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HLABと角川ドワンゴ学園が手掛ける中高生向けオンラインプログラム「Virtual College」を開催しました

去る8月17日(月)〜9月4日(金)、HLABと角川ドワンゴ学園はコラボレーション企画として、自分なりの大学選びをテーマとしたオンラインプログラム「Virtual College」を開催しました。この記事では3週間という長期にわたり実施した体験学習プログラムについて、企画に込めた思いと当日の様子を紹介したいと思います。

なぜ、Virtual Collegeを企画したのか?

HLABは2011年から10年間、サマースクールという形で高校生に向けて「主体的な進路選択」の機会を提供してきました。しかしながら新型コロナウイルス の影響で、中長期的な世界のあり方だけでなく1年後といった近い将来の不透明さが増してきています。このような社会状況においては、「主体的な進路選択」がより難しく、同時により重要なものとなってきています。

本年度HLABではサマースクールが中止となり、高校生に「主体的な進路選択」を考える十分な機会の提供をすることができず、どのようにすれば高校生へその機会を設けることができるのかと考えるようになりました。また、このような社会的状況だからこそ「ピア・メンターシップ」を通したプログラム設計が重要なのではないかと考えるようになりました。

そのような折に、かねてからHLABと共に学びのイベントを実施してきたオンラインの高校である角川ドワンゴ学園と双方の知見を持ち寄る形で、「自分らしい大学選び」をテーマとした3週間のオンラインプログラムを企画することになりました。

Virtual Collegeの着眼点

従来HLABが行っているサマースクールと同様に、自分らしさを理解すること、進路について知ることで「主体的な進路選択」が実現するという考えのもと、オンラインで3週間のプログラムを行いました。

日々の生活の中で、改まって自分らしさを探求するというのは、殊中学生・高校生にとっては難しいものです。さらに新型コロナウイルス の影響で社会が不安定な中、学校が休校にな流など、最低限保証されていた機会も失われてしまいました。元来、中学生・高校生が大学について知る・大学生と交流し自分が持つ選択肢について知る機会が少ない中、外出が規制され自由に人と交流することができない現在、実際に大学生に会い選択肢について知る機会は格段に減少しています。

HLABと角川ドワンゴ学園の初の試みである今回のプログラムでは、ただワークショップやレクチャーを行うだけではなくHLABが大切にしているピア・メンターシップを軸に、大学生と高校生が共に学びあうことのできる環境を企画し、「自分らしさの探求」と「進路選択について知る」を参加者のみなさん自身が考え体感することを目的としました。

メンター紹介キャプチャ

プログラムの様子

HLABと角川ドワンゴ学園での初の本格的なコラボレーション企画にもかかわらず、30名の角川ドワンゴ学園・N中等部の生徒さんが参加してくれました。学年は高校3年生から中学1年生と幅広く、オンラインのためか海外から参加してくれた参加者の方もいました。これら30人の参加者に加え、オンライン上での行動班である「ハウス」を率いてくれた大学生メンター6人を加えた総勢約40名でプログラムは進行していきました。

プログラムスケジュール(トリミング済)

Week 1:お互いについて知る

HLABが例年行っているサマースクール とは異なり、オンラインの企画のため偶発的な交流の機会が少ないと考え、角川ドワンゴ学園の協力のもとWeek 1ではお互いを知る時間と定義し、様々なアイスブレイク企画・お互いを知ることのできるワークを行いました。

Day 1ではSlackなどを使用しながら自己紹介を行い、全体に向けて1人20秒程度でテンポよく自己紹介を行なっていきました。初日にもかかわらず、果敢に自己紹介を行う中学生・高校生の姿が印象的でした。

Week 1の中間日であるDay 2では角川ドワンゴ学園が企画設計した様々なアイスブレイクを行いました。Week 1ということで参加者の緊張が伝わってきましたが、アイスブレイクを通してみんなの気持ちの変化を感じ取ることができ、Day 3に向けての良いウォーミングアップになった1日でした。

Day 3では大学生メンターについて知ると目的とし、パネルディスカッションとフリーインタラクションを行いました。パネルディスカッションでは大学生メンターの生い立ち、自身の進路選択についてなどの話が出てきました。フリーインタラクションでは参加者のみなさんが大学生に対して、様々な進路に対する質問をぶつけていました。

Week 2:自分らしさについて深掘りする

Week 2では本プログラムの目的である「自分らしさの探求」を偏愛マップとライフチャート を通して行っていきました。

Day 4では現在の自分を表現し、自分らしさを理解するために偏愛マップを行いました。偏愛マップでは「好きなこと」と「大切なこと」にフォーカスし進めていき、様々な偏愛マップが描かれ、参加者同士の対話を通し自分らしさを深掘ることができました。偏愛マップでそれぞれの「好き」や「大切なこと」を再認識したことにより、大学生メンターやゲスト大学生への質問が大幅に増えました。

Day 5では偏愛マップとは異なり、過去の自分を探求する中で自分らしさを考えていくという目的のもと、ライフチャート を行いました。ライフチャートでは自分の知らなかった自分、気づかなかった自分の側面などを理解することができたという声をいただきました。

Day 6では実際に「好きなこと」と「大切にしていること」を大学での学びにつなげた大学生をゲストに及びし、それぞれの専攻していいる学問に関してのリベラルアーツセミナーを行いました。参加者のみなさんからの反響はものすごく、実際のロールモデルとの交流はみなさんにとってもゲスト大学生にとっても良いというピア・メンターシップの真価を感じることができた時間でした。

Week 3:自分らしい大学選びを言語化する

これまで2週間かけて行った「自分らしさ」と「選択肢を知る」を振り返りながら、実際に参加者のみなさんに「自分らしい大学選び」を言語化してもらいました。

Day 7ではさらに「選択肢を知る」ために、総勢10人の大学生ゲストをお招きしフリーインタラクションを行いました。参加者それぞれがこれまでのプログラムを通して疑問に思ったことや、気になったことを大学生にぶつける有意義な時間帯でした。

プログラムも終わりに近づいてきたDay 8では再度「自分らしさ」の言語化を行い、「自分らしい大学選び」とは自分にとって何かを考えてもらいました。「自分らしさ」の言語化に戸惑っていた参加者の方々には大学生メンターがフォローに入るなど活発な対話を通して「自分らしさ」を言語化していきました。その後「自分らしさ」とプログラムを通して培った「選択肢」を用いて将来の自分について「自分らしい大学選び」やロードマップを用いて表現しました。

最終日の閉会式では、未来宣言という形で参加者全員がDay 8で言語化した「自分らしい大学選び」・ロードマップを発表しました。発表では自分らしいさをさらに探求し、「自分らしい大学選び」を行いますという参加者もいれば、好きなことを体現するために特定の学部に進学したいという具体的な発表を行ってくれました。

ワークシートキャプチャ

Week 3で使用したワークシート

参加者の声

参加者のみなさんに事後今回のプログラムの感想を伺ってみると、このようなコメントが寄せられました。

「このプログラムを通して、様々な体験をし自分の視野の狭さについて実感した。」
「なんのために大学に行くのか?などの今まで自分が当たり前だと思っていた根本的なことを考え直しました。考え直した結果、この分野を勉強したいから大学に行くんだと自分の意思を確認できたし、モチベーションにもつながったり、とても良かった」
「偏愛マップなどに色々な方向へ散らばっている私の「好き」を書き出し繋げてみると「人と関わる、何かを一緒にやる、伝える、表現する、表現を受け取る」などといった共通点があることが分かり、大きな気付きとなった」
「大学・専門学校という場が好きを学べる場所だと認識した」
「『自分らしさ』を徹底的に考える中で、『自分』についての理解も深められたような気がします」

本プログラムの軸である「自分らしさの探求」と「選択肢に知る」という様々な企画を通して、参加者のみなさんの中に新たな気づきや大学に対する思いの変化などがまれたようでした。

まとめ

実際にVirtual Collegeを開催してみて改めて、「主体的な進路選択」にはピア・メンターシップが必須であることを確認することができました。特に、高校生にとって日常生活であまり関わりのない大学生との交流や、自分らしさの深掘りを行う機会が有効であることも示すことができました。

HLABでは今後もオンライン・オフラインの枠に囚われず、様々なプログラムやワークショップを、様々なセクターの皆さんと共にに取り組んでいます。学校や企業の皆様と作り上げる「共に学び共創する」場の創出については、お気軽にお問い合わせください。

また、このようなピア・メンターシップがあふれる場としてのレジデンシャル・カレッジ(居住型教育寮)をHLABは現在開発、準備しております。新しい視点に触れたり、対話したりする機会を日常的に生み出し、より学びの機会を創出いたします。ご興味のある方は、以下のページより詳細をご覧ください。


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