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コロナ危機に対して人類への提言。イアン・ブレマー、ユヴァル・ハラリ、ジャック・アタリ。これは必見です!

Eテレの「パンデミックが変える世界」を観た。これは本当に必見です!イアン・ブレマー、ユヴァル・ハラリ、ジャック・アタリという世界の知の巨星たちがコロナ危機に対して人類に提言。ポイントを要約してみました。

感染者数の増加や死亡者数、経済対策、ワクチン開発などは、もちろんすごく大きな関心事なのですが、こんな時期だからこそ、この危機に我々人類がどう行動すべきかを、より広い視点で考えることの重要さを教えてくれます。今回の危機を人類がより協調して、より良い未来を創り出す、そんな機会に変えていきたいですね!


イアン・ブレマー
今回のパンデミックは「Gゼロ世界」つまり指導者なき世界で私たちが経験する最初の危機です。その結果として、この危機に各国がバラバラに対応しています。協調性が欠けています。リーマンショックや9.11の時は世界各国が米国のリーダーシップの下で団結しました。2020年の今、これまでで最も深刻な危機が発生しています。それなのにアメリカ国民は団結していません、世界も団結していません。G7の協調行動もありません。G20の協調もありません。経済的な打撃は大きな問題ですが、政治的な問題は更に大きいと思います。

先進国は余力があるのでこの危機に対処できるかもしれませんが、多くの新興国や途上国は深刻な影響を受けると思います。医療制度が不備な状況で不況になれば、国民は家族を守ることができなくなるでしょう。そういった国から社会不安が広がることは容易に想像できます。暴力、体制の変更や崩壊、そして過激化が広がるでしょう。

更に米中の対立は激しさを増してきます。これまではテクノロジー産業が中心だったのが、今後はサプライチェーン、製造業、サービス業にも広がるでしょう。米大統領選でトランプが中国への非難を強めることは容易に想像がつきます。

これらの分断は地球規模の危機に対して大きな問題をもたらします。気候問題、サイバーセキュリティ、AIやバイオテクノロジーの倫理問題、民族主義、ポピュリズムこれらの問題に対して国際社会が協調できないのは深刻な状況を生むと思います。

コロナ以降の世界は。格差が大きく広がっていく。中国以外の新興国が危機の対応を誤るからです。米国はもともと格差が大きい国ですが、今後さらに広がるでしょう。欧州も同じです。持つものと持たざる者の差が大きくなるでしょう。本当に大きな格差を目の当たりにすることになります。


ユヴァル・ハラリ
メディアと一般の人たちはウィルスの流行だけに関心を持つべきではありません。政治状況にも関心を持つべきです。コロナと戦うという口実で独裁制を取ろうとする権力者は増えてきます。一人の人物に強大な権力を与えると、その人物が間違えた時にもたらされる結果ははるかに重大なものになります。民主主義に大切なのは政府が間違えを犯した時に自らそれを正すこと。そして政府が間違いを正そうとしない時に、政府を抑制する力を持つ別の権力が存在するということです。

緊急措置が適応されるのは危機のときだけで、危機が去ればいつも通りに戻ると思いがちですが、それは幻想です。危機時だからこそ民主主義が必要です。チェック&バランスが維持されなければなりません。政府を、権力に繋がる人だけでなく、国民すべてに奉仕させるために監視が必要なのです。

私は監視を支持しますが、全体主義的な監視は支持しません。監視についてはそれが常に双方向に働くことを念頭におかなければなりません。政府が国民の監視をするだけでなく、国民が政府を監視するという側面です。例えば政府が腐敗しないように監視する。良い政策に転換するように監視するといった具合です。独裁国家にあっては監視が一方通行なのです。政府が国民を監視して、政府の決定は国民から隠す。政府から国民に伝わる情報はありません。それはとても危険です。私は双方向である場合においてのみ監視を支持します。

この危機に対して我々人類が、もし自国優先の孤立主義や独裁者を選び科学を信じず陰謀論を信じるようになったら、その結果は歴史的な大惨事でしょう。一方でグローバルな連帯や民主的で責任ある態度を選び、科学を信じる道を選択すれば、たとえ死者や苦しむ人が出たとしても、後になって振り返れば、人類にとっては悪くない時期だったと思えるはずです。私たち人類はウィルスだけでなく自分たちに内側に潜む悪魔を打ち破ったのだ、憎悪や幻想、妄想を克服した時期として、真実を信頼した時期として、以前よりずっと強く団結した種に慣れた時期として位置付けられるはずです。


ジャック・アタリ
パンデミックという深刻な危機に直面した今こそ「他者のために生きる」という人間の本質に立ち返らなければいけない。協力は競争より価値があり人類は一つであることを理解すべきだ。利他主義という理想への転換こそが人類のサバイバルへの鍵である。

利他主義は合理的利己主義にほかなりません。自らが感染の脅威にさらされないためには、他人の感染を確実に防ぐ必要があります。利他的であることは、ひいては自分の利益となるのです。また、他の国々が感染していないことも自国の利益になります。

利他主義とは、他者の利益のために全てを犠牲にすることではなく、他者を守ることこそが、我が身を守ことであり、家族、コミュニティ、国家、そして人類の利益にも繋がる。利他主義とは、最も合理的で自己中心的な行動なのです。

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