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【感想】音像空間劇 朗読 あやかしの鼓

雨がよく降っていますね。
こんにちは。佐野太基です。

さて、今回は観劇した『音像空間劇 朗読 あやかしの鼓』の感想です。

夢Qワールド全開

『あやかしの鼓』は、夢野久作名義の処女作です。
代表作の『ドグラ・マグラ』もそうなのですが、夢野久作作品の”芸術が人の狂気を開放する”という原点なのかな~という作品です。

あらすじは下記の通りです。

100年ほど前、さる鼓作りの職人が、綾姫という姫君への破れた恋の形見にと、情念を込めて上等の樫の木で鼓を作りあげる。しかし、あまりにも深い情念が呪いと化してしまい、この鼓にかかわった人間は全員不幸な死を遂げてしまう。そのため、鼓はいつしか「あやかしの鼓」と呼ばれるようになる。

月日は流れて大正時代の東京。主人公である「私」こと音丸久弥は、病床の父から死の間際に、「あやかしの鼓」にまつわる因縁話を聞かされる。「あやかしの鼓」を作った職人は自分たちの祖先であることや、存在さえ定かでなかった「あやかしの鼓」が実在し、腕のいい鼓職人だった父が実際にその鼓を手にしたことがあること。そして「お前は絶対に鼓を習おうなんて思うな。触れてもいけない。」と言い残して父は息を引き取った。しかし、私は「あやかしの鼓」の呪いに引き寄せられるように鼓に出会ってしまい、やがて因果の連鎖の輪の中に取り込まれてしまう。

Wikipedia

妖しい光と音楽が支配する空間は夢Qワールド全開で、時代に合った雑音が混じったラジオ放送の演出もタイムスリップしたような錯覚に陥りました。

また、物語のクライマックスが3月26日。
そういった一致も作品を観劇する上で心を沸き立たせる要因となりました。

運営は物語に合わせて、この作品の公演日を決めたのでしょう#知らんけど


芸術と感情

この作品はタイトルである“あやかしの鼓“という鼓を巡る因果の物語です。
複雑な人間関係が迷宮のように絡み合っているのですが、絵画、音楽、文章、演劇…芸術作品は時に自分も知らなかった感情の原液を外に噴き出させる媒介のような役割を果たす時があります。

岡本太郎がかつて「芸術は爆発だ!」という名言を残しましたが、その言葉の真髄はそこなのかもしれません。

また、今回の舞台が行われた場所は御茶ノ水という音楽・楽器の街。
そういった様々な要因が混ざり合って、余計にこの作品の登場人物たちの狂気は自分たちが今生きる令和にも起こってしまうのではないのか?という恐怖を呼び起こさせます。


夢野久作×江戸川乱歩

また、この舞台は単に『あやかしの鼓』という作品を舞台化したのではなく、夢野久作と江戸川乱歩の関係性にも言及していました。

『あやかしの鼓』は江戸川乱歩に酷評されたという事実があります。
そういった作家にまつわるエピソードにも触れ、ドキュメンタリーとファンタジーの融合を味わうことができたのは作家へのリスペクトを感じ、夢野久作ファンとしても嬉しかったです。


役者として

今回の舞台はPSYCHOSIS / サイコシスという団体の公演でした。
夢野久作ファン、文学好きの役者として、こちらの団体様とは懇意になり、今後も夢野久作の作品を舞台化することがあれば、是非出演したいです!

良い作品を観れた後は、大抵自分の芝居も上手くいく。
PSYCHOSIS / サイコシス様から声がかかるぐらいの役者となれるよう今後も精進します!

今日はここまで。
佐野太基でした!

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