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Phillips Exeter Academyってどんな学校?その2

2019年7月に開始するHLABの新しいサマースクール、「HLAB×Exeter」。本記事では、パートナーであるアメリカのボーディングスクール(寄宿制高校)、Phillips Exeter Academyについて連載して紹介します(全3回)。

今回、HLAB×Exeterプログラムを実施するにあたり、過去、HLABのスタッフは米国のPhillips Exeter Academyを2回、訪問しています!今回の記事では、そこで見聞きしたPhillips Exeter Academy(以下、Exeter)での授業や暮らしの様子をお伝えしたいと思います。

まるで大学のようなキャンパス

Exeterは、約1,000名の生徒が在籍しているため、キャンパスの規模も相当です。寮が何個もあり、授業をする建物があり、ホールがあり、図書館があり...と、まるで大学のよう。生徒の皆さんはその建物を授業時間ごとに移動することになります。赤レンガの建物が芝生の広場に立っている様子は、ハーバード大学を彷彿とさせます。

その中でもExeterとしてイチオシなのは、なんといっても図書館!蔵書は高校としては全米一を誇り、建築家の巨匠であるLouis Kahnによる建築なのです。日々、ここを舞台にExeterの学生たちはリサーチや授業の勉強に取り組んでいます。

天井まで吹き抜けた大空間で、とても広く感じます。

その他にも、アートに特化した活動が行えるGoel Centerという建物があり、シアター、衣装製作所、レッスンスタジオ、大道具製作所、などなど、およそ高校の施設とは思えないレベルの設備が整っていました。訪問した際には、オズの魔法使いを学生が演じる準備をしているということで、多くの学生さんが練習や大道具作成をして準備を進めていました。建物の名前からわかる通り、卒業生でもあるヘッジファンドを経営するGoel氏による寄付だそうですが、相当な規模でした。

寮生活では多様性ある交流があふれている

なんといってもExeterの魅力は寮生活。実は、近隣に実家がある学生は、実家から通ってもOKなのですが、そんな彼らも週末に寮に泊まることはよくあるそうです。(笑)

寮では、基本的には学年を超えて共同生活をするため、縦割りの交流が促進され、多様な交流がうまれています。上級生の中から数名のProctor(日本語に無理やり訳すのであれば『監督生』。ハリー・ポッターでロンがなっていましたね笑)が選挙などを経て任命され、リーダーとして上級生と下級生が定期的にミーティングを開いています。

ProctorのほかにはStudent Listenerという役割になる上級生もいて、彼らは同じ寮生の悩みやトラブルを聞いたり、コミュニケーションを促進したりする役割を担っています。共に暮す寮監の先生ももちろんいますが、生徒主体で寮が運営されています。

なお、このProctorやStudent Listenerたちは、学期が始まる前に徹底的なトレーニングを受け、寮生のメンタルヘルスや生活の指導について学びます。そのあたりのバックアップを高校が準備しているのは、寮生活に重きをおくボーディングスクールならではですね!

また、2017年からAll Gender Dormitoryと称して、性別を問わないメンバーが共同生活する寮がオープンしました。昨今のLGBTQ+の流れとも言える非常に新しい取り組みです。より多様性あふれる場になっていそうですね!YouTubeに詳細な様子を伝える動画がありましたので、是非ご覧ください。

これだけ、学年やセクシャリティ、加えて国籍や人種も違う学生たちが集まるため、文化的なコミュニケーションの齟齬が起きてしまうこともあるそうです。しかし、そんなときもじっくりと相手の話を聞き、対話して、Proctorのリードと共に主体的に解決し、共に喜ぶ。それこそが寮生活を通じて提供されるResidential Educationの根幹なのかもしれません。このような「違い」から生まれる摩擦に対して、適切なコミュニケーションを取ることを推奨しているので、壁には下のような”13 skills for Culturally Competent Communication(異文化適応コミュニケーションのための13つのスキル)”というポスターも見つけてしまいました。”Be Open and WIlling to Move It”とか、素敵ですね!シェアハウスなど、どこの共同生活場所でも使えそうな考え方ばかり。

ちなみに、余談ですが、寮の部屋決めはExeterの在籍年数が長い順に自分で選択して決められるらしく、例え上級生でもExeter歴が短い編入生などは、順番はあとになるらしいです。ちょっと体育会系ですね(笑)

教えない授業スタイルで自主性を育む

Exeterの教育といえば、Harkness Methodです。詳しくは次回の記事で書ければと思いますが、とにかく、科目やテーマによらず、先生主体ではなく生徒主体の議論形式の授業方法のことです。先生も、生徒も同じ楕円状のテーブル(写真参照)に対して向き合い、上下関係を感じさせない中で、フラットな関係性で議論を進めます。先生→生徒、という、我々が普段イメージする教室での学習とは一線を画す手法であり、実際に授業も拝見しましたが、よく「聞き」よく「話す」ことが推奨され、生徒の皆さんの積極的な姿勢が大前提にあるな、と感じました。

Harkness® is a registered trademark of Phillips Exeter Academy.

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