山口ペイトリオッツ 挑戦の軌跡 #9
今節の相手はアルティーリ千葉。今シーズンよりB3に加入したチームであるが、シーズン前の話題をさらった2チームのうちの1つだ。昨シーズンまでB1でプレーしていた選手を獲得するなど最短でのB2昇格を目指しているチームである。
今シーズンはここまで14勝2敗で2位につけている。レオライオンズの負傷などもあり、八王子・鹿児島にそれぞれ1敗ずつ喫したものの、着実に勝利を重ねている。そんなビックチーム相手にどのようなバスケットを見せてくれるのか、アウェイでの連戦を振り返っていきたい。
GAME1
千葉94-73山口
(20-21,26-17,24-16,24-19)
-山口が爆発力でリードを奪う展開も…
立ち上がりは千葉ペース。24.大塚のスリーポイントを皮切りにインサイドで得点を重ね、7-0のランでの入りとなった。山口はタイムアウトを取るが、勢いは止まらず6.小林のアタックや42.コッツァーの得点で11-0に。山口も1.山下のスリーポイントで最初の得点を挙げるが、すかさず24.大塚がスリーを決め返し、千葉が14-3と大きなリードを奪う。ただここから山口が0.山田と64.井手のコンビで反撃を見せる。横浜戦で見せたゾーンディフェンスを使いながら彼らのスピードを生かす展開で点差を詰めていく。その流れで7.エヴァンス、12.サンプソンにも火がつき20-21と山口が試合をひっくり返して1Qを終えた。
2Qも山口がゾーンディフェンスから走る展開でリードを広げていく。マッチアップゾーンのような変則的なディフェンスで千葉のタフショットやターンオーバーを誘発し、0.山田と64.井手が走り得点を挙げる。この時間は面白いように山口のバスケットがはまり23-29までリードを広げた。しかし、千葉もしぶとく反撃を見せる。ここでも火をつけたのは24.大塚のスリーポイントだった。24.大塚のスリーが2本、30.ラベネルのスリーが1本決まりたちまち逆転すると、その後も着実にリードを広げていく。山口もマンツーマンに切り替えるなど抵抗を見せるが0.山田と64.井手が不在の時間のオフェンスがどうしても停滞してしまう。一時は6点のリードを許した千葉が8点リードの46-38で前半を折り返した。
-リバウンドとインサイドをポイントに
3Q立ち上がりは互いに得点を取り合い、49-43というスコアに。ただそこからは千葉の展開。ポイントはオフェンスリバウンドだったと感じた。3Qの千葉は外からのシュートが落ちても42.コッツァーを中心にリバウンドを確保。確保できなくても簡単に山口にリバウンドを許さず、山口の走る展開を封じ込めていた。前半4本だったオフェンスリバウンドも3Qだけで4本確保した。山口は0.山田と64.井手で巻き返しを図るも、前述の通りなかなか走る展開を作らせてもらえず3Qが終了して70-54と差をつけられてしまった。
4Qも千葉が着実にリードを広げていく。ゴール下へのアタックからフリーな選手を作ってスリーポイントという形で得点を重ねていく。山口はローテーションしきれずフリーで打たれてしまうケースが多かったように感じた。最後は8.土居のスリーポイントなどで一矢報いるものの、最終スコア94-73で千葉が強さを見せつけるGAME1となった。
GAME1は現地観戦となったが個人的には非常に良いものを見られたという気持ちで帰路に着いた。試合直後の思いはツイートに書いたため、それを貼り付けておこうと思う。GAME2も今日のように食らいついていって白熱した試合を期待したい。
GAME2
千葉90-67山口
(26-20,22-9,26-19,16-19)
-立ち上がりこそ流れを掴んだが
GAME2は山口が走る展開となった。7エヴァンスのミドルショットで先制すると、速いタイミングでのショットを中心にポイントを重ねていく。千葉の選手にピックアップされる前に自分たちから仕掛けていくプレーでシュートチャンスを作り、シュートを沈めていくという展開だった。4-12とリードを奪い、千葉に最初のタイムアウトを取らせた。しかし、ここから千葉の反撃が始まる。山口のゾーンを中心としたチェンジングディフェンスに対し、真ん中を切り裂くドライブや山口がゾーンをセットする前に素早くアウトサイドへ展開してのスリーで得点を挙げていく。また、中外のパス回しで山口のビックマンをアウトサイドへのディフェンスへ誘い出すと、GAME1のキーとなったオフェンスリバウンドを確保し、セカンドチャンスへつなげていた。42.コッツァーのゴール下、30.ラベネルのミドル、24.大塚・10.岡田のスリー、11.杉本・9.藤本のドライブとバリエーション豊かな得点パターンで1Qのうちに逆転、26-20とリードを奪った。
2Qは千葉が山口を突き放す展開。ローポストを起点にしたオフェンスで得点を重ねていく。23.ソープの連続得点で入ると42.コッツァーのゴール下、30.ラベネルのスリーとドライブなどで計22得点を挙げた。山口は千葉の多彩なオフェンスに対して手がつけられないような状態となっていたように見えた。終盤はゾーンディフェンスからターンオーバーを誘ってオフェンスに転じるシーンも何回かあったが、点差を付けられた時間は千葉のインサイドに手を焼いていた印象である。オフェンスは自分たちがリバウンドに絡めない速いタイミングでのショットや個人で打開したショットが増え、単発になっていたように感じた。2Qが終わり、48-29と点差を広げられてしまった。
-力の差を見せつけられた2試合で掴んだもの
後半も基本的には千葉ペースで進んでいった。42.コッツァーの4連続得点などでリードをさらに広げていく。途中山口がディフェンスでの仕掛けから千葉のターンオーバーを誘発するが、千葉もディフェンスは崩れずに点差は縮まらず。逆に9.藤本、10.岡田、22.秋山、23.ソープといったセカンドユニットの得点が伸びていき、3Q終了で74-48という大差がついた。
4Qでは山口が意地を見せた。千葉が8.紺野、15鶴田といったビックマンを起用しながら進めていたというエクスキューズはあるかもしれないが、良い形でのオフェンスが少しずつ出せるようになっていった。25.田中がドライブで切り裂いてから11.山口のスリーやターンオーバーからのファストブレイクで25.田中や23.モーガンがイージーシュートを決めるなど好守が繋がっていた。4Q途中で0-11のランを作る意地を見せてくれた。4Qだけで見れば16-19と3点上回るクウォーターとなった。最終スコアは90-67と千葉がGAME2も大勝を収めた。
ビックチームの千葉相手に力の差を見せつけられた2試合となった。1試合の中で山口が流れを作る時間がなかったわけではないが、40分トータルで見た時には千葉の選手層やバリエーションの豊富さがものを言い、最終的には大差がつくという内容だったと思う。しかし、千葉相手にも自分たちのリズムを掴んだ時間帯は、素晴らしいバスケットが展開できていたことは事実である。GAME1の1Q終盤から2Q中盤あたりまでの時間帯、GAME2の立ち上がりの時間帯の印象は強烈で、千葉ブースターの皆さんにもそれなりのインパクトを与えられたのではないかと思う。
そんな私も正直GAME1を現地で見て心を動かされた。結果は大敗であったかもしれないが、良いものを見たという晴れやかな気持ちで会場を後にすることができたのである。
だが、山口の選手・スタッフはもちろん今節の結果に満足していないはずだ。私自身も次節の長崎戦、もっと期待をかけて山口の選手たちのファイトを見届けたいと思っている。
*文中敬称略
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