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保険はサブスク化していく! ~アクチュアリー社長がInsurTechスタートアップで考えたこと~

初めまして。Finatextグループで保険事業を展開するスマートプラス少額短期保険株式会社で代表をしています、小山です。

このnoteは、レガシーな保険業界の出身者がInsurTechのスタートアップで働きながら考えてきたことと、当社が目指す方向性を「保険はサブスク化していく!」というテーマでまとめたものです。

特に保険業界にいる方にお読みいただき、当社に興味を持っていただければうれしいです。

自己紹介

改めまして、スマートプラス少額短期保険の小山といいます。新卒で国内の損害保険会社に入社し、外資系損保数社でアクチュアリー(日本アクチュアリー会正会員)として商品料率の算定業務や保険計理人業務の経験を積んできました。昨年、FintechベンチャーであるFinatextグループにジョインし、これまでの勤務先と大きく異なる環境に身を置いており、アラフォーにして新人のような刺激を受けています。

※私自身についてはこちらのインタビューもご覧ください。

今回の記事を書こうと思ったきっかけ

先日ある保険会社の方と話していた時に「保険ってサブスク(サブスクリプション)ですよね」というような発言があり、それがしばらく頭に残っていました。自分でも少し整理をしてみると、確かに保険(と周辺サービス)はサブスクを見習うべき点が多い。大手保険会社から当社にジョインして1年以上が経ち、保険業界出身者として、スタートアップで日々見聞きし、考えてきたことをアウトプットしてみるいい機会かなと思い、noteを書くことにしました。当社が現在やっていること、今後やっていくことも紹介できればと思います。

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サブスクのKPI

突然ですが、以下の表はライフネット生命さんの2020年度決算報告資料からの抜粋です。SaaS企業の主要指標と同社のKPIとして、LTV、CACといった指標を開示されています。

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(SaaSとサブスクの違いというような細かい点はさておき、)保険のキャッシュフローはサブスクと似ているため、このようなKPIが計算できているのだと思います。同社は、やはりサブスク的な視点で保険ビジネスを捉え、これらのKPIを意識した経営を行っている、ということではないでしょうか。

保険会社の方からすると、Embedded Valueや、平均保険料、継続率、損害率といったKPIに基づいた経営を長年されていると思いますので、新鮮味はないかもしれません。ただ、そこで、改めてその類似性を意識すると、サブスクでは当たり前に行われている施策が、保険事業へも有効なのでは、という考えに至ると思います。

ARR、Life Time、Gross Profit Marginを高め、LTVを最大化する、といったサブスクのKPIを意識することで、サブスクの良い点を取り入れる施策をクリアにイメージできるようになると考えます。

サブスクを見習うべきところ

前述の通り、次のようなキャッシュフローの観点からは、保険はサブスクと似ていると言えます。(以下を満たさない保険も多数ありますが、細かい点は割愛します。)

(生命保険、医療保険などの長期契約の場合、)継続的に比較的少額の料金が支払われる。
保険料を支払っていれば、いつでも(保険金請求という形で)利用できる。契約期間内にまったく利用しない人もいれば、何回も利用する人もいる。

ただし、今世の中に浸透してきているサブスクが持つ性質を、保険が満たしていない部分もあります。「保険がサブスク化していく」というタイトルは、保険会社がこれらの点を見習っていくことを指しています。

デジタル化されているか
サブスク拡大の要因の一つとして、デジタル化されたサービスが増えていることが挙げられると思います。顧客利便性の向上のため、顧客情報や在庫情報をリアルタイムで把握したり、ユーザーのオンラインでの行動履歴を分析することも大事です。保険のデジタル化の状況は各社まちまちだと思いますが、改善の余地が多いと感じているため、近年、各社DX推進部門を立ち上げたりしているのではないでしょうか。
常に最新のものが利用できるか
モノやソフトウェアのサブスクの場合、最新のものがすばやく利用できますよね。保険の場合は、保険契約に基づいた保障、補償の提供がなされますので、新しい保険商品に加入したい場合、既存のものは解約して乗り換える必要があります。
メンテナンスがされているか
モノのサブスクの便利な点として、いつでも製品を無料または格安でメンテナンス、修理してくれるという点があげられると思います。保険の場合、保険事故があったときにすぐ、保険に加入していたことが想起されて、簡単に保険金請求ができる、といった状態を維持しておくことが、メンテナンス性を保っていることになると考えます。しかし、加入したきり保険会社から契約者への連絡がなく、加入していたことも忘れる、といった状況もあるのではないでしょうか。
顧客が中心か
上記のような点の改善を積み重ね、Amazonのように顧客中心のサービスを提供していくことが、サブスクの成功には求められると思います。さらに、サービスをパーソナライズしていく、という方向に進んでいると感じています。もちろん、保険会社も顧客中心を掲げる会社は多いですし、取り組みも様々なされていると思いますが、まだまだやれることは多いのでは、と感じています。

当社の目指すもの

デジタルテクノロジーを活用し、お客様を中心に考えて保険やサービスを提供することは、まさに当社の目指す姿であり、そのためにサブスク的な視点を持つことは非常に重要と考えています。具体的には、以下のような方向性を目指しています。

デジタルテクノロジーの活用
当社は、従来の保険会社が行えなかったこと、あるいは多くの人手を割くことにより行ってきたことを、デジタルでの顧客接点を活用することで実現し、デジタル保険会社として成長していくことを目指しています。

第一弾商品である「母子保険はぐ」では、完全オンラインでの加入申込や保険金請求の受付を実現しており、お客様にも評価いただいています。また、契約管理システムと連動したお客様マイページも設けており、保険金請求や異動の受付や当社からのお知らせ通知もマイページを通じて行うことができています。

保険金請求に関しては、これまでに累計100件近く受け付けていますが、保険金請求の仕方が分からないといったお問い合わせは無く、スムーズな請求体験を提供できていると思います。

今後は、こうしたお客様との接点を通じて、よりお客様のニーズにマッチした保険商品やサービスを提案していきたいと考えています。「母子保険はぐ」では、妊婦さんやママに喜ばれる施策を検討しています。同時に、デジタル化によって人件費を抑え、保険料を安くし、お客様に便益を還元していきたいとも考えています。

最新のサービス提供
保険は契約であり、契約の途中で契約文言や保険料を変更することはできません。しかしながら、保険契約満了時に契約更改していただける方に、お客様の声を反映した、充実した保障の商品をご提案することは行っていきたいと思います。

こうした商品改定において、保険会社にとってのボトルネックとなるのがシステム開発です。当社はグループ会社のFinatextが開発した基幹システム「Inspire」を採用しており、商品改定を安価で素早く行えます。常に商品改定が行われている状態を作り、お客様には「見るたびに良くなっている」と感じていただけるように取り組んでいきます。

メンテナンス性
例えば「母子保険はぐ」は妊婦さん専用商品なので、被保険者が妊娠出産に関する医療行為を受けた場合には「保険金請求」という行為をすぐに想起すると思います。

商品をあまり複雑にせず、特定のシチュエーションに特化した保険を、今まさにそのシチュエーションにあるお客様に提案する。お客様が何らかの活動をするタイミングで、その活動のリスクに見合った保険商品が提案され、必要な分だけの保険料をお支払いただく「Pay as you XXXX」の世界を実現していきたいです。

パーソナライズ
究極的には、テクノロジーを活用してお客様一人一人に合った保険商品の提案を行ってLTVを最大化することを目指しています。

もう一歩踏み込むと、このお客様一人一人に合った提案をするのは保険会社でなくてもいい、と思っています。強い顧客基盤を持っているサブスク事業者とタッグを組み、そのお客様へのサ―ビスの一部として適切な保険を提供することで、顧客利便性を高めるのに貢献するといった方向性も検討しています。

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お知らせ

ご紹介したように、やりたいことはたくさんある状況です。まだまだ当社は事業を開始したばかりですので、今なら、これらのことをゼロから構築し、ダイナミックな事業成長を経験できます。当社で、保険業界のデジタル化に真正面から取り組んでみませんか?まずはカジュアル面談からでも!
ご連絡をお待ちしております!



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