディがしっかり受け止め切れてるわけでもないので、結構スパルタン。起伏を拾ったときに角がすごくある感じではないけれど、少し荒れた道を走ると結構車体が動いてるし、バネが硬いんだろうなーこれ。

ブレーキ

 踏力コントロール型で、きちんと制動力が効いたところからはすごくコントロールしやすい。ただし、制動力が立ち上がるまでにペダルのストロークで遊びがあるせいで制動力の立ち上がりまでの間があって扱い辛い。踏力コントロール型はA110もMazda3もペダルストロークに遊びがなく制動力が立ち上がってきているので、この部分は改善してほしいところ。

エンジン・トランスミッション

 2.4Lのエンジンを積んだ理由がわかる。これは2Lだと楽しさが不足する。それぐらいこの2.4Lのエンジンは下からトルクが出てのびのびしてる。どちらかといえば下のトルクを重視したような設定となっていて、上まで回したらすごく気持ち良いというわけではない。でも下からのトルクがしっかりあるので、軽快感があってすごく楽しい。

シート

 シートは最も改善して欲しいところ。街乗りしていて気になったわけではないけれど、座った時のホールド感が足りない。体が細いからかもしれないけれど、ロードスターと比べても体が動かせてしまうので、サーキットでそのまま遊ぼうと思うと結構体を支えるのに力を使って大変かもしれない。

まとめ

 この日乗った中では、主観での運転する楽しさに対するコスパ最強の1台。今のロードスターとコチラのどちらを選ぶかと聞かれたら確実にこちらを選ぶ。ロードスターのような、たおやかな動きはないけれど、この個性ある動きを乗るのはとても楽しい。
 趣味性の高い車は、街乗りの中でもわかる個性がなければいけないと思う。強烈な加速であったりはもはやEVに敵うことはないけれど、操舵してからの動きの軽快感や速度を上げていった時の気持ちの良い伸び感は、まだまだICVにしか出せない特徴の一つ。そういった特徴を街中のちょっとした操作の中に見出すことができれば、運転することが楽しいこと、気持ちの良いことであるとわかるので、すごく良いなと思う。
 個人的にトヨタの車は、スポーツカーのラインナップを増やしているけれど。こうしたところの車づくりがあまり上手ではないと思う。最も悲惨な例はスープラだけれど。

個人的な好みの車は、ヨーゲインが高い車を楽しいと感じるんだろうなって、振り返ってわかってきた気がする。そしておそらくハンドリングの気持ちよさは、フロントの応答の間の取り方と、リアの剛性を高くしつつフロントの邪魔をしない感じがいんだろうな。でもそんな車はこの世にないので、欲しければ自分で作るしかないね。

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