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デジャブ。そして結末は・・・:速報レビュー 横浜Fマリノス対北海道コンサドーレ札幌(10月16日)

 今日はFマリノス対コンサドーレ戦を見に日産スタジアムまで行ってきた。娘が等々力以外のスタジアムでフロンターレ以外の試合も見てみたいといっていたのが理由。妻がマリサポだと言うこともあり、また、最終節のマリノス対フロンターレの直接決戦のチケット取りに備えてFマリノスのファンクラブに入り、ファンクラブ先行でチケットを取った。

 この試合を選んだ理由は、単純にFマリノスと戦うコンサドーレを見てみたかったからだ。フロンターレとの試合はかならず面白い試合になる。であればFマリノスとの試合も面白い試合になるはず。フロサポと言うより、一サッカーファンとして純粋にこの試合を見たいと思った。

 昔はフロンターレ以外のサッカーもけっこう見に行っていたのだが、最近は行かなくなった。代表とかWEリーグを除くといつ以来だろう?

 フロンターレの勝ち点マジックはいま10。
 だから、引き分けだったら8、負けたら7になるというのは頭にはあったが、そういう他力本願的下心はあまり大きくなかった。というのも、11月7日のアウェイサガン鳥栖戦のチケットは既に取ってあるし、24日のアウェイセレッソ戦のホテルとフライトはもう手配してある。地力でセレッソ戦で決められればいいと思っているからだ。

 日産スタジアムは、ラグビーワールドカップの決勝戦以来2年ぶり。新横浜から歩いていて、当時のことを思い出してしまった。

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期待通りのナイスゲーム

 最終スコアは2-1でマリノスの勝利。デザインされたコーナーキックからのミドルシュートで前半半ばにコンサドーレが先制。Fマリノスはなかなか得点できず、後半39分にようやく同点、そして43分に勝ち越しするという劇的な試合だった。スコアだけでなく、内容も期待したとおりの素晴らしい試合だった。

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 終盤にスコアが動く劇的な試合を見ることが最近は多い。10月12日の日本代表対オーストラリア代表、9月26日のフロンターレ対ベルマーレ、9月22日のフロンターレ対アントラーズ、9月5日のルヴァンカップ対レッズ戦。だんだん感覚が麻痺してきた(笑)。

 今日は当事者ではなかったので気は楽だったのだけれど。


コンサドーレのマンマークに苦しんだFマリノス

 Fマリノスは4-2-3-1、コンサドーレは守備時5-3-2ないし4-4-2、ただし守備時は基本マンマークなのでフォーメーションにはあまり意味はない。攻撃時はなんと2-3-5。最終ラインに2人、二列目に3人を配し、前線に5人が並ぶ。

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 この写真、コンサドーレは左に向かって攻めているわけじゃない。左に向かってだと5-3-2に見えてしまうが、逆向きだ。5人並んでいるのは最終ラインではなく、前線だ。コンサドーレの5人が前線にいるので、マリノスはボランチの1枚を最終ラインのサポートにおかなければならなくなっているのがわかる。

 5人前線においたのは、5月の等々力でのフロンターレ戦と同じ。前半はフロンターレが苦戦し、後半になって田中碧を交代出場させて盛り返して2-0で勝った試合だ。

 今日の試合は、あの試合と去年苦杯をなめた等々力での試合のデジャブのような試合だった。

 コンサドーレはマンマーク。マンマークと言っても密着するのではない。

 マーカーは自陣ゴール側にポジションを取り、ボールとマーク対象の両方を同時に視野に入れる。そしてパスが通ったらマーク対象に近づいて前を塞ぐ。闇雲に飛び込んでかわされるリスクは犯さず、相手の自由を塞ぐ距離と位置を取る。

 もちろんそれだけだと1対1。その状況で、敵陣側でFマリノスの選手をマークしている選手がマークを外れてチェックに行く。そういう形でのプレスでボールを奪うのがコンサドーレの守り方だ。

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 特に前半はこの守備が面白いように上手く決まった。Fマリノスはパスを上手く回せず、横パスを引っかけられてカウンターを受ける。

 コンサドーレはボールを奪取すると反対側のスペースにロングパスを蹴ることが多い。

 ボール保持時は前線に5人が上がるから、5つのレーンをすべて埋められる。それを前提に、素早く反対サイドのレーンにボールを運ぶゲームプランなのだろう。

 そうなるとかなり簡単に裏に出られる。また、5人相手に4バックでは守り切れないので、Fマリノスはボランチが最終ラインのケアをしなければならなくなるから、中盤の密度が薄くなる。そうなるとコンサドーレの中盤のパスは通りやすくなる。こういった形の攻撃にFマリノスは劣勢に立たされ、先制点の他にも何度も決定機を作られた。

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 ただ結論から言えば、この決定機を作れていた時間に2点目を取れなかったのが勝敗を分けた。


コンサドーレ攻略にはデュエルがポイント

 コンサドーレのマンマーク、けっこうしつこくて攻略は難しい。先制されるとカウンターのリスクもあるので戦いはさらに難しくなる。

 フロンターレはそれで去年は等々力で0-2で敗れたし、今年の等々力でも前半は苦戦した。今日のFマリノス戦も、「あ、この展開見たことある」と、まったくデジャブのような展開の試合だった。

 このマンマークディフェンス、きれいに崩そうとしても崩せない。多分ワンタッチのパスが3回以上つながればマークを崩すことはでいると思うのだが、それだけの数ワンタッチでパスをつなげるのは至難の業。

 ここで勝つ方法は1つ。マーカーにデュエルを挑み、勝つことだ。去年のフロンターレは、デュエルを避けてきれいに崩そうとして敗れた。今年のフロンターレの等々力での試合は、正面からデュエルを仕掛け、そこで優位に立つことで勝ちきった。

 今日は娘と縦並びで、試合の話をしながらの観戦ができなかったこともあり、試合中にけっこうツイッターを書いていたのだが、後半しばらくしてこんなことを書いた。

 それからFマリノスは選手交代。時に最終ラインのサポートに入っていた喜田拓也を下げて杉本健勇、仲川輝人に代わって水沼宏太を投入。

 もう点を取るしかない前掛かりの布陣。それに対してコンサドーレも選手を替えつつ、5-3-2の割り切ったディフェンスフォーメーションを取る。

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 この選手交代はマスカット監督からの明確なメッセージだ。「攻めろ」と。これでFマリノスの選手のマインドが変わって火がついたのだろう。果敢にデュエルを仕掛けるようになった。

 同点ゴールは、自陣でのデュエルでボールを奪い、前進後、ペナルティエリア左で天野がディフェンダーにデュエルを挑んで2人を抜き、優位な状況で杉本にクロスを送った形だ。前田の勝ち越しゴールでもやはりデュエルの勝利が絡んでいる。

 このあたりも含め、5月16日の等々力の試合のデジャブのような試合だった。

フィールド上ではどうにもできない差ではあるのだが・・・・

 コンサドーレは、サッカーの方向は正しいのだと思う。見ていて面白いサッカーなのは間違いない。それに今日の試合について言えば、後半半ばまでは優位に試合を進めていたので、そこで2点目なり3点目を取れていれば、そのままゲームをクローズできていた可能性は高い。勝敗を分けた点はまさにそこにある。

 ただし、1点しか取れなかった現実の中で言うと、交代選手のプレー強度の差というのははっきり出た。

 ここは残念ながら、選手層の差、つまりチームの予算規模の差という、フィールドではいかんともしがたいところがある。けれど、無責任な他サポながら、このサッカーを追求した先にできあがるものを見たいとは思う。