クローズアップ三笘薫:対横浜FC戦(5月22日)
5月22日の川崎フロンターレ対横浜FC戦。3-1でフロンターレが勝利した試合の「いまさらマッチレビュー」。最後にいつものように三笘薫のプレーを。
この試合は、三笘は78分までの出場。DAZNで見られたのは79分までだったので、ギリギリ三笘のプレーはすべて確認できた。
まずは三笘のボールタッチのマップ。
いつものように左サイドのペナルティエリア角が中心。ただこの試合は中央レーンや自陣でのボールタッチも普段より多い。
なお、この試合はボール奪取数が5つあり、これまで数えた中で最も多い。ボール奪取マップから三笘だけを抜き出すとこんな感じになる。流れによっては自陣まで戻って守備をしていたことがわかる。
普段と違うプレーマップ
次に、三笘のボールタッチマップにドリブルを付けてみよう。
いつもと違うことがわかる。例えば一週間前のコンサドーレ戦。
ちがいはドリブルの数だ。横浜FC戦ではドリブルが少ない。
一週間後のアントラーズ戦と比べてみても少なさが目立つ。この試合はアントラーズが三笘のドリブルを上手く守った試合だが、それでもドリブルを試みた数は横浜FC戦よりはるかに多い。
ドリブルの少なかった三笘
そこで三笘のプレー選択を見てみよう。
ドリブル:6(90分換算6.9 13%)
パス:32(90分換算36.9 71%)
シュート:3(90分換算3.5 7%)
ロスト:4(90分換算4.6 9%)
ドリブルがわずか6回、13%にとどまっている。去年のドリブル:パス:シュートの比率は37:56:7。それに比べるとはるかにドリブルが少なく、パスが多い。一方、ボールタッチ数は出場時間内に45、90分換算で51.9。
ドリブルでなく、ショートパスで
90分換算で50を越えるボールタッチは今年の中では極めて多い。ドリブルで崩しに行くというより、左サイドでのショートパスでディフェンスを崩していったことがうかがえる。
このことはパスの出所を見ればさらに明らかになる。
登里:12
田中碧:11
家長:8
敵ボール:5
シミッチ:4
谷口:3
旗手:2
チョン・ソンリョン:2
シュートこぼれ球:1
登里とのパス交換が多いのはいつものことだが、田中碧とのパス交換がこれほどの数になったのは初めてだ。家長と8本と言うのも多い。
これは、田中碧が時に左サイドに開き、三笘が中寄りのポジションを取ってパス交換を頻繁に行ったことによる。家長とも、サイドチェンジのパスは1回だけで、あとは家長が左サイドに移動したときのもの。PKを取ったときも家長とのワンツーで抜けだしている。
ここからわかるように、この試合では三笘のドリブルで崩すのではなく、ドリブルのオプションを意識させながら、ショートパスで左サイドを崩していったと言うことになる。
この試合、横浜FCのボール奪取が少なかったことからもわかるように、横浜FCは重心を後ろに置いて守っていた。そのため、ドリブルのスペースがあまりなかったことが一因だろうが、普段だったらそれでももっとドリブルを使って崩している。
家長が左サイドに移動するだけでなく、田中碧もライン際にまで開いてパス交換していたことから考えると、ドリブルが「できなかった」のではなく、意図してショートパスで攻撃していたように思われる。これは新しい攻撃オプションを試していたのだろうか?
(終わり)