「姥桜」って?
庭の桜が、咲き始めのピンクから次第に白へ、そして薄墨色へと変わり、今は花びらの数も減り、葉桜になりかけています。
満開の時、夕方の薄暗い中で見ると、怖いくらい妖しい雰囲気を漂わせていることもあります。
日本人の桜に対する思い入れの強さか、日本には桜にまつわる言葉がたくさんありますね。
「花曇り」「花冷え」「花吹雪」
「花筏」、、。
ちょっと趣を異にする「姥桜」という言葉もあります。
姥桜とは、どういう意味なのでしょう。
本来は、ヒガンザクラのように「葉が出るよりも先に花が咲く桜」の通称だったそうです。
「姥」は、高齢の女性・老婆という意味ですが、葉っぱが出る前に花が咲く桜を、なぜ「姥桜」というのでしょう。
これは、掛け言葉、シャレなのですね。
葉がない→歯がない→姥(老婆)
つまり、葉(歯)なしの桜だから「姥
桜」と言うようになったそうです。
また、葉(歯)がなくても綺麗というところから、「歳を取っても美しさや色気が残っている女性」や「老女でありながら なまめかしい女性」に対する褒め言葉としても使われるようになったとか。
歯がなくても綺麗で色気がある女性って、どんな感じでしょうね。
岸惠子さんに似ている総入れ歯の女性
が、入れ歯を外したような感じでしょ
うか。
そして今は、「桜」よりも「姥」に重点が移り、「年甲斐もなく若作りをしている女性」を指すことが多くなった、ということです。
桜の品種を表す言葉 →
→色気の残る高齢女性→
→年甲斐もなく派手な高齢女性
と意味が変化してきたようです。
言葉の変遷は、面白いですね。
それにしても、葉なし→歯なし→老婆
というのは、今は通じませんね。
私が子どもの頃は、お婆さんは歯がないのが普通でしたが、今は年齢を感じさせない、若々しい方が増えています。
「お年を召されても、相変わらずお綺麗ですね。」などと言われ、謙遜のつもりで「そんなことないわ。もう姥桜よ。」などと言う人もいるそうですが、それは「私は、歳を取っても色気があるのよ。」とか、「私は、年甲斐もなく派手好みなのよ。」という意味になってしまう、ということです。
この「姥桜」という言葉、人のことにも、自分のことにも、使わない方が無難なようですね。
葉が出る前に花が咲くのが「姥桜」。
葉が出てから花が咲く桜に関する言葉もありました。
歯が出ている人を、山桜とか八重桜というそうです。それは、山桜や八重桜は、花(鼻)より先に葉(歯)が出る」からだそうです。
ちょっと、ひどいですね。
昔の人が考えた、シャレの利いた言葉がだんだん忘れ去られていくのは、寂しいものがありますね。
#エッセイ #桜 #姥桜 #言葉 #語源
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