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サッカーは戦術だけじゃない:フロンターレ対ベルマーレ(7月26日)

横の揺さぶりからの崩し

1点を先制したベルマーレ。このまま守り切れば、というところだったが、そうはいかなかった。

5バックはアタッカー5人に対してマンマークが付く形になるから、隙ができにくい。ただ、最終ラインに5人置くと言うことは中盤のプレッシャーが甘くなると言うこと。フロンターレは、前半からそこを利用して崩しにかかっていた。

全体的にベルマーレを押し込んでいる状況を生かし、右サイドバックの山根が高いポジションを取り、ベルマーレ左サイドバックの鈴木を拘束。その代わりに家長がやや下がって、右サイドのレーンから左サイドのレーンまで、横方向に動き回った。そうなると、前線でマークを受けている5人(家長と山根が入れ替わった形になる)との間にいくつものトライアングルを作ることができ、パスを回すコースが格段に増える。

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そうやってボールを動き回らせてディフェンスを崩した。前半の間いくつか生まれた決定的なチャンスはこうやって生まれたものだ。

戦略というよりも・・・・。だからサッカーは面白い

ただ、結果的にフロンターレが取った得点は、意図的に崩した、というものではなかった。それがサッカーの面白いところだと思う。

まずはベルマーレが押し込んで攻めていた時間に、ベルマーレのコーナーキックのカウンターから山根視来が同点ゴール。(動画1分40秒)

さらに三笘薫が最終ラインのトラップミスを見逃さずにボールを奪ってからドリブルで突っ込んで勝ち越しゴール(動画2分)

これは三笘のゴールをスタンドから自分で撮った写真

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1点目は純然たるカウンターなのでともかくとして、三笘のゴール、動画をよく見れば、前線の選手にはきっちりマークが付いているのがわかる。つまり、三笘がパスを出そうにも出しようがない守り方をちゃんとできていたと言うことだ。

家長の重要性

5バックで守ると中盤のプレッシャーが甘くなる。そこを狙って、家長が下がって横方向にマークをずらす形で攻撃を組み立て、プレッシャーをかけ続けたことが、ベルマーレのミスにつながったということではあるのだろう。ドリブル能力とパス能力、ポジショニングのうまさを併せ持つ家長ならではの攻撃だったと思う。大島僚太はパスに優れ、長谷川竜也や三笘薫はドリブルに優れるが、両者が高いレベルでバランスを取れている点で家長は抜きん出ている。

家長のプレー写真集

右サイドで組み立てる家長

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ペナルティアーク付近で揺さぶる家長へのベルマーレのディフェンス。3人がかりで家長のドリブルをストップ。

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左サイドまで移動して崩しにかかる家長

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この試合のベルマーレは、「押し込まれる」という前提の中で、やれることは全部やったと言っていいと思う。その結果が前半0-0ということだ。それでも最終的に3-1になったのは、やはりポゼッションしている側の有利と、それを生かせる個人技があったということだろう。

この次はガンバ戦だった。さすがにDAZN観戦になったが、ガンバはさすがにディフェンシブな戦い方ではなかったし、いくつかの工夫が見られて面白い試合だった。